短編2
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呪いがもたらしたもの

幽霊と生きた人間、どっちが怖い?と尋ねられたら、迷うことなく生きた人間、と答える。

幽霊に殺されそうになったことは無いが、生きた人間には何度か殺されそうになったからだ。

数年前、プライベートな拗れから呪われたことがある。

それまでの平穏な生活が、生き地獄のような生活へと変わった。

先ず、人間関係が最悪になった。

明らかな悪意に翻弄され、人間不信に陥った。

次に、明らかに有り得ない状況で起こる事故。

連続して撮れた心霊写真。

体にも変異は及び、思い当たる理由が無いのに激しい腰痛に襲われ、朝起きた時に激痛で動くことも出来なくなった。

病院で検査を受けた結果は、椎間板が潰れて神経を圧迫していた。

そんな負担をかけた覚えは、全く無い。

腰痛は日常生活にも影響が出て、常に腰痛、歩けば電流のような痺れ。

病院に通っても、何故かことごとく「どうしようもない」と言われるだけ。

対処療法も効果無く、本気で半身不随になるのを覚悟した。

今でこそ、常に違和感はあるが日常生活に支障は無いが…。

闘病している内に、飼っていた犬が夜通し断末魔の鳴き声をあげながら苦しみ、翌朝死んだ。

動かない足で、冬の冷たい雨の中を這い回りながら…。

その姿に、自分の無力さに、惨めな気持ちを抑えられなかった。

トドメには自損事故…これも、有り得ない状況で起きた。

目の前にガードレールが迫った時、本当に走馬灯が流れ、全てがスローモーションの様に見えたのを今でも覚えている。

車は全損で廃車。

なのにかすり傷で済んだのは、守護があったからだと思っている。

数年に渡った不幸も、ある日終わりを迎えた。

呪いをかけていた相手に、不幸が還ったから…。

相手の母親は発狂、父親は病に倒れ、本人は家族の面倒を診なければならなくなり、仕事を辞めざるをえなくなった。

本当に、些細な拗れだった。

しかし、偶然では済まされない短期間で襲ってきた度重なる不幸…逆恨みとはいえ、人間の念の恐ろしさを痛感した。

怖い話投稿:ホラーテラー 元業担さん  

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