大長編63
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6月の雨と蔵の出火

あの不思議な夢を見て

現実か幻か・・・

赤い花が置いてあったのだから現実なのだろうか・・・

と暇になったときに思い出しては考える

その赤い花も枯れてしまった

もちろん写真には撮った

手紙は大事にとってある

もちろん写真にも撮った

あれから早2か月が過ぎ今6月に入った

毎日ほぼ雨ばかり降っている

ジメジメとしてあんまし気持ち良くはない

最近、葵が元気がない

外に出れないせいもあるだろうが他に理由があるかもしれない

「葵、最近、元気がないね、どうしたの?」と聞いた

「パパ・・・あたち・・・オハルちゃん達に嫌われちゃったのかな・・・

オハルちゃん、ここ最近、現れてない

昼も夜も来てくれない

別にあたちオハルちゃんとケンカはしてないよ

オアキちゃんも来てない

どうして来てくれないんだろう・・・」と今にも泣き出しそうな顔をしていた

「そっか・・・オハルちゃん達遊びに来てくれていないのか・・・

どうしたんだろうね・・・・

お手伝いが忙しいのかもしれないよ、葵」と言うと

「うん・・・そうかもしれない

忙しいのなら仕方ないよね、パパ」と少し気持ちがすっきりしたようだ

葵は午前中の間だけ家に一人で留守番をしてる

家計のせいで・・・幼稚園か保育園へ行かせていない

本当は集団生活の基礎を学ぶところなのだが・・・

また周りから

そんな小ちゃい子を一人で留守番させて大丈夫なの?とよく聞かれる

一応家にはセキュリティーがあり外部からの異常はすべて警備会社と私とS子の携帯へ連絡がいくようにしてある

また葵・楓の部屋にはカメラを設置して24時間見えるようにはしている

もちろん遊び場になってる中庭にもカメラを設置した

一人では絶対に外へ出ないようにと厳しく言ってある

午後から子供たちやS子がパートから帰ってくるので葵、一人ではない

またもし火事になった場合は即座に外へ出なさい、と言ってある

葵は小ちゃいながらもしっかりしている

兄弟の中でも一番しっかりしている

葵が一人の時にオハルちゃんやオアキちゃんが遊びに来ているらしい

カメラや私には全然見えない

でも録画した映像を見るとたしかに葵は誰かとしゃべって遊んでる

普通の人ならびっくりするかもしれないが我が家はすべて理解をしている

ところでこの赤い花、植物図鑑やネットで調べても出てこなかった

どういうことだろうか?

未来の植物だから?品種改良された花なのだろうか?

S君にも写真を見せたか分からないと言っていた

見た感じは東南アジア系の花のように思える

色が原色なのだ

今日は有給休暇を使い会社を休んだ

ほぼ毎日残業で体のあちこちが痛い

このままだと体が壊れそうだ

今日は雨なので中庭で休もうと予定はしていたが

雨の中庭を見ても仕方ない

自分の書斎でネットを見たりTVを見たりしてゆったりとした時間の中にいた

今日はわたしがいるので葵は大喜びしていた

今葵は私の部屋で遊んでいる

葵はほとんど甘えてこない

すべて自分でしようとしている

今日もというか誰かがいるとオハルちゃんやオアキちゃんは遊びに来ないようだ

昼食時、葵と2人きりの食事になった

私は昼前にちょこちょことコンビニへ行き弁当を買っておいた

葵はおいしそうに食べている

どうしても葵とオハルちゃんがタブって見える

「葵、おいしいかい?」と聞いた

「パパ、おいしいよ、今日はパパがいてうれしいんだぞ

お昼からパパの部屋で遊ぶんだぞ

パパ、今日は葵から離れないでほしいんだぞ」と言われた

もちろんこの雨では外へ行こうとは思わない

今日1日葵と一緒に過ごそう

葵から色々な話を聞けた

お昼1時過ぎにS子が帰ってきた

そのあとに子供たちが続々と帰ってきた

リビングは賑やかになった

「葵、お兄ちゃんたち帰ってきたよ

リビングへ行こうね」と葵を誘った

「うん、パパ」と素直についてきた

リビングへ入り葵はすぐに楓の傍によりおしゃべりをはじめた

しばらくすると匠と仁は自分たちの部屋へ行ってしまった

S子と楓と葵でおしゃべりをしていた

「ママ、明日は葵とデパートへ行く日だぞ

覚えてる?」

「え?デパート・・・はっ!忘れてたよ、葵ちゃん

よく覚えてるね」

「ママ、デパートでは勝手にあちこち動いちゃダメだぞ

この前みたいに迷子になるんだぞ」

「葵ちゃん・・・パパの前で話さないでよ、恥ずかしいから」

迷子!?おいおい・・・・どっちが親だが・・・・

「F子お姉ちゃんもよく迷子になるもんね

この前も楓と一緒にお買い物をしてたらF子お姉ちゃん、勝手にどこかへ行っちゃって

楓が探してたらF子おねえちゃん、オロオロしてた

F子お姉ちゃん、私を見つけて小走りで寄ってきたよ」と楓が話してきた

確かに・・この妹たち方向音痴だ

なんやかんやといろいろな話題が出てにぎやか

夕方になりおふくろとおやじが帰ってきた

オヤジ、今にも死にそうな顔をしてた

相当しぼられたな

おふくろとS子で夕食の準備にかかったようだ

電話が鳴った

おふくろが出た

「F!、住職様から電話だよ」

「はい!」と返事をしておふくろと代わった

お寺から電話とは珍しい

いつもはこちらからかけている

「おひさしゅう、今、お話しできるかのぉ」と聞いてきた

「はい、大丈夫ですよ」

「そのぉ・・・今・・・そのぉ・・・

オハルちゃん達のお墓なんだが・・・・

昨日・・・誰かのいたずらかどうかわからんが

お墓が倒れていたんじゃよ

あんな重いお墓が倒れていたんじゃ

今日業者に頼んで元へ直したのだが・・・・

そのぉ・・・犯人が落としたのかよくわからないんじゃが

タオルが一枚お墓の傍に落ちていたんじゃよ

ボロボロのタオルだけどな

そのタオルを拾ってよく見たら・・・・そのぉ・・・・

F君の名前が書いてあったんじゃよ・・・それも中学校の名前も書いてあったんじゃ、それで・・・もしかして・・・

F君、お寺へ来たのかな・・とおもってな・・・それで電話をしたんじゃ」と住職さんは歯切れの悪い口調で言いだした

タオル・・!?はて・・・お墓で落とした覚えはないぞ

ましてや中学校のときのタオルなんで持っているはずがない

最近はお寺へは行っていないし・・・どういうことだ

思い出せないし覚えがない

「そうですか・・・私のタオルが落ちていましたか・・・

でも私は最近はお寺へは行っていません

それに中学校のタオルはもう持っていませんよ」と言うと

「確かにのぉ・・・・でも名前はF君なんだよ

それとお墓のまわりに無数の子供みたいな足跡がたくさんあったんじゃよ

・・・

電話ではお話しづらいんで・・・来週あたり休みの日でもお寺へ来てもらえんかのぉ」と

住職さんは困った声で聞いてきた

困った・・・・これは単にいたずらではないような気がする

嫌な予感がしてきた

「はい・・・なんとか都合をつけて行きたいとは思いますが・・・

みんなそれぞれ忙しくて・・・・まぁ・・・なんとかしますね」

「すまんのぉ・・・異常というか・・・異変というか・・・・

最近、お寺周辺でいろいろなことが起きてるんじゃよ

普段、交通事故など起きない場所でここ1か月の間で10件も事故が起きた

また・・・近所では夜中に火事も起きたし・・・原因不明でな

静かな場所なんじゃが・・・・

お寺でも夜中に庭の方で話声や人が騒いでるような声がするんじゃ

でも庭を見ても誰もいないし

もちろん霊の仕業だとは思うが・・・

今までの霊とは違うような気がしてな・・・・

わし一人ではおそらく無理だと思うんじゃ

F君やF子ちゃんなど来てもらえるとうれしいんじゃが・・・

それと葵ちゃんと楓ちゃんもきてほしいし・・・

お墓の件、オハルちゃんやオアキちゃんも関係してるような気がしてな・・・

みんな忙しいとは思うが・・・なるべく早く来てほしいんじゃ」と緊張した口調で訴えてきた

もちろんお世話になっている住職様のお願いは聞いてあげたい・・・

が・・・みんなそれぞれいそがしい・・・・

休みとなると・・・また無理にでもお願いしないといけないし・・・・

来週の土曜日あたりだな・・・・

F子やS君は今東京だ

一応連絡して聞かないとな

また電話が鳴った

「あ!アニキ!!!

私F子、今週の金曜日の夜にかえれるかもしれない・・・

Sアニキも一緒だよ・・・昨日から私・・・背筋がゾクゾクとしてて

胸騒ぎもひどいの

もしかしてお家で何かあったのかなとおもって電話をした」となにか怯え切った声

「いや・・・ウチではなにもないよ

只ね・・・今さっき住職様から電話があってな」と・・・

さっきの住職様の現状を話しをした

「え!!!お墓が倒れてたの・・・アニキ・・・非常にやばいよそれ・・・

え!中学校のときのアニキのタオルが落ちてたの・・・

ありえないよ・・・・・

あ!!!!!!ちょっとまって・・・アニキ・・・ほら・・・覚えてる?

アニキが中学生の時に私たち4人で自転車に乗って長距離走ったの?」

「????あぁーーーーー思い出したぞ

あったあった・・・・ありゃ・・・ちょっと思い出したくない出来事だった

あ!そういえば現場に俺のタオルが無かったような・・・

あの状況下で忘れてた・・・

でも・・・・まさか・・・・餓鬼かぁ・・・あいつら・・・」

思い出した

目印に大きな木の下にタオルを置いてきた

あのごちゃごちゃな状況だったのでタオルの確認をしていなかった

餓鬼がタオルを持っていったのか

これは・・・・チンピラおやじも来てもらおう

問題はおチビちゃんたちだ

騒動に巻き込みたくはない

でも連れてきてほしいと言われてる

腹を決めた

オヤジとおチビちゃんを連れて行こう

今週の金曜日の夜には家を出よう

早くお寺へ行かないといけないような気がする

「おい!オヤジよ、今週の金曜日の夜にお寺さんへ行くぞ

オヤジがいないと非常にやばい

それと楓と葵、おチビちゃんも行こうな

住職さんが呼んでたぞ」とそれぞれに聞こえるように言った

「おうよ!俺様がいないとそりゃやばいだろ

了解したぜ

おチビちゃんを守るのは俺だけだ」

「パパ、わかったよ、行くよ」と楓

「あたちもいくぅーー」と葵

もちろん4人組は強制的にも連れて行く

お墓を倒した連中は餓鬼だろ

相手がわかっている以上打つ手はある

ただ・・・オアキ、オハルちゃんたちの様子が全然わからない

次元が違うので無理もないけどね

またハイエースを借りよう

留守番はおふくろと匠と仁だけだな

一応家の周りに住職さんからもらったお札と薬を多めに撒いておこう

各部屋にも撒こう

いざとなったらおふくろの実家へ避難してくれればいい

私は住職さんに電話をした

「住職さん、今週の金曜日の夜に家を出ます

恐らく着くのは夜中になると思います

色々とお世話になると思いますが・・・」

「おお、よかった・・・こちらも準備して待ってますよ

金曜日から日曜日の宿泊客の予約をキャンセルをしますから」

「はい、一般の人を巻き込む恐れがありますからね

今度の敵は恐らく餓鬼でしょう

油断は禁物ですが何とかなる相手です

こちらはチンピラおやじ、悪霊がいますからね

それとおチビちゃんも連れて行きます」

「おおお!!おやじさんが来て下さるのかありがたい

おチビちゃんも・・・本当にありがとう

無理を言って済まんのぉ・・・」

「いえいえ日ごろからお世話になってますから

油断はなさらないように

こちらも家の周りを固めますから」

いよいよ餓鬼どものケリをつけたい

しかし・・・お狐様の協力が必ずいる、助けてくれるんだろうか?

