中編5
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蒸し暑い夜の怪談話

朝からカンカン照りの太陽で日中は32度という暑さになった

ついにリビングのエアコンが壊れた

台所で料理をしていたおふくろとS子が汗を拭きながら夕食の準備をしていた

夕食はリビングではなく仏間になりそう

出来た料理をおチビちゃんたちに手伝ってもらい仏間のテーブルに料理を並べた

「おい!!F!!!エアコンが壊れたぞ!新しいエアコンを買えよ」

「はぁ?・・・うちにはそんなエアコンを買う余裕はないぞ、オヤジ!!!」

暑さのため、オヤジは腹いせに私を攻撃してきた

「そんなに暑けりゃ仏間へ行けよ、仏間のエアコンはよく効くだろ、仏間にいろよな」

「そうだな・・・」

「子供たちを連れていけ、オヤジ」

オヤジはおチビちゃんたちを連れて仏間へ行った

エアコンの修理を明日には頼もう

とはいえ・・・もう10年くらいは動いているもうそろろ寿命かな・・・

ところが・・・夕食のときに仏間のエアコンがなぜか壊れた

仏間のエアコンは去年に買ったばかりだ

どんどん仏間の部屋の温度が上がっていく

よりによって今夜の夕食のメニューはカレーだ

「おいおい・・・くそ暑いな・・・なんでカレーなんだよ

くそっ!!」

「カレーで悪かったわね」とおふくろが今にも切れそうだ

だんだんと全員イライラしはじめた

匠と仁は食事もそうそうに切り上げて自分の部屋へ行ってしまった

もう夕食ところではない

後片付けをおチビちゃんたちと一緒に汗を垂らしながら手伝ったよ

とりあえずは客間へおチビちゃんたちを避難させた

客間におふくろとS子も暑さのために避難してきた

縁側へ私とオヤジは座った

だいぶ少し涼しくはなった

おチビちゃんたちもオヤジの隣に座った

冷たいジュースを飲みながら小さな庭を見ていた

暑さのためにだれもしゃべらない

物置から扇風機を出してきた

まぁ・・・気休め程度だが風があるだけでもマシだな

オヤジの口が動いた

「たしか・・・こんな暑い夜だったな・・・

俺がガキだったころ・・・俺のオヤジが怪談話をしてくれた

今みたいにエアコンがなかったからな

あのボロ家の縁側に座ってオヤジの話を聞いてた・・・

どこかの金持ちの屋敷だ

皿洗いをしていた女中が誤って皿を割ってしまった

もちろんタダではすまされない

屋敷の主人が慌てて台所に駆け付けた

そこの屋敷の主人は皿を数えた

1枚2枚3枚・・・10枚・・・

主人は確かに皿が割れる音を聞いた

しかし・・・もう1度皿の数を数えた

ちゃんと10枚皿はあった

主人は気のせいなのかと思い台所から出て行った

次の夜

またしても女中が誤って皿を落としてしまった

昨日同様に主人が慌てて飛んできた

1枚2枚3枚・・・10枚

確かに10枚あった

主人は「おかしいな・・・空耳だったのか」と思い台所から出て行った

次の夜

またまた皿を落としてしまった

もちろん主人は駆け付けてきた

皿を数えた

10枚ある

ふと主人は女中の顔を見た

青白い顔をして何かにおびえていた

主人は私に怒られるからだと思っていた

主人は気になり女中に聞いてみた

「どうした?そんなにおびえて?」

「いえ・・・そのぉ・・・ご主人様・・・本当に申し訳ありません

1枚皿を落として割ってしまいました」

「いや・・・皿はちゃんと10枚あるぞ・・・」

「あ・・いや・・・ご主人様が皿を数えているときに・・・皿を置いてある場所から青白い手が皿を持ち・・・1枚・・・数えてるときに置いたのです

私ははじめ目の錯覚だろうと思い気にしないようにしていましたが

昨日の夜にもお皿を割りまして・・・そしたら・・・青白い手が出てきて皿を置いたのです

これは目の錯覚ではないと確信しました

しかし・・・今日は・・・・そのぉ・・・ご主人様の後ろにいるんです・・・」

「なに!!!・・・・何がいるんだ!!」と少し大きな声でいいながら後ろを振り向いた

なんと!割れた皿を持った首から血を垂らしている女が立っていた

「わたしは皿を割っていません・・・なのに・・・なぜ・・・私に濡れ衣を・・・」とつぶやぎながらその女はニッと笑った

主人は仰天をしその場に倒れてしまった

そう・・・ここの家系は・・・江戸時代の例の皿を割った女中を井戸に放り込んだ家系の子孫だった

しかし・・・放り込んだだけならなぜ首から血が出ていたのか・・・

真相はどうやら当時の主が新しい刀の試し切りをしたくてうずうずしていたときにタイミングよく女中が皿を割ってくれた

皿を割った女中が試し切りの犠牲になったのだ

人殺しの証拠隠滅に主は井戸に放り込んだのだ

それ以来・・・ここの家系は・・・不幸な出来事ばかり

女中の恨みは子々孫々まで続いていたのだ・・・」

オヤジの談話をしてるときに台所で何か床に落ちた音がした

「えええ!!!!じっちゃ・・・台所でなにか落ちたよ・・・」

「確かに聞こえた・・・」

「じっちゃ・・・・」

「おうし・・・じっちゃが見てくるぜ」

と言いオヤジは台所へ行った

「おーーい!!F!!こっちへ来い!!!」

とオヤジの怒鳴り声

私は急いで台所へ行った

あたり一面・・・皿は複数枚床に落ちて割れていた

私は皿の数を数えた

1枚2枚3枚・・・・7枚

「え!オヤジ!!皿が3枚足らんぞ!!!」

「おい・・・マジかよ・・・」

「3枚足りん・・・」

その時だ

台所の入口に黒い影がスゥーーと現れた

「誰だい・・・そこにいるのは・・・」

オヤジはびっくりして私が枚数を数えて置いた皿に手が触れた

ガシャン!!!

すべての皿が割れた・・・・

「やっちまった・・・」とオヤジは叫んだ

「あんた!!皿を・・・えええ・・・すべてあんたが割ったのかい!!!」

「いや・・違うぞ!!!割れてたのは3枚だけだ!!!」

「うそ!!おっしゃい!!!お皿が一枚もないじゃないかい

あんただろ!嘘をつくんじゃないよ」と怒り心頭のおふくろだった

オヤジはおふくろにものすごい剣幕で叱られていた

((ウフフフ・・・・お皿が1枚・・2枚・・・3枚・・・一枚足りない・・・))

私の耳には聞こえた

体中にゾクゾクと悪寒がした

暑さのせいでみんなイライラしてたからかな・・・・

オヤジはおふくろの生霊に説教されて顔が真っ青になってた

私は空耳かもしれないが幽霊の声を聞いた

両者ともゾクゾクと一気に暑さが吹っ飛んだよ

Concrete
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