短編2
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鏡に映る

少し前に某芸人さんが、テレビで話していたので

知っている方も多いかと思います。

某芸人Aはロケの仕事だったため

現地にある旅館に泊まったときのことだった。

元々強い霊感のあったAはその旅館に入った瞬間から

嫌な予感がしていた。

部屋に案内された。

男性マネージャーとは別々の部屋で隣りあっていた。

「この旅館なんか、嫌な感じだよなぁ。」

しかし、霊感など全くない

Aのマネージャーは

「そうですかねー。

景色も綺麗で結構いいと思いますけど。」

と、能天気なものだった。

その日は過酷なロケで疲れていたのもあり

温泉に入って、夕食をとって

すぐに寝ることにした。

しかし、Aは終始感じる強い霊の存在に

なかなか寝付けずにいた。

『このまま寝たら、金縛りにあうことは確実だろう…』

そう思ったが、やはり疲れていたようで

気付いたら眠っていた。

「もう7時ですよ!

はやく起きてください!!」

翌朝、マネージャーの声で起こされる。

マネージャーは合鍵を使って

Aの部屋に入ってきていた。

「あー、ごめんごめん。

おはよう。」

「おはよう。じゃないですよ!

今日も早いんだから、さっさと支度して下さい!」

時計を見るともう7時を回っていた。

よほど疲れていたのか

眠りは相当深かったらしく

結局、金縛りにあうこともなかった。

『気のせい…かなぁ。』

そんなことを思いながら

顔を洗おうと洗面所に向かった。

顔を洗ってふと鏡を見たその時だった。

…………いた。

鏡越しに自分を睨む女の姿。

マネージャーは男だ。

この部屋に知らない女がいる時点で

それはもうこの世には存在しない女なのだと

一瞬で悟ることができた。

その念はあまりにも強かった。

ゆっくり振り返ってみる…

やはり、そこには誰もいない。

「ちょっと!!

いつまで顔洗ってるんですかー!」

奥からマネージャーの声。

『これだけ強い怨念をもつ霊なら、いくら霊感のないあいつにも

見えるかもしれない…。』

Aはマネージャーの元に行き

「…お、おいっ!でたぞっ!

洗面所の鏡に女が映った!」

「…ほんとですか?」

彼は呆れた顔でAを見た。

またかよ。そんな感じだった。

「あの霊は普通じゃない!

お、お前にも見えるから

それぐらい強いやつだ!!」

「で、また俺が見てくるんですか。」

Aが頷くと、マネージャーは

全く怖がってない様子で

洗面所へと向かった。

しかし、戻ってきた彼の顔色は

いつもと違い青白かった…

いつもなら「なんもいませんでしたよ〜」と笑いながら戻ってくるのに。

「…な、見えただろ?」

しかし、彼はさらに顔を強ばらせてこう言った…。

「Aさん…

洗面所に鏡なんてないですよ…」

Aが再び洗面所へ行くと

そこに鏡があったと思われる跡だけが残っていた

怖い話投稿:ホラーテラー 橋本さん  

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