一抹の不安が残る

どうも・・・なんで餓鬼ともが・・・前にも言われたことだが餓鬼ともの後ろに大きな魔物がいることは間違いない

その魔物が出てきたときに果たして対処できるのか・・・やはりお狐様の助けがいる

私はF子に電話をした

「今週の木曜日に帰ってきてほしい

金曜日の夜に家を出るから」

「え!・・・わかったよ、アニキ!仕事をキャンセルするね

Sアニキにも言っておくね

それと家の外と中を強い結界にしておいてね

餓鬼たちもう家の周りにいるはずだよ

アニキのタオルの匂いを嗅ぎつけてきたんだとおもう

それと・・・餓鬼のうしろにとても力の強い魔物がいるような気がするの

パパと同じかそれ以上の力

もしものときにママにも来てもらおう

あとはお狐様のお加護がいるけど・・・

呼んですぐに来てくれるといいけどね」とF子は少し緊張した口調だった

おふくろか・・・匠と仁はおふくろの実家で預かってもらおう

最初からおふくろも連れて行く

「おふくろ!おふくろも連れて行くぞ

匠と仁はおふくろの実家で預かってほしい」とおふくろに頼んだ

「はいよ、わかったよ、匠ちゃんや仁君は預かってもらうよう手配するからね

わたしもどれだけお手伝いできるかわからないけどね」

大所帯となってしまった

今回はハイエースとオヤジの車の2台で行くことにした

もしものときにね・・・・

今日から徐々に準備をしないとな

日一日と何事もなく過ぎていった

家の周りにも異常はなくまた住職さんからの電話もない

木曜日

F子たちが帰っていた

S君も一緒

両者に仕事のキャンセルなど迷惑をかけたことを謝罪した

「アニキ!仕事よりこっちが大事

お墓を荒らされたんだから

オアキ、オハルちゃん達、絶対に何かしらの災いが起きてるはずだよ

天国で何かしらの異変が起きてると思う

もしかしたらお狐様たちも何かしら起きてるのかも

ここのところ日本も含め世界で異常気象でしょ

温暖化などとマスコミは騒いでるけど温暖化などでこんな異常気象は起きないはず

むしろ二酸化炭素を減らした結果こんな異常気象を引き起こしてるんだと思う

それを知ってる人たちは金儲けのためにマスコミを抑えて嘘を流してるんだと思う

そのためにこっちの世界とあっちの世界でカオス状態になってるはずだよ

確証はないけどね

あっちの世界が落ち着かないとこっちの世界はいつまでも地震や干ばつなど

「自然災害」はどんどん起きていくはずだよ

まずは天国の様子が知りたいよね」とF子は一人でべらべらとしゃべった

確かに天国の様子が全然わからない

オアキ・オハルちゃんが葵に会いに来てないということは相当な深刻な事態になっているのではないか

明日お寺さんの所へ行く

果たして今後どんな展開になることやら

餓鬼ともの黒幕は誰なのだ・・・

ここ1週間ほど準備をしてきた

準備といっても着替えや食料・水など1週間分を準備した

幸い今回は車2台分で行くので1週間分の荷物はなんとか車に載る

懐中電灯や電池、オヤジは木刀を持っていくと言ってる

傷薬やいくらかの薬

どのくらい滞在するのかも見当がつかない

長期戦になったらどうしようか・・・

今夜は家の周りをよく点検して結界が破れてないか再確認する

家は誰もいなくなる

夕食時に明日のことでそれぞれの意見が出た

特におチビちゃんたちが心配

狙われやすいからね

おチビちゃんたちは明日について大人たちがマジな顔をして話をしているのを見て

不思議そうな顔をしていたな

いつもはS子が冗談を言って一家団欒のおいしい夕食の時間なのだが

能天気S子、今日は冗談を言わずに真剣な顔をして意見を述べてた

明日の夜8時には家を出る予定だ

お寺に電話をした

「明日の夜8時ごろには家を出ます

順調にいけば午前0時ごろにはお寺に着くと思います

人数が一人増えました

こちらから1週間分の食糧なども持っていきますから

大所帯になってしまいましたけれどよろしくお願いします」

「おお、ありがたい

こちらはもうお迎えの準備は出来ていますわ

やはり・・・夜中になると庭やお墓辺りから

声などしていますわ

餓鬼ともだと思うが・・・なにかがうろついているんだと思いますわい

いまのところお墓には異常はないんで

宿泊客の予約もすべてキャンセルしましたわい

それと全員お守りとお薬だけは忘れずに肌身離さずに持っておいてくだされ

とくにおチビちゃんは必ず狙ってくると思いますから

おチビちゃんたちは仏間で保護しますから

あとは仏様たちのお力添えが出来るように唱題していますね

あわてずに安全運転で来てくだされ」と住職さんからの電話

いよいよ明日だ

今晩中に家の周りを再確認しよう

今日は全員この家に泊まる

私とS君はリビングで寝ることにした

後はそれぞれの部屋で寝ることになった

基本的にいつもの如く2人で行動してほしいと頼んだ

まぁあれだけの結界を張ってあるのでいいとは思うが・・・

夜の10時になった

子供たちはもう寝ている

同じ部屋にオヤジもいるのでもう寝たようだ

部屋をのぞいた

子供たちが良く寝てた

その隣にオヤジも疲れが出ているだろう

良く寝ている

F子(現在はS子の部屋)にはF子、S子、おふくろの3人

部屋はそんなに広くはない

なんとか3人収まった

まだおしゃべりしてた

「おいおい、もうそろそろ寝てほしいな

明日の夜は疲れると思うから」というと

「おっちーー、パパ、わかってるよ

でもF子ちゃんやお義母さん3人揃うのは久しぶりだし

もう少し起きてるね」と返事

「アニキ!私たちはいいから早く寝なよ

明日は運転していくんでしょ

疲れるからね」とF子

「そうはいかんよ、全員寝るまで俺やS君は交代で家の見回りをしなくちゃ

だから早く寝てほしいんだよ」と説明をした

「うん・・・わかってるけど・・・話がはずんじゃってるからね

もうそろそろ寝るからね、パパ」とS子は申し訳なさそうな顔をしていた

「早めにな、まぁおしゃべりをしててもいいけどな」と私は部屋を出た

中庭で少し休んだ

雨ばかりでジメジメしてる

夜はさすがに涼しいけれどね

庭の小さなライトが心なしが清涼感を与えてくれてるようだ

とにかく疲れたら中庭に行って椅子に腰かける

小さな庭を見ていると段々と落ち着いてくる

今夜は一部の部屋をのぞいて静かだ

いつもならそれぞれの部屋が点いていて人の声がするのだが

静かだ

S君が庭に来た

「やはりここか・・・全然戻ってこないから

あそこだな、と思ってきたら案の定だ

妹たちはまだしゃべっているよな

よく話をするネタがあるもんだ

だけどこの中庭はいいよな

落ち着くよな

今、東京でF子と一緒にいるけど

人や車で騒がしいやら

ほんと、頭が痛くなる

F子もだいぶ疲れているよ

睡眠時間が4時間なんだよ

忙しすぎる

昼間は違うカメラマンがF子の撮影して

夜は俺が撮影

昼間はなかなかうるさいカメラマンが多くてな

決まるまで同じような格好をさせられてる

撮影が終わるとすごい疲れた顔になってるからな

夜の撮影は次でもいいよ、とは言ってるけどな

別に夜はそんなにがんばらなくてもいいのに

なにせ夜のカメラマンは俺だから

でも「アニキのためだから」と言って・・・・

まぁこれからは夜の撮影は当分延期だな

体が壊れてしまう

睡眠時間をたくさん取らないと無理だな

」とS君はボツリボツリと語ってくれた

いつのまにやらおしゃべりの声が聞こえなくなった

部屋が暗くなってる

寝たようだ

「おし!寝たようだ、S君も寝なよ」とS君の肩を叩いた

「そうするわ、すまんが先に寝るわ」と言ってリビングへ行った

あともう1回見回りをしたら寝よう

カギ閉めの確認、結界の異常など

それぞれ点検してリビングへ戻ろうとしたときに外で何やら人の声がした

どこかのサラリーマンの集団が通っていったと思った

この時間帯はサラリーマンがどこかで一杯ひっかけてそれぞれ帰宅していくコースになってるようだ

家が道路に面しているので足音や人の声などよく聞こえる

「あぁーーいつもの連中かな・・・夜遅くまでご苦労さん

気を付けて帰ってくれ・・・」

まぁ・・・ここらへんは夜になると車の往来が一気に減るからいいとは思うけど

でも・・・おかしいな・・・人の声が増えてるような気がするが・・・・

足音も大勢いるような感じだ

私は小さな窓から外の様子を見た

あちゃ・・・壁があってその向こうが見えない

でも声はしてる

私は急いで2階へ行き外を見た

え!!!???誰もいない・・・・・

でも声がする・・・・

あっ!!!餓鬼ともだ・・・・あいつら家の周りをうろついてる

結界があるので入ってこれないのだ

私は急いでリビングへ行きS君を起こした

「大変だ、外に餓鬼ともがうろついてるぞ

結界が張ってあるんで入ってこれないと思うけど

用心のために起きててくれ」とS君を起こした

「なにーー、餓鬼だって・・・こりゃ寝てる場合じゃない

とりあえず起きてて様子を見ようぜ」

「だな・・・眠ければそのまま寝てもいいよ

家の中には入ってこれないと思う

俺は朝まで起きてるから」とS君に寝るように促した

「大丈夫か?もし眠くなったら起こしてくれ

交代で起きていようぜ」と言ってくれた

まだ・・・足音や声がしてる

少し緊張してきた

家の周りをうろうろしてる

もう1度各部屋を回ろう

妹たちの部屋をのぞいた

寝ている

異常はない

子供たちの部屋をのぞいた

良く寝てる

ここも異常はない

各部屋を見ながら回ったが異常はなかった

結界がよく効いているようだ

もうそろそろ午前1時になる

いつのまにやら足音や声が聞こえなくなった

いなくなったのだろうか?

リビングへ戻った

S君は完全に寝てた

眠気が吹っ飛んだ

完全に目がさえた

冷蔵庫から冷えたコーヒー缶を飲んだ

冷っとしておいしい

椅子に座りスマホをいじくって時間を潰した

いつのまにやら寝てしまった

ここはどこだ

霧がすごい

前が全然見えない

どうやら林の中みたいだ

俺一人なのか・・・

霧の中をさまよってるようだ

ふと原っぱに出た

周りは林だらけ

方向が分からない

仕方なしに適当に歩こう

なにやら風に乗って変なにおいがしてきた

何だろうこの匂いは・・・鼻にツンとくる

風上のほうからだ

なにやら足音も聞こえてきた

どんどん近づいてきてる

そして心臓もパクパクと音が聞こえてるような気がした

嫌な気配

全身の毛が逆たってきた

何か嫌な気分というか感情が出てきたが

とりあえず歩いた

霧がどんどん薄らいできた

前方の景色がぼんやりながら見えてきた

はて・・・・ここは来たことがあるような・・・・

しばらく歩くと前方に小屋が見えてきた

小屋!?・・・・・

ちょっとまて・・・・あの小屋・・・・思い出したぞ

中学生の時のあの嫌な体験を思い出した

あんな出来事が現実にあろうとは・・・・

小屋に近づいた

あれ?・・・・小屋は廃墟じゃない

窓ガラスも割れていない

窓から覗いてみた

中には人はいなかったけれど炭と木材がたくさん置いてあった

どうやら炭焼き小屋のようだ

ん?人の声がした

私は急いで家の裏側へ隠れた

誰かが走ってくる

「たすけてくれ~~~、誰か~~~、鬼が追いかけてくるーーー!!」

「やめろー!!あっちへ行けーーー」

すごい悲鳴が聞こえた

私は恐る恐る顔を上げた

悲鳴を上げていたのはじいさんだ

後ろからなにかが集団で追いかけてきてる

すごい数だ

えええ!!!あいつら餓鬼じゃないか

じいさまは炭焼き小屋へ逃げ込みドアを閉じた

私は急いで林の奥へ逃げた

ちょうど体が隠れる木があったのでしばらくそこから様子を見ていた

餓鬼ともが小屋周辺に集まってきていた

すごい数だ

餓鬼ともはドアを体当たりで壊すと続々と中へ入り込んでいった

「やめてくれーーー、化け物ーーー、助けてくれーーー」

すごい悲鳴だ

バギッ、ボキッと何かの音がする

窓にはすごい血しぶきがついていた

ドアの入り口からなにか飛んできた

・・・・・じいさまの頭だ・・・・

頭だけ・・・・外にいた餓鬼たちはその頭を素手てかち割り中身を食べだした

足や手などが次々と投げられて外にいた餓鬼たちは喜々として奪い合い食べていた

肉を喰らい骨になったものは小屋の中へ無造作に投げ捨てていた

・・・・・オェ、吐き気がしてきた・・・・・

そういうことだったのか・・・あの時の小屋の中の異臭は死体だったのだ

餓鬼ともがじいさまを食べたんだ

私は見てはいけないものを見たようだ

あまりにも強烈なビジョンを見て私は体が動けなくなっていた

そして心臓の音が大きく聞こえてきた

意識が段々と遠のいていくのが分かった

ほおに何かが当たった・・・

私は目を開けた

まだ

意識が朦朧としていた

頭が割れるように痛い

額に手を当てた

血だ!血がついていた

傷は頭の頭頂部あたりだと思うが・・・血が滴り流れていた

餓鬼ともに見つかって頭を叩かれたんだろうか・・・・

でもそれなら私は食べられているはずだ

私は体を起こして周りを見た

え?ここはどこだ?

