中編5
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開けるな

これは私が小学生の頃の話である。

私の家はよく、夏になると母方のおじいちゃんの居る田舎へと家族で泊まりに行くことになっている。

私が小学5年生の夏の年、その日もおじいちゃんの家へと家族で泊まることとなった。

私は大のおじいちゃんっ子だ。

怒ると怖いけど優しくて、よくおじいちゃんには川に遊びに行ったりお祭りに連れていってもらった。

すごく楽しい思い出ばかりで、今年もたくさん遊んでもらえると思うと楽しみで仕方無かった。

しかしおじいちゃんの家につくと、おじいちゃんは布団に横になっていた。

おじいちゃんの隣には少し疲れたような顔をした祖母が座っており、私に向かって

「ごめんねぇ、せっかく遠くから来てもらったのに、おじいちゃん倒れちゃって遊べそうにないの」

おじいちゃんも申し訳なさそうにしていた。

どうやら体を悪くしてしまったらしい。

私はおじいちゃんと遊べないガッカリという気持ちで拗ねてしまった。

その年は祖父を看病する形でここへと来たようだ。

父は仕事のため一旦自宅へと帰り、私と母と中学生の姉が残った。

私はよくおじいちゃんと遊んだ川でザリガニでも捕まえようとひとりで向かった。

ザリガニを何匹か捕まえていると、ふと川沿いの山が気になった。

そこには山へと繋がる道がある。昔おじいちゃんと川で遊んでる時、1人で勝手にその道のほうへ向かおうとしたら物凄い怒声で怒られ、それ以来近づくことはなかった。

しかし子供の好奇心は尽きることはなく、「今なら入れるかな」と入ることにした。

階段のない道を登り5分もしないうちに神社へとついた。そこには古ぼけた神社があり、お供え物にはいつのとわからない団子がと枯れた花が置いてあった。

扉のなかが気になり、開けてはいけないと子供心にも分かってはいたものの、恐る恐る扉の隙間を覗いてみる。

中は薄暗く、床には1枚御札が貼ってあるだけだった。

「かーっ!かーっ!」

鴉の鳴き声で我に返り空を見上げると既に夕焼け色。

何もない少し残念な気持ちと、なんでおじいちゃんはあんなにも怒ったのかという疑問を残し足早に帰ることにした。

疲れたせいか、家に着くなりその場で寝てしまった。

・・・・・・・・・。

sound:14

ドンドンドンドン!!!

何かを叩く音で目が覚めた。

周りを見てみるとそこはおじいちゃんの家ではなく、自分の家だった。

ぼんやりとしたまま体を起こす。

まだドンドンドンドン!!!と叩く音が聞こえる。

音の方へと目を向けるとキッチンと廊下が見える。

どうやら音は玄関の方からだ。

お父さんが帰ってきたのかなと思い、廊下を歩き玄関へと向かう。

ドアのチェーンを開けようとしたその時

「開けるな!!!!」

という男の声で目が覚める。

周りを見るとそこはおじいちゃんの家だった。

母と祖母は夕飯の支度をしている。

どうやら私は夢を見ていたようだった。

すごい現実味のある夢と、開けるなという声が聞いたことのある声で気味が悪かった。

その夢の後、私は熱を出してしまい祖母が作った粥を食べ、眠りについた。

sound:14

ドンドンドンドン!!!

またあの夢のようだ。

扉を叩く音で目が覚め布団からと飛び起きる。

廊下へとおそるおそる近づくと、

「開けるな!!!!」

聞いたことのある声がまた聞こえた。

前はここで目が覚めたのだが目が覚めない。

この声誰だっけ、よくよく思い出してみるとおじいちゃんの声だと気がついた。

普段優しいおじいちゃんの声ばかり聞いていたから、怒鳴り声を忘れていたようだ。

「おじいちゃん?」

扉へと質問を投げかける。

普通なら開けるなと言いながら扉を叩くなんておかしな話だが、その時はそれに気がつかなかった。

するとそれまでドンドンドンドン!!!という扉を叩く音が急にピタッと止まった。

「なんだおじいちゃんか」と、安心した途端

shake

ドンドンドンドンドンドンドン!!!!!!!

先程までとは違い強く扉を叩き始めた。

それまでなかった恐怖心が一気に押し寄せる。

「おじいちゃんなの?やめてよおじいちゃん」

と泣きそうな声で訴えかけるも一向に叩く音は止むことはなかった。

扉の近くにいるのが嫌になり布団へと潜った。

目が覚めると朝になっていた。

その日のお昼、おじいちゃんの容態が少し悪化したようだ。

母はおじいちゃんを病院へと連れていき、家には私と私の看病のため姉が残った。

私はまだ下がらない熱のせいか、また眠りについた。

sound:14

ドンドンドンドン!!!

あの夢だ。

周りを見るとやはり同じ自分の家にいた。

扉に近づくのも嫌になり布団の中で丸くなっていると、今度は

「開けて」

という女性の声がした。

いつもと違う声に戸惑いながらその声の方角はやはり玄関からのようだ。

「開けて」

その声はなにやら録音した音声が繰り返し流れているように聞こえる。

「開けて」

繰り返される声の聞こえる玄関へと向かう。

いつもならここでおじいちゃんの声が聞こえるのに今回は聞こえない。

おじいちゃんの声は確かに怒ったような声で怖かったのだが、どこかしら安心感のようなものがあった。

しかしその声もない今、何故か悪寒と不気味な恐怖心がハッキリしている。

開けちゃだめだと自分自身も警告しているのが分かる。

「開けて」という声に対して私は、

「開けないよ、早く帰って」

と返事をした。

すると、急に女の声は聞こえなった。

もう居なくなったんだと思い安心して踵を返し、布団へと戻ろうとしたら玄関から

「カシャン」

という音が聞こえた。

私はすぐにその音が、新聞配達の人が新聞を入れる時に聞こえる音だ、と理解した。

振り返り玄関の郵便受けを見ると穴の中から何者かが目を見開いてこちらを見ている。

「うわぁ!!!!」

私はビックリして腰を抜かしてしまい床に尻餅を着いた。

それはじーっとこちらを見ている。

瞬きを一切せずこちらを見ている。

私は震えながら誰かと尋ねてみた。

それに対しそれは 「うううううう」と、それまでの女の声と違う低い男性のような声でなにやら呟いている。

呪文のような何かを呟いている。

すると私は麻酔がかかったように気を失った。

目が覚めると夜になっていた。

周りを見ると母と祖母がおり、恐怖でおじいちゃんの声を聞いて安心したくなった私は祖父を探すが祖父は見当たらない。

私は「おじいちゃんは?」と尋ねると、

「おじいちゃんは天国に行ったんだよ」と、涙ながらに祖母は答える。

私は先程まで見ていた夢の恐怖を忘れ、おじいちゃんはもう帰ってこないという悲しさで泣きじゃくった。

数日がたち、祖母に夢の話をしてみると祖母は

「神社いったのか」と険しい表情で尋ねてきた。

私は頷くと、祖母は少し間を置き

「あそこはよくない神様がいらっしゃる。子供を食べる神様だよ。夢のそれも神様のせいだね。もう行っては行けないよ。」

と、子供をおどかすような話をし始めた。

私は怖くてもう二度と近づかないと誓った。

数十年が経ち、ふと思い出したため書かせていただきました。

あそこにあった神社は既に取り壊されたらしい。

後日談は特に何も無くそれ以降普通に過ごして参りました。あの夢はなんだったのか、ただの夢だったのか

今思えば祖母は本当のことを話してないとおもいます。

乱筆失礼致しました。

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