短編1
  • 表示切替
  • 使い方

花火

結婚して長女が生まれたあと、主人の転勤で5年ほど東北で暮らした。

長女が幼稚園に入園し、息子が生まれた年の夏、近所の人とバーベキューのあと花火をした。

赤ちゃんを連れている人は少し離れたところにいて、赤ちゃんを連れていないお母さんたちが、花火をする子供たちの世話をしてくれていた。

私は息子がいたので離れたところにいた。

しばらくして花火をしている辺りがざわつき始めた。

何だろうと思っていると、娘が走って来て私にしがみついてきて、服のすそを噛んだ。

娘は怖かったり不安になると、私の服を噛む癖があった。

私は片手で娘を抱き寄せながら、一緒に花火をしていたお母さんたちに声をかけた。

「何かあったんですか?」

「何って… なんて言うか…」

お母さんたちは皆、言いにくそうに言葉を濁す。

どうしたんだろうと思っていると、他の子供たちが

「花火がお化けになったの」

「花火の煙がね、人間の形になったの!」

と話した。

「煙のお化け…」

皆、口々に話す。

簡単に説明すると、花火をしていたら煙が一箇所に集まって、人の形をとって子供たちのほうへ迫ってきたということだった。

子供も大人も関係なく、花火をしていた人全員が見たようだ。

「見たの?」

私は娘に尋ねた。

娘は小さくうなづいた。

ここは有名な霊山の麓。そういうこともあるんだな。そう思った。

Concrete
コメント怖い
4
10
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

@あーちゃんさん、コメント有難うございます。
もう14〜15年くらい前の話なんですが、まだ小さかった娘が、今でもハッキリ覚えてるというくらい印象的だったんだと思います。その場にいた多くの人が見てますが、私は見てない。残念です。
あーちゃんさん、御読みくださりありがとうございました。

返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信