林の中ではない

炭焼き小屋もない

私は体を起こして立ち上がった

道の真ん中で倒れていたようだ

砂利の道だ

方角が全然わからない

空は厚い雲で覆われていて日差しがほとんどない

まるで早朝か夕方の明るさだ

ここはどこだろう

とりあえず砂利道を歩こう

ハンカチで頭頂部を抑えながら歩いた

みるみるうちにハンカチは血で染まった

なかなか出血が止まらない

なんか疲れてきた

道端で少し休んだ

血がついたハンカチを捨てた

だいぶ出血が止まったようだ

ゆっくりと立ち上がって歩いた

しばらく歩いていると

どこかの集落が見え始めてきた

とにかく絆創膏かなにかもらおう

どんどんと近づいた

だが・・・・・

人の気配がしない

シーンと静まり返っていた

窓からも明かりが一切ない

私は不思議に思い

家の窓から中をのぞいてみた

何もない空っぽの部屋

そんな馬鹿な・・・

隣の家の中も覗いた

何もない

どういうことだ・・・

ただ家の作りが・・・現代風じゃない

江戸時代のような家だ

しばらく砂利道を歩いていくと前方にお寺が見えてきた

集落から出ると周りは田んぼだらけ・・・

でも・・・荒れ放題・・・・雑草が生い茂げっていた

こんな空の明るさではお米は育たないだろ

お寺を見た

何処かで見たようなお寺

はっ!ここは・・・・へ?・・・・S君の実家近くのあのお寺さん?

でも・・・・自分たちが知っているお寺さんの作りじゃないような気がする

でも・・・・ちょいまち・・・・

ここって・・・・もしかして天国????

でも・・・・これが天国なのか?

イメージとは全然違うじゃないか

お寺の門をくぐり中へ入った・・・

唖然とした・・・屋敷が傾き所々に穴が開いていて中が丸見え

廃墟になっていた

雑草が生い茂りとてもじゃないが人がいるとは思えない

オアキ・オハル・タロウ・ジロウ、と両親はどこだ?

住職さんはどこにいる?

村人はどこだよ

なんなんだこの世界は・・・・

音が聞こえない

静寂の世界

虫の音や風の音雑音が一切ない

お寺の奥にも入ってみた

荒れてるだけだ

一体何が起こったのだ

この厚い雲は何だ

あれから時間がたっているのに厚い雲は全然動いていない

私はどっと疲れが出てきた

腰かけるのにちょうどいい石を見つけて腰を下ろした

あれやこれやと考えているうちに眠り込んだらしい

「パパ!!!大丈夫!!起きて!!!」と誰かが叫ぶ声がした

「ううう・・・・」と目を開けた・・・・

頭が痛い

「パパ!!!、頭から血が出ているよ、どうしたの?」とびっくりした顔で楓は聞いてきた

「え・・・・んん、え?うそ!なんで・・・血が出てるんだよ」

もう1度額に手を当てた

血がべっとりとついた

「ママ!!!---大変!!パパ!!血が出てるよーー、ママ、早く来てーー」と楓が大きな声で叫んだ

「おっちーーー!!!パパどうしたの?なんで血が出ているの?はやくタオルで血を拭いて

あーー、頭の頭頂部あたりに傷がある・・・ちょっとまってね・・・タオルで抑えてて」とS子はもうパニック状態

どういうことだ・・・夢を見ていただけだろ・・・夢じゃない・・・リアルだったのか・・・

現に私の頭は傷がついている

夢と同じ位置に傷がついている

どういうことだ?

テーブルに頭頂部あたりをぶつけたとは到底思えない

額なら可能性はあるけれどね

「大丈夫か?どれどれ・・・そんなに傷は深くはないな

とりあえず病院へ行こう、子供たちを学校へ送った後に

病院へ行こうな」とS君が言ってくれた

私はみんなに夢で見た出来事を話しをした

特に3人はあまりの恐怖に固まってしまった

あの体験をした者にしか分からない

それと天国の様子が実際にそうなら今頃大変なことになっている

1ヶ月ほどオアキ・オハルちゃん達が葵に会いに来ていないのは夢のような感じなのではないか

しばらく全員黙ってしまった

「とりあえずは今夜にでも出発してお寺へ行きましょう」とおふくろが言ってくれた

もうそろそろ子供たちを乗せて学校へ行かないと

葵以外は全員登校の準備が出来ていた

「よし!学校へ行こう!!!

F、しばらくタオルで頭を押さえててくれ」とS君の号令で車に乗った

学校へ着き子供たちが順々に降りて行った

「パパ!!早く病院へ行ってね」と楓が言ってくれた

「うん、心配かけてごめんな、楓、匠、仁」と私は謝った

急いで病院へ行った

いろいろと理由を聞かれたが正直には言えないので

狭い所を通ったら頭をぶつけた、と言っておいた

幸いにも縫うほどでもなくガーゼと包帯で頭の部分をグルグル巻きにされた

なんか頭半分ミイラ男みたいだ

病院を出て家へ帰ることにした

「しかし・・・不思議だな・・・夢と同じ場所に傷があるなんで・・・

結界はどこもおかしいところはなかったぞ

正夢にしてはちょっとな・・・・

でも・・・な・・・・今回はやばいというか・・・なんか実力行使をしてきたような気がするな」とS君

「たしかにな・・・この前の過去と未来の夢も・・・実際に赤い花が置いてあったし・・・」と私は

これが何かのというか誰かのメッセージのような気がしてる

お寺へ行くな、なのか

早くお寺へ行って助けてほしい

なのか・・・

あれこれ考えているうちに家についた

「おっちーー、パパ、頭、大丈夫だった?

