短編2
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温もりを求めて

私には二歳と四歳の二人の子供がいます。

旦那はデパートの魚屋で働いているので、子供達のために頑張ってる旦那には申し訳ないんですが、私一人で子育てしていると宣言できる状態です。

子供って救急車好きですよね。うちの子供達もいつも救急車が通ると身を乗り出して眺めてます。

ある日いつものように散歩してると、救急車が通りました。子供達が道路に出ないように抱きしめながら眺めていました。

すると、鳥肌が立つと同時にいろんな場面の映像(?)と共に、強い怒りの感情が流れ込みました。その途端、子供達が泣き初めました。

ちなみに、その映像とは、大きな拳がこちらに向かってきていたり、真っ暗なのに笑い声が聞こえるなんてものでした。映像なんですが、とにかく怖くて、一瞬だったと思うんですが、我に返ったときにはボロボロ泣いていました。

そして子供達をなんとかなだめ、家に帰ることができましたが…

私達は、お風呂に入るとき、まず私がシャワーで体を洗ってから子供達を呼び、三人で入ります。その日も私が体を洗い、子供達を呼ぶと、なぜか返事がありません。かわりに、身体中アザだらけの男の子が裸でお風呂の前に現れました。

驚きのあまり声すら出ません。

「子供達になにかあったのでは?」私はその子を振り切りリビングに行きました。

子供達は私のただならぬ様子にキョトンとするだけでした。

その日はお風呂に入ることもできず、近所の私の実家に泊まりました。

後日新聞で、私達が救急車を見た頃、隣町で虐待を受け亡くなった男の子がいることがわかりました。総合病院に面した通りにある、私達の住むアパート前を救急車が通ったのは間違いありません。

あの子は害のあるような子供ではないことは素人めにもわかりました。

あの日は、とにかく自分の子供達を守ろうとしてましたが…

寂しくて、最後の望みを託して私達のところにきたのなら、なんてかわいそうなことをしたんだろうと思います。

怖い話投稿:ホラーテラー らっこさん  

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