あぁ・・・ミイラ男になってるぅ・・・・

頭は痛くはないの?」とS子が心配そうに聞いてきた

「いや・・・もう痛みは無いよ

まぁ抑えれば痛いけどね・・・

どうやらあちらさんは実力行使をしはじめたから

今日は全員、家にいてくれ

外に出るとなにかしらあるかもしれないから

特に葵を中心に必ず一人は葵の傍にいてくれ」と家にいた全員に忠告をした

「あたち・・・怖い・・・・パパたち・・・葵を絶対に守ってほしいんだぞ」と葵は少し怯えていた

「もちろんさ、葵ちゃん、全員葵ちゃんを守るから

もちろん、楓ちゃんや仁君や匠君も守るからね」とF子が言ってくれた

「葵は必ず誰かの傍にいるんだよ」

「うん・・・じっちゃんの傍にいるぅ」と葵はオヤジの手を握っていた

「うれしいぜ、葵ちゃん、俺が守るぜ」とトンチンカン親父張り切りすぎだ

出発まで時間がある

みんなそれぞれ準備もあり午前はあっという間に過ぎた

葵はずーとオヤジの傍から離れずにおしゃべりやゲームなどで遊んでいた

おやじも久々の休みで機嫌がいい

昼になりみんなリビングへ集まり

ワイワイガヤガヤと賑やかな昼食になった

S君とS子の兄妹漫才がさく裂してさらに賑やかになった

本当に面白い兄妹だ

朝の緊張感が一気に解放された

今のところ家の中も外も異常はなかった

ただ蒸し暑い

今年の梅雨は雨が多く湿気もすごい

中庭の雑草もすぐに生えるし育つのが早い

そこで葵がオハルちゃんから教わったのか野良仕事の真似をして雑草を取っている

またその姿がそのまんまオハルちゃんそっくり

「葵、昼から中庭の雑草を取ってくれないかな」と頼んだ

「うん、わかったよ、パパ」と葵は返事をしてくれた

「パパが一緒だからね、じいちゃんは少しお休みさせてあけないとね」というと

「うん、じっちゃ、おやすみしてていいよ」

「おう!わかった、しばらくじじぃはやすませてもらうわ」とオヤジは葵に返事をした

食事が終わり葵と私は中庭へ

「こうやって・・・雑草をとるんだぞ、オハルちゃんから教えてもらったんだぞ

オハルちゃんは雑草や小石を取るのが仕事だと言っていたんだぞ

いつもタロウ兄ちゃんが傍にいていつも話しかけてくれてるんだって

疲れたら木陰で休んでもいいよ、と言ってくれるんだぞ

いつも優しいタロウ兄ちゃんだって言っていたぞ」と葵はうれしそうに雑草を取りながら話をしてくれた

家族全員がいることが一番大事だ

今はそう痛感している

「葵、ゆっくりでいいからね。無理せずにね」というと

「うん、わかったよ、パパ」とこっちを向いて返事をしてくれた

S君が来た

「もうそろそろ匠君と仁君と楓ちゃんを迎えに行くよ

まずは匠君と仁君をおふくろさんの実家へ預けてくる

そのあとに家に戻るから」

「ありがとう、気を付けてくれ」と私はS君に頭を下げた

「あぁーーわかってるさ、じゃあいくわ」とS君は玄関へ行ってしまった

「葵、もうそろそろ楓お姉ちゃんが帰ってくるから

手を洗ってリビングで待っていようね」

「うん、手を洗うね、パパ」といいながら洗面所へ私と一緒に向かった

葵が手を洗った後に私も手を洗った

葵を連れてリビングへ戻った

みんなリビングにいた

葵をまたオヤジに頼んだ

「じいちゃ・・・手をつないでほしいんだぞ」

「おう、葵ちゃんのお手てはかわいいから」と言い葵の手を握った

午後も4時を回り玄関で声がした

S君と楓が帰ってきた

「葵、楓お姉ちゃんが帰ってきたよ」というと

「うん」と葵はうれしそうに返事をした

「ありがとう、S君

疲れたでしょ、少し休みなよ」と私はS君をねぎらった

「いやいや・・・あははは、ちゃんと匠君と仁君は実家へ預けてきたからね」とS君は笑顔で返事をしてくれた

「じいちゃ・・・ありがと・・・楓姉ちゃんの傍にいるね」

「おう、ちゃんと傍にいるんだぞ」とおやじは葵に声をかけた

「楓、葵と必ず一緒にいるんだぞ、葵はお姉ちゃんの言うことを聞くんだぞ」と私は二人に必ず二人でいるようにと言っておいた

「うん、わかった、葵は私が面等みるよ」と楓が言ってくれた

「とりあえずは楓と葵はリビングから出ないようにな

出るときはじいちゃんか私に言うんだぞ」と葵と楓に忠告をした

S君はソファで体を休めていた

女子たちはおしゃべりをはじめた

時間はもう午後6時過ぎになっていた

夕食の時間だ

買っておいた弁当を食べた

やはり、頭の傷の所が痛くなり始めた

医者からの処方箋の痛み止めの薬を飲んだ

1時間はあっという間に過ぎた

午後7時になり最後の準備と確認をした

荷物を順々に車に載せた

やはり荷物の量が半端じゃない

1週間分の食糧とお茶・水・ジュースなど

ハイエースの後ろの座席が埋まってしまった

オヤジの車には着替えを中心に載せた

全員、住職様からもらったお守りと薬の点検をした

私は家の中と外を異常かないか見て回った

戸締りもした

忘れ物かないかチェックをして車に乗った

もうそろそろ午後8時になる

お寺に電話をした

「これから出発します」

「はい、事故には気を付けてゆっくりと走ってきてくだされ」

「はい、恐らくお寺に着くのは午前0時前後になるとおもいます」

「いつでもお寺は開いてますから、慌てずにゆっくりときてくだされ」

いよいよ出発だ

車の中はもはやピクニック気分だ

女子4人よくしゃべる

賑やか

S君と交代で運転をする

SAで順に運転を代わることにした

高速に入ると明日が休日なのか少し混雑していた

5つ目のSAで30分ほどの休憩をした

やはり駐車場は混雑していた

ここでも絶対に一人では行動しないようにと忠告をした

隙あらば必ず何かしら仕掛けてくるはず

トイレとジュースを買ったらすぐにみんな車に戻ってきた

車の中でお菓子やジュースを飲みながら休憩をした

S君はカメラの手入れをし始めた

カメラ一式を全部持ってきたようだ

プロの貫禄がある・・・まぁ・・・腕はそれなりだけれどね

「Sアニキ、ここで1枚撮ってよ」とF子が後ろから声をかけていた

「アニキ~~ちゃんと私たちを美人に撮るんだぞ」とS子

「うえぇ~~~」といいながらシャッターを押していた

「パパ、あたち、眠くなってきたんだぞ、寝ていい?」と葵が声をかけてきた

「うん、いいよ、楓も眠るといいよ、着いたら起こすからね」

「うん、パパたちおやすみなさい」と楓と葵はそう言いながら寝てしまった

相当疲れているんだな

楓側の席の窓のカーテンを閉めた

外は真っ暗

幸いにも雨は降っていない

車の交通量が徐々に増えてる感じがする

助手席にいるときは出来るだけ目を閉じているか横を向いて景色をみている

たまに後ろを見て異常はないか確認をしている

S子とF子はあきもせずにおしゃべりをしていた

「お前ら、いい加減にねたらどうだ?」

「ええーー、まだ寝る時間じゃないぞ」

「おっちーー、パパ、子供じゃないんだからさ」

「そうだよ、まだ起きてるからね、ベェ~~だ」

何事こともなく順調に高速を降りた

お寺までまだ少しかかる

コンビニへ寄るようにおふくろの携帯電話に連絡をした

休憩とトイレ

「楓、葵、トイレはいい?」と楓たちを起こした

「うわぁ~~、トイレ?いくぅ~~」

「あたちもいくぅ~~」と二人は手を繋いで車を降りた

私は2人のあとについてコンビニへ入った

コンビニの中はお客は少なかった

用を出してジュースやお菓子を少し買った

2人の娘を車の中に入れた

私は車の外でS君とF子、S子を待った

3人がおしゃべりをしながら戻ってきた

おやじたちもコンビニから出てきた

30分ほど休憩をした

私はもう1度トイレへ行きたくなりコンビニへ入ろうとしたときに

なにか嫌な臭いに気が付いた

風に乗ってきてる感じ

ふと周囲を見ました

畑の方を見た

なにか光ってる感じ

コンビニや車のライトが反射してるのかと思ってた

だがよく見ると左右対称に光ってる

つまり目が光ってた

それも複数体

私はとにかく用を出したかった

急いで用を出してコンビニから出るときにもう1度畑の方向を見た

もう光ってはいなかった

確実に後を付けられてると思う

これは一刻も早くお寺へ着いた方がいい

「S君、いまさっきトイレへ行くときに畑の方で複数の目が光ってた

完全に後を付けられてる

もう出発しよう」と私はS君に話した

「え・・・そっか・・・つけられていたのか・・・

こりゃ早くお寺へ行かなくちゃ・・・」

私はオヤジの車へ近寄り出発するように指示を出した

オヤジの車がゆっくりと走り出した

わたしもオヤジの車の後についた

車内はまたおしゃべりで賑やかになった

私は運転をしながら特に後ろを気にしながら運転をした

S君は左右の横を見ながらたまに後ろを見ていた

つけられてるような感じはしない

どんどんと家並みが少なくなってきた

後ろの方も暗闇がどんどん増してきた

畑や田んぼが見えてきた

街灯もなく真っ暗闇

車のライトが一層眩しい

すれ違う車両も一気に減った

遠くの方にお寺の明かりが見えてきた

もう少しだ

ところが交差点に差し掛かった時だ

左側から猛スピードで走ってくる車があった

オヤジ・・・気づいているのかな・・・・

嫌・・・気づいていない・・・ヤバイ!!!

オヤジも左側の車に気づいたのか・・・急ブレーキをかけた

間一髪だった・・・・

その車は左に曲がり私の車の横を猛スピードで走り去っていった

私は車を停めた

私とS君は慌ててオヤジの車へ走った

「おーい!!オヤジ、おふくろ、大丈夫か?」と叫びながらオヤジの車に駆け寄った

「おやっさん!!!、大丈夫か?」とS君も走ってきた

「子供たちは車の中にいてくれ!!!絶対に外に出ちゃダメだぞ

S子、F子、子供たちを車から外へ出さないように!!」

「おっちーーー、わかったぞーーー」

「パパーーー!!!」

「じぃちゃ・・・」

「おおお、びっくりした!!!なんだありゃ!!!

おい!F!!!、おまえ!車の横を通り過ぎた時に運転席を見たか?」

「いや・・見てない・・・」

「あの車、人が乗ってなかったぞ!!!あの車が左へ曲がるときに

俺はどういう奴が乗ってるんだ、と思って運転席を見たけど

乗ってなかったんだよ・・・・こりゃ・・・いよいよやばいぞ

本格的に実力行使を始めたんじゃねーのかよ」とオヤジは怒り心頭だ

でもこの光景・・・ああああ!!!過去へ行く前の時にぶつかりそうになった車と似てるぞ

危うく楓、葵、私は轢き殺されかけた

確かにこれはやばい

「オヤジたちは先に寺へ行ってくれ」

「おう!!わかったぜ、とりあえず寺へ行くわ、気を付けろよ」とオヤジは一気にエンジンをふかして

猛スピードでお寺へ向かっていった

「S君!運転席へ!!」とS君に指示をした

「わかった」といいながらハイエースへ走っていった

私も走りながら周りの様子を見た

周りは田んぼだらけ

別に変った様子はないように思えた

「おっちーー、アニキたち、大丈夫?

もう少しで事故になってた

あの車の運転手って荒いよね」とS子はびっくりした顔だった

「いや・・オヤジの話では運転席に人がいなかったみたいだ」

「えええ!!うそぉーー、無人の車だったの・・・」

「アニキ!!!これっていよいよ実力行使をはじめたんじゃないの

早くお寺へ行こうよ」とF子は叫んだ

「ああ、急ごう、子供たちはちゃんと席に座ってシートベルトをしっかりと着用するんだよ

楓と葵はお互いに手を繋ぐんだぞ」

「うん、パパ、わかった、葵、手を繋いで」

「うん、楓お姉ちゃん」

「ちょっとスピードを出すからな」とS君

「猶予はないと思う、急ごう」

エンジンをフル回転させて一気に加速させた

もう少しでお寺に着く

お寺が見えてきた

そのままお寺の駐車場へ滑り込んだ

お寺の入り口にオヤジとおふくろと住職さんが待っていた

車から降りた

「おおお、ご無事で・・・オヤジさんから聞き申したわい

危なかったですな・・・多分その車がここら辺の事故を引き起こしてた張本人だと思いますわい

事故を起こした運転手たちが言ってたことは本当だったですわい

さぁ・・皆さんお疲れでしょう

仏間に水ようかんと温かいお茶を用意してますわい」と住職さんはにこやかな顔で迎えてくれた

「わーい!!水ようかん大好き」

「あたちも大好き」と子供たちは大喜び

どっと疲れた・・・

テーブルの上には水ようかんと温かいお茶と子供たちにはジュースが置いてあった

水ようかんと温かいお茶を飲みながら雑談をしていた

子供たちは食べ終わり大人たちの雑談を黙って聞いていた

「さぁさ・・・楓と葵はもう寝ような」

「うん・・・わかった、楓はもう寝るよ」

「アタチも寝るぅ~~」

住職の奥さんが浴衣を持ってきてくれた

例のかわいい浴衣だ

「わぁ!!またあのかわいい浴衣が着れる、楓、うれしい」

「あたちもーーわっ、かわいいっ!、うれしいんだぞ」と葵は大はしゃぎ

二人は浴衣に着替えて大喜びしていた

S君すぐさまシャッターを押していた

子供たちは布団に入り2人でおしゃべり

ここの仏間なら安全だと思う

以前の部屋割りでそれぞれの部屋へ

おふくろはF子たちの部屋に行ってもらった

オヤジは仏間に子供たちを見てもらうことに

「じいちゃ、早く寝ようよ」と楓がオヤジを誘っていた

「おし!楓ちゃん、寝ようか、葵ちゃんも疲れただろ、さぁ寝ようか」

「じいちゃ、葵も眠い、じいちゃ、傍でずーと寝ててほしいんだぞ」

「おうよ、ずーといるから安心して眠ればいいぞ!」

「トイレへ行くときはじいちゃんを起こすんだぞ」

私とS君は交代で仏間の警戒に当たった

もちろん各部屋の見回りもしないとね

午前3時・・・

眠気がすごい

けれど寝るわけにもいかない

家から持ってきた缶コーヒーを飲んだ

各部屋を見て回った、異常はなし

子供たちとオヤジは完全に眠っていた

となりからの女子たちの話し声も聞こえなくなった

外は真っ暗

庭の街灯がボンヤリと幻影を映すかのような優しい光

ホッとする

もう何回も見ているが飽きが全然来ないのが不思議だ

ふと・・・庭の奥を見た・・・・

ん?光・・・・今なにか光ったような気がした

墓場の所でなにか光ってる

うわぁ!!!あいつらだ、あいつらが仏間を見てる

私は慌ててS君揺り起こした

「なんだ・・・・まだ交代の時間じゃないだろ?」

「墓場を見て見ろよ」

「え・・・うわぁ!!!!あいつらか・・・・」

「そうだよ、あいつらだよ、じぃーとこちらの様子を見てる」

「俺、おふくろさんと住職さんを起こしに行くわ」とS君

「頼む、おふくろはそのままその部屋でいるように言っててくれ

住職さんは仏間へ来てもらうように」とS君に頼んだ

遠くから走ってくる足音がした、住職さんが仏間に来た

「こりゃ・・・あかんですわい、すごい数ですな

このお寺に強い結界を張ったんで大丈夫だとは思うですわい」

隣からおふくろとF子とS子が来た

「わぁ!!!すごい数・・・」とS子

「こりゃ・・・私はお経をあげますわい

仏様たちの加護をお願いするですわい」

「アニキ!!!ここのガラス戸を全部閉めて

早く!!!」とF子が叫んだ

「おっ!え、・・・わかったぜ、」

私はガラス戸を全て閉めた

どういうことなんだ?

「アニキ!!!あの餓鬼たち普通の餓鬼じゃない

私たちの行動や心を見ようとしてた

誰しも一つや二つ闇を持っているはず

その闇を利用して私たちを地獄へ落とす気よ

だから・・アニキの夢と思ってたのは次元は違うけど夢と同じように頭の傷がついたんだと思う

でも・・・餓鬼たちには本来備わっていないはず

この餓鬼たちを操ってる者、閻魔大王さまと互角の力を持ってるはず

パパやママしか黒幕は倒せない

お狐様の助けが必要かも

・・・・・・・

あれ?・・・餓鬼たちの存在が消えていく・・・・」

私はガラス戸を少し開けて墓場を見た

確かに段々と数は減ってきている

でもそれは単に夜明けが近いからだろう

これは昼間のうちに餓鬼ともを迎え撃つ準備をしないとね

朝6時になった

もうそろそろオヤジと子供たちを起こそう

朝食の時間だ

「おーーい、子供たち、起きろよ、朝だよ

朝食時間だよ」

「わーーい、朝食だーー」

「あたち、ちゃんと起きたよ」

「やはり、子供たちがいると賑やかですわい

さぁさぁ朝食ですわい」

今日の朝食はお寺さんの特製の料理だ

子供たちは大喜び

夜の緊張感もほぐれた朝食となった

今のうちにお寺さんの敷地内にお守りと塩と薬を隙間なく置いていこう

今夜が勝負だと思う

子供たちも巻き込むかもしれないがなんとかここで食い止めないと大変なことになる

「俺、今のうちにお寺の敷地にお守りと塩と薬を置いてくるわ」

「おっちーー、パパ、気を付けてね」

「パパ、楓も一緒に行きたい」

「楓お姉ちゃんが行くならあたちもいくぅ~~」

「うう、うん・・・ちょっとな・・・仏間にいてほしいな

そこが一番安全なんだよ」

「まぁ・・・大丈夫だと思いますわい

お墓近くまで来たようですから

お墓の方も結界を張りましょう

とりあえず今のうちに気づいたところは結界を張りましょう」

「おっちーー、楓ちゃん、葵ちゃん、ちゃんとパパの傍から離れたらダメなんだぞ

二人でちゃんと手を繋いでパパの傍にいるんだぞ」

「あたち、パパ、楓お姉ちゃんから離れないんだぞ」

「うん、わかったよ、ママ」

とりあえず2人の娘を連れて結界を張ることにした

「F子、仏間から見えるところまででいいから見ててほしい」

「わかったよ、アニキ、もし何かあれば和尚さんに行ってもらうね」

「S君、仏間を中心に何かあれば和尚さんに連絡してくれ」

「おう!、気を付けろよ」

山の頂上へ行く道の所々に薬と塩を置いた

次はお墓の外堀辺りを順に薬と塩を各所に置いた

「葵、塩をまずここに置いて、それから手に持っている塩を適当にばらまいでごらん」

「うん、わかった・・・塩をここにい置いてと・・・あとは・・・エィーー」

「そうそう、うまいうまい、そういう感じだよ」

「えへへへ・・・パパに褒められたんだぞ」

「楓は薬を間隔を開けて置いておくれ」

「うん、パパ、こうかな?」

「そうそう、うまいうまい、2人とも上手だ」

ぐるりとお寺の敷地内に塩と薬とあとは重要なところにはお守りを置いてきた

これでお寺全体の結界は出来た

とりあえず仏間へ戻ろう

「さぁ・・・仏間へ戻ろうか」

「うん」

今にも雨が降りそうな天気だ

さてともう一仕事

オハル・オアキちゃん家族のお墓の掃除をしないとね

今さっき、ちらりとお墓を見たけれど

餓鬼ともの足跡がそこら中についている

それとお墓を倒すときにお墓に相当な力で倒したんだろう

手の跡がくっきりと残っていた

お水とお酒とカップを用意してもらった

「お墓、だいぶ汚れてますわな

暇を見つけて掃除をしようかと思ってましたわい

でもこうも雨ばかり降られては掃除が出来なかったですわい」

「6月に入ってから雨が多いですからね

雨が降らないうちに掃除をしますね」

「すまんこったのぉ

よろしくおねがいしますわい」

「葵、楓、オハル・オアキちゃんたちのお墓の掃除をするよ

一緒に来ておくれ」

「おっちー、私も掃除するのを手伝うよ」

「あたちもオハルちゃんのお墓の掃除をするぅ」

「うん、わかった、パパ、ママも一緒なら私も掃除するよ」

「おっちー、うれしいんだぞ

親子でご先祖様のお墓を掃除しようね」

「おやじ・おふくろは今のうちに寝てておくれ

S君、F子も仮眠をとった方がいいかも

和尚様たちも今のうちに仮眠をどうぞ」

「だな・・・俺、今のうちに寝るわ

昼頃に起きてくるから」

「わたしもこの仏間の所で横になってるね」

「じゃあ・・私らもお言葉に甘えて寝てきますわい

昼頃に仏間へ来ますわい」

「おう!じゃ、寝てくるわ」

「待て!オヤジ!仏間にいてくれ、F子がいるから、おふくろも仏間にいてくれ」

「お!そうだった・・・仏間の所で寝るわ」

さてと・・・

家族でオハルちゃん一族のお墓まで雑談しながら歩いた

仏間からおふくろが見ていた

午前11時過ぎ

空模様が一段と悪くなってきた

山の天気は変わりやすいというけれど本当だな

「葵はお墓周りの雑草を取っておくれ

楓はママと協力してお墓本体の掃除をしてくれ」

「あたち、野良仕事するぅ~~」

「え!、葵、野良仕事じゃないよ

雑草を取るんだよ」

「うん・・・だから野良仕事・・・」

「おっちー、仲良くお掃除してね」

「疲れたら適当に休んでいいよ

ここにお茶を置いておくからね」

「うん、パパ」

「葵、雑草を取るのうまいね

オハルちゃんと一緒に中庭で「野良仕事」してるから

慣れてるね」

「うん、オハルちゃんから教わったんだぞ

オハルちゃんはタロウ兄ちゃんから教えてもらったんだぞ」

「おっちーーー、そうなんだ、葵ちゃんはオハルちゃんと遊んでるんだ」

「うん、そうだよ、ママ

オハルちゃんとお友達だよ

オハルちゃんはあたちとおなじ年頃なのにいろんなこと知ってるんだぞ」

「そうなんだ、オハルちゃんは物知りなんだね」

((まぁ・・・そりゃ物知りだわな

オハルばあさまは90歳生きた

あの激動の時代を生き抜いてきたんだから

オアキ・オハル姉妹の2人で生き抜いてきたんだ))

家族でワイワイとおしゃべりしながらお墓の掃除をした

だいぶ汚れが落ちた

楓・葵も少し疲れたようだ

「よし!ここで一休みしようか」

「おっちーー!お茶をみんなで飲もうね」

「うん、喉が渇いだ」

「あたちも、喉カラカラなんだぞ」

「そういえば、オハルちゃんも「おっちー」と言うよね

ママも「おっちー」と言うし

オハルちゃん歩くときも「おっちー、おっちー」と言いながら歩いてるよ

あたち、おっちー、一緒の意味なのかな?」

「おっちー、ママのは生まれた時に「おっちー」と言ったみたい

みんな仰天したと言ってたよ、普通は「オギャー」だけどね

ママも小さい時には「おっちー、おっちー」と言いながら歩いてたから

ねぇ、パパ」

「たしかに、ママは「おっちー、おっちー」と言いながら歩いてたな

パパやママやF子おばさんやSおじさんはオアキ・オハル・タロウ・ジロウ兄妹の生まれ変わりかもしれないんだよ

4人とも仲がいいだろ?」

「うん、確かに、パパたち仲いいもんね、うらやましいくらいだもん

楓、最近、匠兄ちゃんや仁兄ちゃんたちと一緒に遊んでない

お兄ちゃんたち宿題やなんか学校の用事があるみたいで楓や葵たちと遊んでくれないよ、パパ」

「あたちも・・・兄ちゃんたちと一緒に遊びたいんだぞ

このまえ、匠兄ちゃんの部屋へ行って「にいちゃ、遊んでほしいんだぞ」と言ったら

「忙しいからな、またな」と言われたんだぞ、葵、少し寂しいんだぞ」

「おっちー、お兄ちゃんたちはいろいろと忙しんだぞ、匠君は来年は中学だし

仁君は小学校5年になるし

葵ちゃんも来年は1年生でしょ、楓ちゃんは3年生になる

お兄ちゃんたちこれからもっと忙しくなるからね

楓ちゃん、来年は葵ちゃんと一緒に登校するからね

葵ちゃんの面等は楓ちゃんが見るんだよ」

「うん、わかった、葵は私がめんとうみるからね」

「あたち、保育園や幼稚園行っていないからみんな、あたちと一緒に遊んでくれるのかな・・・

でも、楓お姉ちゃんがいるから安心なんだぞ」

私とS君で2人の妹のF子やS子の面等を見てきた

特にF子は人見知りが激しくてクラスで浮いていた

S子も同じで完全に一人ぽっちだった

なんとか私とS君が休憩時間に妹たちのクラスへ行き

妹たちと一緒に過ごしてきた

2人とも我慢強く耐えてきた

葵も・・・もしかしたら・・・浮くかもしれない・・・

まぁ葵の場合は自分からなんでもすすんでいくタイプだから恐らく大丈夫だとは思うが・・・

最悪・・・楓に面等をみてもらおう

雑談していると

和尚さんがやってきた

「おお、これはこれは、綺麗になりましたな

ありがたいことです

水ようかんとジュースとお酒をもってきたですわ

まずはオハルちゃん兄妹に水ようかんとジュース、父上母上様にはお酒を

置いておきましょう」

「うん、あたちが水ようかんを置くんだぞ」

「私はジュースを置くね」

「おっちー、私はお酒を置くんだぞ」

「安らかに、そして天国が無事でありますように・・・」

((おっちーー、大きなお兄ちゃん、大きなお姉ちゃんたち、そして、葵ちゃん、楓ちゃん

ありがとう!!!・・・・オアキお姉ちゃんやタロウ兄ちゃんたちも喜んでるよ

今・・・・ここは・・・・たい・・・へん・・・))

「え!、なに?S子聞こえたか?」

「おっちーー、あの声はオハルちゃんの声だぞ

久しぶりに聞いたんだぞ

でも何か様子が変なんだぞ」

「ですわい・・・最後らへんが聞き取れなかったですわい

どうも天国で騒動が起きていそうですな

今夜、餓鬼たちが大暴れするでしょう

さて・・・そろそろお昼ですわい・・・

仏間へ戻りましょう・・・」

「うん、戻ろうよ、パパ」

「あたちも戻るんだぞ」

空も完全に雨が降りそうな感じ

仏間へ戻ろう

仏間では昼食の用意がしてあった

おにぎりやお寿司など

と・・・オヤジ!!!勝手に食うなよ

「おい!オヤジ、まだみんな揃ってないだろ、なんで勝手に食ってるんだよ」

「腹減ってな・・・大丈夫だ、まだ残ってるぞ」

いや・・・そういう問題じゃないだろ

「じいちゃ・・・・あたちの好きなタマゴ寿司・・ない・・・

ないんだぞ!!!」

「は!・・・食べちゃったかな・・・・」

「・・・じいちゃ・・・将来・・じいちゃのお嫁さんになるつもりだったけどやめたんだぞ!!!」

「へ!?・・・お嫁さん?葵ちゃんがわしのお嫁さん?うれしいこといってくれるねぇ!!!」

トンチンカン親父・・・あと20年生きてるかどうかわからんだろ・・・

はぁ・・・夢の中ではしぶとく生きてたな・・・・

葵の結婚式にいた・・・・

葵から花束もらって喜んでた・・・

オェッ!

「じいちゃ・・・バカッーー、ワァーー」と大声で泣き出してしまった

「あんた!!!葵ちゃんに謝らんかい!」とおふくろの大きな声

「あ・・・・すまんな・・・葵ちゃん・・・」とオヤジ、平謝り

「おうおう・・・賑やかですな

いいもんですな、大家族は

葵ちゃん、タマゴ寿司はまだあるからね」

住職の奥さんが残りのタマゴ寿司を持ってきてくれた

「あらあら、大きな涙を流しちゃって、かわいいねぇ

葵ちゃん、お食べなさい」

「わぁ!タマゴ寿司、よかった・・・おいしい!!」

「葵ばっか・・・じいちゃ・・・私の好物もたべたでしょ?」

「え?は・・・・食べたかも・・・・」

「じいちゃ・・・今後1週間、じいちゃんと口を利かないからね!!!!!」

「ええーー、楓ちゃん・・・F子ちゃんどうしよう・・・」

「・・・・」無視する楓

「・・・・」同じく無視するF子

「あ・・・・」

「F!てめぇーーーしばくぞ!!!」

はぁ・・・・

オヤジよ、天罰だよ

「おっちーーお義父さん、食い意地張ったらダメなんだぞ」

「はい・・・S子ちゃんの言う通り・・・」

オヤジ完全に撃沈・・・隣の部屋へ退場!!!

なんやかんやで賑やかな昼食だった

とにかくS君、S子兄妹が絡むと一気に場は和むし面白い

「じいちゃ・・・大丈夫かな・・・楓、見てくるね」

「ちょいまち、パパも一緒だよ」

「うん、パパ」

楓と一緒に隣の部屋へ行ってみた

寝てた・・・・

さすが・・・

そのまま寝がしておこう

「じいちゃ・・・寝てた・・・」

外はいつのまにか大粒の雨が降り出していた

山の頂上の神社もかすんで見えない

雨粒の音だけがしていた

ドーーンと雷が鳴った

山の付近だと雷の音はすごい

「ぎゃーー!!ママ、怖い」

「あたちも・・・」

楓と葵は雷の音で完全にビビっていた

子供たちはとりあえずお昼寝させよう

「おっちー、楓ちゃん、葵ちゃんはお昼寝なんだぞ」

「雷怖いからお昼寝するね」

「あたちも・・・お昼寝するぅ」

「お姉ちゃん・・オテテ・・・」

「ママ、傍にいてよね」

「おっちー、傍にいるからね」

S君とF子は外を見ながら何か話してた

おふくろは新聞を読みながら辺りを見回していた

住職様と奥様は奥の部屋へ行ってしまった

さて・・・すこし見回りをしよう・・・

「S君、少し辺りを見てくるから

仏間をよろしくな」

「おう!!気をつけてな!」

「アニキ!!外は私が見てるからね」

隣の部屋のオヤジの様子を見たけれど異常なし

各部屋を順々に見て回った

倉庫というか蔵の方も行ってみた

・・・え?・・・この花・・・・夢の中の花とそっくり・・・

蔵の近くに雑草と一緒に大きな赤い花が咲いていた

夢の中で葵の結婚式の時に葵からもらった花によく似てる

恐らくお寺さんから摘んできたのかな・・・・

正夢・・・になるのかな・・・・

((じいちゃ・・・・おてて・・・))

え・・・・空耳!?

楓の声とよく似てたな・・・

疲れてるのかな・・・・

本堂の方も見てから

仏間へ戻ろう

もう1度オヤジの様子を見た

寝てる・・・・

仏間へ戻った・・・

え?・・・・全員寝てる・・・・

どういうこと?

んん!?あれ・・・葵と楓は?

いないぞ!!!

ひょっこりと葵が帰ってきた

「あれ?楓は?」

「お姉ちゃんはトイレだよ、一緒にトイレへ行ったんだぞ

でも楓姉ちゃん、トイレに入ったまま出てこないんだぞ

待つの飽きたからあたちだけ戻ってきたんだぞ」

えええーーーー

これはあかん

私はS子を揺り起こした

「おい!S子、起きろ、楓がいなくなったぞ!!」

「もうおかわりはいいよ、パパ・・・」

「おいおい、起きろよ」

「あ・・・パパ、・・・」

「大変だよ、楓がいないぞ」

「ええーーー、あ!!いない・・・」

わたしは全員を起こした

S子とF子はトイレへ行ってもらった

おふくろは仏間で葵と一緒にいてもらうことにした

S君は各部屋を順に見て回ってもらった

いない!!!

トイレにもいなかった

私はすぐに玄関へ行った

楓の靴を確認した

靴はあった

ということは外には出ていない

和尚様を呼んだ

「そりゃ大変だわい

このお寺のどこかにいると思うんじゃが

各部屋にはいないとな・・・・・

トイレもいない・・・・

すれ違いに楓ちゃんにはあっていない・・・

おかしい・・・

ここの長い廊下は各部屋につながってる

本堂はみましたかのぉ?」

はぁ・・・まだだ

急いで本堂へ行ってみた

いない!!!!

本堂は一般の人も出入り自由

もしかしたら・・・連れ去られた!?

そんなことは・・・・

どこだ?

待てよ・・・・蔵の方は見ていないぞ

私は和尚様と一緒に蔵へ行ってみた

鍵がかかっている

「まさかのぉ・・・鍵がかかってるんで中にはいないと思うわい」

「和尚様、念のために鍵を開けてください」

「そうじゃな・・じゃあ開けるわい」

中は真っ暗

「明かりをつけますわい」

明かりが点いた

「あああ!!!楓!!!!」

楓が中で倒れていた

「楓、大丈夫かい?パパだよ」

私は楓を揺り起こした

なかなか目が覚めない

「楓、聞こえてるかな?パパだよ」

「なかなか目が覚めませんわいな

どれ・・・ちょっと荒いけれども・・・エイヤッ!!!」

和尚様は楓を半起こして背中に手を当て一気に気合と大声を出した

「ううう・・・・」

「おお、気づかれましたな・・・」

「はい、楓、パパだよ」

「あ!パパッーーー!!!あれ・・・ここはどこ?」

「蔵の中だよ、覚えてないのかい?」

「うん・・・用を済ましてトイレを出たら・・・なんか暗闇の中に出た

そしたら・・後ろから誰かが楓の背中をおもっきり叩かれて・・・」

「ええええ!!トイレから出て・・・・

まるでドラえもんの「どこでもドア」みたいだな」

「とりあえず・・ここはあんまし空気がよくはないみたいじゃわい

仏間へ行きましょう・・・」

「さぁ・・・楓、パパの背中におんぶしなさい」

「うん、パパ」

私は楓をおんぶした

(え!・・・楓ってこんなに重かったのか・・・それに・・・体が冷えているのか・・

なんとなく生気のない楓の体温・・・なんだろうな)

私は少し違和感を感じながら楓をおんぶして仏間へ戻った

「楓がいたよ、みんな!!!」

「おっちーー、楓ちゃん、無事でよかった、ママ、心配したんだぞ!」

「ママ・・・ごめんね・・・」

「楓姉ちゃん・・・あたち・・・勝手に一人で戻ってきたんだぞ・・・

みんなあたちが悪いんだぞ・・・・みんな・・・ワァーーーー」

葵が大声で泣き出してしまった

「おっちーー、葵ちゃんは悪くはないよ

泣かないでおくれ、ママも泣いじゃうんだぞ」

「ママーー、あたち・・・・」

「いい子だね、葵ちゃんは、お姉ちゃん思いの優しい子だわい」

と和尚様はニコニコしながら葵の頭を撫でてくれた

「楓お姉ちゃん、ごめんなちゃい・・・お姉ちゃん、おてて・・・」

「うん・・・葵、気にしないでいいよ」

(あれ・・・楓姉ちゃんのお手てって・・・こんなに冷っとしてたかな・・・)

「おい!オヤジ、すまないが今晩、ひとりで蔵の見張りをしてくれ

あとで要るものもっていくから」

「おうよ!!!まかしておけ!!」

さっそくおやじには一人で蔵へ行ってもらった

どうも・・・蔵の方が今回は重要な気がする・・・

なんで・・・楓を蔵の中へ・・・

私は和尚様とトイレへ確認をすることにした

「和尚様、一度トイレを調べましょう」

「ですわい、普通のトイレだと思うけれど

わかりもうしたわい」

もう午後4時を過ぎだ

「うむ・・・普通だと思うですわい

どこも変わったところはないですわい

不思議ですわい・・・どうしたらトイレから蔵へ行けたのか・・・」

「私もトイレのドアに仕掛けがあるとは思えません

なにかの作用が働いたのかもしれません

タイミングよくね

私が一度トイレへ入り鍵を閉めて5分間中にいます

5分だったら出てきますので外で待っててください」

「わかりもうしたわい」

5分が経った

私はトイレのドアのカギを開けて外へ出た

無事にトイレの外へ出た

「うむ・・・・何も起きませんでしたわい

やはり・・・何かの作用ですわい

もうそろそろ夕食の時間ですわい

仏間へ戻りましょう」

和尚様と私は仏間へ戻った

「俺、オヤジにお水とお茶とお菓子と寝袋と懐中電灯と木刀を持っていくよ

みんなは仏間に絶対にいてくれ

もうそろそろ夕食の時間だし

とくに楓と葵は絶対に仏間にいるんだよ

トイレなどこの仏間から出るときはSおじさんと一緒に行くんだよ」

「うん、わかったよ、パパ」

「あたちもわかったんだぞ」

「F!まかしておけ!!!」

「おっちーー、みんなここにいるんだぞ」

私は急いで車から寝袋を取りに行った

やはり寝袋を持ってきてよかった

ゴミ袋に荷物を詰め込んだ

オヤジのいる蔵へ行った

「オヤジ!もってきたぞ

コンビニのおにぎりとサンドウィッチだけどごめんな

お茶とお水

懐中電灯に寝袋と木刀

眠くなったら無理せずに寝袋の中で寝てくれ

たまにこっちにも見回りに行くからな

この蔵は仏間からだと全然見えない

和尚様の奥の部屋からしか見えない

もし何かあったら携帯で知らせてくれ

または和尚様のいる奥の部屋へ逃げてくれればいい

俺とS君が徹夜で交代で起きてるからな」

「おおお!ありがとな、今夜は少し冷えそうだ

寝袋かぁ・・・ありがたい

まぁ・・無理せずに見張ってるさ・・・」

「あぁ・・・一人だけど大丈夫だよな・・・」

「大丈夫だ!!なにかあれば連絡するからな!!」

今夜に何かが起きそうだ

各部屋を見回りつつ仏間へ戻った

本堂にも本当は一人置いておきたかったけれど

ちょっと無理・・・まぁ・・・隣の部屋から本堂が見えるので

隣の部屋から本堂を見ててもらおう

S子やF子、またはおふくろにみてもらおう

「S子、F子、おふくろ!済まないが夕食が終わったら

隣の部屋から本堂を見ててほしい

何かあれば携帯か仏間まで来て知らせてほしい」

「おっちーー、パパ、わかったんだぞ」

「うん、アニキ、わかったよ」

「F!、わたしがずーとみててやるさ」

それと必ず2人で行動するようにといつもの如く指示をした

それと隣の部屋は常時2人いるようにと指示をした

仏間には必ずS君とS子かF子にいてもらうように頼んだ

外は一段と激しい雨が降り出した

雷こそないが薄気味の悪い感じだ

今日なのか明日になるのか・・・何かが起きそうだ

夕食はオヤジを除いていつものごとく賑やかな食事になった

「F!おやっさん、一人で大丈夫かな?

雨もすごいし」とS君が心配そうに聞いてきた

「大丈夫さ、オヤジは悪霊だぜ

蔵へ行く渡り廊下にいるからさ

あそこなら雨にぬれずに済むし

寝袋も置けるし、まぁ・・・明かりはないけれどな

蔵周辺は明かりが無いから真っ暗けだけどな

まぁ・・なんとかやってくれるさ」

「そっか・・・まぁ・・交代でおやっさんの様子を見ような」

「交代でな、各部屋を交代で見回りしよう」

「かならず仏間に俺かS君がいるようにしないとな」

「だな」とS君はうなずいた

夕食も終わり

女子はおしゃべりをしてた

「もうそろそろ、おふくろとF子、隣の部屋へ行ってくれ」

「アニキ!、わかったよ、S子ちゃんと交代で見張るからね」

「おう!もし眠くなったらそのまま寝てもいいよ

おふくろが必ずいるからな」

「頼むぞ」

本堂は一般の人が出入りするそうだ

今日から一応お断りの看板を出したけれど・・・・

夜中に本堂へ来てお経をあげる人や仏さまと対話する人など

色々いるそうだ

だから24時間オープン

さて・・・夜も午後8時が過ぎた

和尚様は本堂へお経を上げに行かれた

本堂のお守りも兼ねてしばらくいてもらうようにお願いをした

和尚様の奥様は仏間か隣の部屋ににいてもらうようにこれもお願いをした

私は蔵の方へ親父の様子を見に行った

もちろん各部屋をチェックしながらね

隣の部屋ではおしゃべりをしながらも外の様子を見ていてくれた

「和尚様、ずーとお経をあげてるね

今さっき、一般の人が来て座禅を組んでたよ

外の様子は今のところ異常はないよ、アニキ!」とF子がにこやかに私に話しかけてくれた

「おっちーー、パパ、そうピリピリしなくてもいいと思うぞ

もっとリラックスしてほしいんだぞ

まだまだ夜は長いからね」とS子は私にねぎらいの言葉をくれた

「ありがとな、確かに夜は長いからな

眠くなったら寝てもいいぞ」と私は妹たちに言った

妹たちの部屋を出て長い廊下の奥を見た

長い廊下だ

シーンとして静かだ

外からは雨音がよく聞こえる

オヤジは座ったまま辺りを見回していた

「オヤジ!ごめんな、一人で見張りをさせてな

何か異常はない?」

「おう!別に気にしちゃいないさ

それよりもおチビちゃんが気になってな

また何かしらの力で楓ちゃんや葵ちゃんがいなくなるんじゃねーかと思ってな

たまにこの廊下を見てるんだが・・・

あんまし気持ちのいいもんじゃねーよな、この廊下はよ

それとちょこちょこと蔵のあたりを見回ってるんだが・・・

なにかどう説明したらいいのか・・・何かしら蔵の中にいるような気がしてな・・・

別に蔵の中から音がするとか気配がするとかじゃねーんだけどな

でもな・・・まぁ・・・気のせいかな・・・

一度クソボウズをここへ呼んで蔵の中を一度みたほうがいいじゃんねーかと思う」とオヤジは蔵の中のことが気になるらしい

「そっかぁ・・・俺も・・・蔵の中へ入ったときに嫌な空気というか

表現しにくいけど・・・何かが違うと思った

和尚さんを呼んでくるわ、ちょっとまっててくれ」

「おう!頼むぞ!!」

私も蔵へ入ったときに感じたモヤモヤ感

何かが違う

空気?かな・・・

とりあえず私は本堂へ向かった

「和尚様、お経のお邪魔をして悪いですけれど

私と一緒に蔵へ来てもらえませんか?」

「ん?蔵の方で何か異常でもありましたかのぉ」

「いえ・・・どうも蔵の中が気になりまして

オヤジも蔵の中が気になってるらしいです」

「オヤジさんかのぉ・・・わかりもうした

蔵へ行きましょう」

私は和尚様と一緒に蔵へ行った

「オヤジ!和尚様を連れてきたぞ」

「おう!ありがとな

おい、くそぼうず、どうもなぁ・・・蔵の中が気になってな

一度蔵の中を見させてくれ」

「わかりもうしたわい

開けましょう」

和尚様は鍵を手に持ち開けてくれた

そして部屋の明かりをつけた

「まぁ・・・見たところ別にというか・・・・なにもないと思うのですわい」

「ちとまってな・・・・ここらへんか?楓ちゃんが倒れてたのはよ?」

「そうだよ、ここらへんだ

楓の話だと後ろから背中を叩かれて倒れたとか・・・

何か気になるのか?オヤジ」

「まぁ・・・しかし、暗闇でどうしたら楓ちゃんの背中を叩けるんだ?

おかしいとはおもわないか?」

「確かにな・・・明かりが無いと蔵の中真っ暗けだしな・・・

それと楓をおんぶしたときに楓がすごく重かったんだよ

ひさしぶりにおんぶしたけれどあんなに重いものなのかな・・・

気のせいかと思ってた・・・」

「あやしいな・・・本当に倒れてたのは楓ちゃんかな・・・

見た目は確かに楓ちゃんだが・・・・

気になるな・・・一度仏間へ戻って様子を見て来いよ、F!」

「うん、そうするわ、和尚様も仏間へ来てください」

「あれだけの結界を張ってるのに・・・中へ入れるのかのぉ・・・・

とりあえず仏間へ戻りましょう」

私たちは急いで仏間へ戻った

S君と住職の奥さんは寝ていた

「ああ・・・・おいS君寝てたらあかんじゃんかよ」

「え・・・あ・・・あっ!すまん!いつのまにやら寝てしまった・・・」

おチビちゃんたち・・・・

楓がいない・・・

「ああ・・・楓がいないぞ・・・」

「えええーーーーあっ!ほんとだ、楓ちゃんはどこだ?」

葵一人だけ寝ていた

楓は消えた

どこへ行ったのか?

「葵、起きて、葵」

「んん・・・・パパ・・・・どうしたの?あたち、眠い・・・」

「葵、楓お姉ちゃんはどこ?」

「楓おねえちゃんは隣に寝てるでしょ?

あれ!!!いない、お姉ちゃんはどこ?パパ」

「ああ・・・どうしよう・・・やはりあの楓は偽者だったんだ

本物の楓はどこにいるんだよ」

「すまん・・・・F・・・・俺が寝たばかりに・・・」

「いや・・S君・・・寝てたのは偽者の楓だよ

まんまとやられたよ・・・・

もっと早く気づけばよかった・・・・」

「パパ・・・アタチ・・・パパに言おうと言おうとおもってたことがあるの・・・

楓姉ちゃんのおてて・・・・いつもは温かいのに寝ていた楓姉ちゃんのお手て、冷たかった・・・

それに・・・アタチがいつものように話しかけたら「うるさい!チビ!おまえはさっさと寝なよ」と

すごい形相で言われた・・・いつもの楓姉ちゃんじゃなかった・・・・怖かったんだぞ・・・」と葵は今にも泣きそうな顔をしていた

「そっか・・・ごめんな、葵・・・早く気づくべきだった・・・」

「おふくろ、すまんが、F子とS子を呼んできてくれ」

「はいよ、一大事だ、呼んでくるよ」

おふくろは慌てて隣の部屋行った

隣からF子とS子が血相を変えて走ってきた

「おっちーーー!!!!パパ!!!楓ちゃんはどこ?」

「アニキ!!!わたしの直感、もうダメかも・・・年々落ちていく・・・」

「とにかくもう1度お寺の中を探そう」

2人一組でお寺の中を探すことにした

仏間には和尚様の奥さんとおふくろと葵を残して楓を探すことになった

時間はもう夜の11時過ぎ

本堂や各部屋やトイレなど主要なところを探したが見つからない

あとは蔵の中

「あとは蔵だけですな・・・オヤジさんの所へ行きましょう」

「オヤジ・・・大変なことになった、楓が消えた・・・

やはり・・・倒れてたのは偽者だった・・・お寺の中を探したけど見つからなかった

後は蔵の中だけ・・・」

「なにぃーーーーー消えた・・・おい!S君よ、すまんが急いで仏間へ戻ってくれ

もしものときに葵ちゃんやF子やS子ちゃんや家内を乗せてこの寺から離れてくれ」

「え・・!?は、はい!!!わかりました」

S君は慌てて仏間へ戻っていった

「オヤジよ・・・これって・・・いよいよもって奴ら、マジで攻撃してる

でも・・・結界の中に入れるもんかな、和尚さん?」

「おかしいですわい・・・普通は結界の中へ入れないはずですわい

ましてや・・・仏間の中は特に・・・なにかがおかしい・・・」

「和尚さん・・・その結界って今も有効に働いているんですか?」

「え!?・・・もちろん・・・働いてると思うですわい・・・」

「おい!くそぼうず!!なんか歯に詰まったようなしゃべりだな・・・

正直に言えよ」

「あ・・・いやぁ・・・そのぉ・・・わたしらまんまと罠にかかったような・・・

あのときに蔵の中へ入ったときに・・・恐らく結界を切ったのではと思うのですわい

倒れていた「楓」ちゃんはあれは幻だったのではと今思うのですわい

まんまと誘われたんですわい・・・・

そしてわたしら自ら結界の糸を切ったんですわい

そこから餓鬼ともが入り込んでその幻の楓ちゃんを餓鬼の妖術で一瞬にすり替わったのではと思うのですわい

ですからおんぶしたときに重かったんですわい」と和尚様は顔面から血の気が引いていた

完全に完敗だ・・・これはやばいぞ

私はあわててS君の携帯に電話をした

「S!やばい、F子、S子、葵、おふくろ、和尚様の奥さんを連れて車の中へ逃げてくれ

そのまま構わず寺から出てくれ、早くしてくれ」

「えええ!!!おうっ!わかった!寺から出るわ」とS君

「とりあえず俺たちもこの寺から一旦出よう」

「ですわい・・・一度寺から出ましょう」

私たちは慌てて蔵から出て渡り廊下へ出た時だ

ものすごい炎と煙が蔵の入り口から見えた

「えええ、蔵が燃えてる、マジかよ・・・間一髪だった・・」

「なんでことだ・・・・大事な資料などあるんですわい・・・」

「おい!消火!消火、早く火を消せ」

「おっそうだった・・・」

私たちは準備していた消火器を使い火を消そうとしたが炎の勢いが強くなかなか消火できない

「こりゃだめですわい、119番しますわい」と和尚様は119番をした

「パパーーーー、助けて~~~、熱いよーー、誰か助けてーーー」

「ええ!!今の声、楓・・・そんな・・・・まさか・・・」

「俺も聞こえたぜ!楓ちゃんの声だ!」

「確かに聞こえましたわい・・・でも・・・餓鬼ともかも・・・楓ちゃんの声を真似て誘ってるのかも・・・」

「ありえます・・・けれど・・・本物だったら・・・

俺、火の中へ入ります、楓を探してきます」と私はバケツの中の水を頭からかけてバケツを持って蔵の入り口へ走ろうとした

「あぶないですわい!!罠だったらどうします?もうすこしで消防車が来ますわい」

「消防車を待ってられません、罠でもいい!楓を探してきます」と私は和尚様の忠告を無視して入り口へ行き蔵の中へ入った

「パパ~~~!!!たすけて~~~、あついーーーあついいぃーー」

「楓、どこだ?パパだよ」

「パパ!!ここだよ」

声の方向へ私は走った

とにかく熱い、ハンカチで口をふさぎながら声がする方向へ向かった

「パパ、たすけてーー」

見つけた!!!楓が立ちすくんでいた

まだ楓の周りには幸いにも火がついていなかった

「楓、大丈夫だ、こっちへおいで」

「あっ!!!パパ、助けに来てくれたんだ!!!」と楓はうれしそうに私のところへ駆け寄った

私はハンカチに水を含ませて楓にそのハンカチで口をふさぐように言った

そしてバケツの水を楓の体にかけた

「パパ~~、ここから早く出ようよ」

「そうだな、早く出よう!!」

私は楓をおんぶした

まちがいない本物の楓だ

しかし・・・煙が充満していて方向が分からない

どうしよう・・・・

((小さい時の私だ・・・若い時のパパだ!あの時、パパが助けに来なかったら私は焼け死んでいたわ

))

「え!?なんだ今の声は・・・」

私は空耳かと思った

((パパ!私の指示通りに動いて!!))

「え?誰?なに?」

((パパ、そのまま真っすぐに歩いて!!))

「ええ?まっすぐ?・・・わかった・・・」

私は声の主の指示通りにまっすぐにゆっくりと歩いた

((そうそう、ちょっと止まって))

「あ!うん」とわたしは指示通り止まった

その直後に横から火のついた木の棒が倒れてきた

「わぁ!!!あぶない!」と私は叫んでしまった

((危なかったね、パパ!!!、そのまま今度は右へ曲がって))

「うん、右だな」私は言うとおりに

右へ曲がって歩いた

辺りは炎と煙で全然前が見えない

「楓、大丈夫かい?」とおんぶしている楓に話した

「うん、大丈夫、パパ!!」

((パパ、次は左へ曲がってね!曲がったらそのまま歩いて出口へ出るからね!!))

「うん、わかったよ」と指示通りに左へ曲がりそのまま真っすぐに歩いた

出口に人が立ってるような気がした

「パパ!、私を助けてくれてありがとう!!」と出口にいる人影から聞こえてきた

私は出口から出るときにちらりとその人影を見た

「えええ!!!君は・・・・」

「うん、パパ、また未来で会いましょうね・・・バイバイ」

そう言いながらその人影は消えていった

やっとのおもいで蔵の外へ出た

蔵の外では消防隊がいた

消火活動をしていた

なんとか火は消えた

だが・・・蔵の半分が焼けてしまった

オヤジが飛んできた

「おい!おおお!!楓ちゃん、よかった、さすが俺の息子だ!!!」

「じいちゃ・・・怖かったよ・・・パパが助けに来てくれたよ」と楓は緊張感が一気に抜けたのか大声で泣き出した

「おっちーーー!!!楓ちゃん!!!よかった、パパも無事でよかった」とS子があわてて駆け寄ってきた

「ママ・・・・わぁーーー」と楓は泣き続けていた

「楓姉ちゃん・・・・よかったんだぞ・・・心配したんだぞ」と葵もS子の後ろから声をかけてきた

葵は楓の傍により楓を見ていた

「よかったですわい・・・無事で何よりですわい・・・」

蔵の火も完全に消えた

辺りは焼けた匂いで充満していた

幸いにもけが人は出なかった

楓も無事だった

もう完全に完敗

考えが甘かった

現場検証がはじまった

消防と警察から詳しい事情聴取を受けた

こちらも出火の原因は分からないと答えた

まさか、餓鬼ともが火をつけたなどと言っても信じないからね

これでこのお寺の火事は2回目

2回とも蔵を出火としていた

1回目は相当な火事だったようだ

蔵にあったオアキ・オハルちゃん達の写真がほぼ燃えてしまったらしい

また出火原因もわからずじまい

まさかとおもうけど餓鬼ともかもしれない

もう朝の5時を回っていた

消防と警察は現場からいなくった

水浸しの服を着てたら風邪をひく

楓はS子と一緒にお風呂へ行かせた

幸いにも楓の体には傷や火傷は無かった

よかった・・・

私もびしょ濡れの服から新しい服に着替えた

みんなあまりのショックでだいぶ興奮していた

特にF子は動揺が激しかった

S君も呆然としていた

「よし!みんな仏間へ戻ろう」とオヤジが大きな声を出した

全員仏間に戻った

「わしゃのせいですわい・・・結界を安易に信頼しすぎでしたわい

まんまと罠にかかってしまったですわい

皆さんを危ない目に遭わせて申し訳ないですわい

今度はもっと強い結界を作る手段を考えますわい」と和尚さまは頭を深く下げた

「いやいや和尚さんのせいじゃないです

敵の戦略に完全にはめられただけです

しかし・・・餓鬼ともにあんな知恵があるのかな・・・」

「ないとおもうよ、アニキ、もう私の直感は完全に無くなったみたい

私、危機感というか危険というかそういうもの全然感じられなかった

これから危険予知なしに対処できるかな、不安だな・・・」

「F子の直感でどれだけ助かったか・・・もう直感が働かないということは

俺たちにとって大変不利だな・・・」と私は危機感を覚えた

「ところでよ!F!、おまえが蔵の中へ入っていった直後にもう一人若い姉ちゃんが

入っていったのを見たんだが・・・お前見なかったのか?お前が出てきた後も見てたけど

その姉ちゃん、全然出てこなかったぞ」

「え?若い女性?いや・・・見なかったよ・・・」

「そっかぁ・・・・おかしいな・・・」とオヤジは不思議そうな顔をしていた

あぁ・・・恐らくは未来の楓だろうな

出口を出るときにちらりとみたけれど間違いなく夢の中で出てきた「楓」だった

あんな美人を見間違えることはない

私はS君にだけその状況の時を話しをした

S君はうなずいで「だろうな」の一声、完全に理解してくれたようだ

とりあえず今回は完敗

だいぶみんな落ち着いてきた

「さて・・・朝食にでもしましょうかねぇ・・・」と住職の奥さんが腰を上げて台所へ向かっていった

「いえ!今日の朝食は私たちが持ってきたものでしますからーーー」と私は住職の奥さんに言った

「そうですかぁ・・・じゃあ温かいお茶でも持ってきますね」

私はひとつ気にかかることがあった

楓は今までどこにいたのか・・・

探した時には楓は蔵の中にはいなかった

「楓、トイレから出てどこに行ってたの?」と私は楓に質問をした

「あのね、パパ、トイレから出た時に葵がいなかったの

あれ?と思ったんだけど・・・それよりもパパ

私が見た光景は自分でも信じられない」

「どういうこと?楓」

「あのね・・・トイレから出た時にまわりの景色が変わってたの

変わってたというのも渡り廊下や部屋がなんか違ったの

蜘蛛の巣や所々に穴があいてたり全体がなんか夕方みたいな感じで・・・

それで私、葵やママやパパを大声で呼んだの

でも誰も返事してくれなかった

仕方ないから仏間へ行った・・・でも仏間にも誰もいなかった

仏間の部屋が今のこんな部屋じゃなかった

私、段々と怖くなって・・・お寺の外へ出た・・・

そしたら・・・お寺さん・・・なんか化け物屋敷みたいになってた

空を見上げたら雲がたくさんあった

でも不思議なことに雲が全然動いてなかったよ、パパ」

「え!!!、楓、雲が全然動いてなかったの?」

「うん、私、しばらく空を見てた・・・でも雲は全然動いてなかった

音もしてなかった・・・シーンとしてて私ますます怖くて・・・・

田んぼや畑もあったけど荒れてたよ

それに人が誰一人も見かけなかったよ」

間違いない!私が夢を見た風景と同じだ

つまりは楓はオハルちゃん達がいる天国にいたのだ

「私、またお寺へ戻ったの

もう1度ママたちを呼んだけど・・・返事が無かった・・・

そしたらね、蔵の方で私を呼ぶ声がしたの

私、急いで蔵へ行った

パパの声だった

私、蔵の中へ入ったんだけど真っ暗で私そこで立ちすくんでた

そしたらいきなり周りから火がたくさん出てきて・・・熱かったんだよ、パパ」

そういうことだったのか・・・

これですべて辻褄があう

みんな朝食をしながら私と楓の話を聞いていた

「おっちーー、楓ちゃん、怖かったね・・・よく我慢したね・・・」

「うん、ママ、パパの声がしたときになんかホッとした気持ちになったよ」

「おっちーー、パパは楓ちゃんが必ず蔵の中にいるからと言ってみんなが止めるのを聞かずに

蔵の中へ入っていったんだよ」

「ええええーーーパパ、無茶しちゃだめだよ・・・でも、パパ、ありがとう・・・私のために

楓、うれしい」と満面な顔で私を見つめてくれた

「あたち・・・何もできなかった・・・楓姉ちゃん・・・ごめんね・・・あたち・・・楓姉ちゃんを置いてパパのところへ戻っちゃった・・・ごめん・・・」

「おっちーーー、葵ちゃんは謝ることないんだぞ

誰も葵ちゃんが悪いとは思っていないからね」

「そうだよ、葵、葵はいい子だからね」

「えへへへ・・・いい子・・・うん」

本当に誰一人ケガしなかったのが幸いだった

さて・・・これからどうするか・・・餓鬼ともは絶対にまた攻撃してくる

それとトイレだ・・・どうもあるタイミングで天国へ通じるのか・・・それとも今回だけなのか・・・

それに今回はなぜか未来の楓が助けてくれた、これもなにか意味あるのかな

それと天国のオアキ・オハルちゃん達はどうしているのか・・・・

それと蔵の傍で咲いていた赤い大きな花があった・・・なぜ植物図鑑に載っていなかったのか・・・

「和尚さん、蔵の傍に咲いていた赤い大きな花の名前を知っていますか?」

「はい?赤い花ですか?蔵の傍に咲いていましたかのぉ?はてさて・・・赤い花はわしゃ知りませんですわい」

「え!?蔵のそばに確かに赤い大きな花が咲いていましたよ

一輪だけね」

「ああ・・いや・・・全然おぼえがないですわい、どういうことでしょうな」

「赤い花?私も見たことありません、初耳です」と和尚さんの奥さんも同じく見ていないと証言をした

「・・・どういうことだ・・・おやじは見てないのか?」

「いや俺はそんな花を見ちゃいないぜ、おかしいな・・・俺もうちの中庭の赤い花は見たけどな

あんな原色の赤さは初めて見たぜ

おれは花のことは知らんが・・・あの花はなんとなく自然のものじゃないような気がするんだけどな」

私は携帯の中に収めている赤い花を和尚さんに見せた

「この写真の花なんです」

「これは・・・すごい色ですな、こんなにくっきりとした赤い色は初めて見ましたわい

この花が蔵の傍で咲いていたというんですかな・・・見たことないですわい」

「そ、そうですか・・・いったいこの花は何でしょうねぇ・・・

夢の中で見た花が現実的に中庭のテーブルの上に置いてあったんです

家族のものは全員知らないというし・・・図鑑で見ても見つからない」

やはり未来の品種改良された花なのかな・・・

「蔵の中の資料や書物など・・焼けてしまいましたわい

檀家やここを菩提としている家族の皆さんにお詫びの手紙を書かないと

いけませんわ」

「大変だぁ・・・」

「パパ、あたちと楓姉ちゃん、縁側に座ってていい?」

「食べ終わったかい?でも外は雨が降ってるよ

ママも一緒に縁側へ行ってもらおうか」

「うん、パパ、あたちと楓姉ちゃんとママで縁側にいるね」

「葵、外へ出ちゃダメだぞ、縁側で大人しく座ってるだけだよ」

「うん、外を見たいだけ」

楓と葵とS子は縁側でおしゃべりをしだした

F子はS君と何か話してる

おやじは疲れたのかボォーとしてた

私は今までの出来事を整理していた

事は中学校の時の遠征のピクニックから始まった

不覚にもそのときに目印として大きな木の下にタオルを置いてきてしまった

それを餓鬼ともが持って行ってしまった

それから餓鬼ともは時代を越えて現代まで来てしまったようだ

そして私の家を突き止めて辺りをうろうろとしていた

お寺まで私たちの後をずーとつけてきた

だが・・・ここ1か月前のこのお寺さんの周辺の事故や不審火は全然結びつかない

単なる偶然かもしれない

お寺さんへ行く途中で夢で見た暴走車が危うく親父の車と衝突しそうになった

そして運転席を見たら誰も乗っていなかった

そして・・・楓がいなくなってしまった

その後に蔵が燃えてしまった

幸いにも私が蔵の中へ突入して楓を救出

蔵から出るときに未来の楓に助けてもらった

一番の不思議が私は確かに見たのだが蔵の傍で咲いていた赤くて大きな花は私以外は誰も見ていない

夢の中の赤い花が中庭のテーブルにあったこと自体不思議てたまらない

今回ほど不思議さと餓鬼ともの真の恐ろしさを知った

これは私たちのご先祖様と何かしら縁があるがために子孫の私たちまで災いが起きている

一体ご先祖様は何をしたのか?

1回目の火事の時に昔の出来事が書いてあったろう資料がほとんどが消失してしまった

今回も恐らく関係した資料は燃えたはず

真の原因を突き止めないとこのまま子々孫々まで災いが続きそうだ

しかし・・・私たちの力ではもう限界だ

お狐様やオハル・オアキちゃん達の力がいる

その力となってくれるお狐様やオハル・オアキちゃん達の動きが全然分からない

今日はお昼すぎに帰ることにした

「和尚さん、私たちはお昼すぎに家へ帰ります

本当に色々とご迷惑をかけました

蔵のことが本当に気になりますが一旦家へ帰ります」

「いやいや本当にお寺まで来てくださりありがたいですわ

わしゃの甘い考えが蔵を燃やすという失態を招いでしまったわい

もっと強い結界を考えますわい

基本的にお守りと薬だけは個人で絶対にもってておいてくだされ」

みんなそれぞれ帰る支度をはじめた

1週間分の食糧や水などはお寺さんに預けてもらおう

いずれまたお寺さんへ来ることになると思うから

お昼の時間になり全員そろって昼食をした

久しぶりにリラックスした食事になった

極めつけはやはりS子・S君兄妹の面白い話を聞けたことかな

子供たちも大いに笑ってた

「そうそう・・・オハル・オアキちゃん達の資料や写真などは別室に移しておきましたよ

今年から蔵の整理を徐々にしてましたからね

まぁ・・・前回の時の火事の時の消失した資料は残念で仕方ないです

だけど・・・今回の整理した資料などは結構保存状態も良い方ですよ

次に来るときにはもっと整理しておきますからね」と和尚さんの奥さんはご先祖様たちの資料などを大事に整理してくれていた

「え!、ほんとですか!!良かった・・・次回はもっとゆっくりできるときに来ますね

必ず原因を突き止めてやる」と私は和尚さんの奥さんに頭を下げた

昼食も終わり

荷物のチェックをして忘れ物が無いか確認した

そして、和尚さんから薬とお守りをたくさんもらった

昼過ぎに私たちは和尚さんと奥さんに深く頭を下げてお寺を後にした・・・・

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