中編3
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満月の夜に

久しぶりに投稿します。

今回のお話も長文で怖くないかも知れませんが、読んで頂ければ幸いです。

私の仕事は実家が営む

土木業です。

たまに出張もあります。

今回は、今から約20年程前で出張先の出来事です。

梅雨時の小雨の降る中、現場の近くにあるビジネスホテルに到着した。

雨が降ってる事と、到着したのがお昼前と言う事もあり

その日は仕事をせず、従業員4人と私と親父で従業員の部屋で昼間っから酒盛りをする事となった。(当時、私は未成年でしたが、もう時効ですよね。)

呑み始めて数時間が過ぎ「まだ雨降ってるのかな?」

と、ふと思い窓を開けてみた。

窓の外は山の斜面に作った墓苑だった。

でも、その時は酔いもあり「なんか気持悪いな~」と、思う程度で呑み続けた。

翌日から仕事が始まり、作業も順調に進み

3,4日で現場も終るといった夜の事でした。

時間は何時の事か分かりませんが、寝ていると足元からジワジワと違和感を感じ

「何か来た!」と思った時には金縛り状態になっており身動き一つ取れませんでした。

親父が金縛りになった時に目を開けると、

白い着物を着た女の人が胸の上で正座をして親父の顔を覗き込んでた。

という話を子供の頃に、聞いた事があり。

ビビリの私は目を開ける事も出来ずに、ただただ金縛りから開放されるのを我慢するしかありませんでした。

1分程でしょうか、金縛りは解けましたが目を開く事は出来ず、動く体も動けば幽霊に感付かれ又、金縛りに合うかも知れないという恐怖感

(何の根拠もありませんが、そんな事を思ってしまった。)から

金縛りにあった格好のままで居るといつの間にか寝ていました。

翌朝は「疲れのせいで金縛りにあったんだろう」と思う事にしました。

それから2日後。

明日には全工程が完了し、家に帰れる宿泊最終日の夜。

寝ていると、「ギギ・ギ・ギギギギィー」

錆びた金属が擦れ軋む様な重く甲高い音が暗い部屋にゆっくりと響き渡り

仰向けに寝ていた私は、何故かうつ伏せになり枕元にある壁を見ていました。

でも、目に入って来たのは大きな扉でした。

(うつ伏せで見上げる状態だったから、大きく見えたのかも知れませんが・・・。)

ある筈の無い扉は、開いてきているのです。

ゆっくりゆっくりと

ギギ・ギ・ギギギーと音をたてながら。

30cm位開いた所で扉が開くのは止まり扉の裏から何者かが出てきます。ゆっくりと・・・。

何者かの正体は、顔中シワだらけで、無表情のおじいさんだった。

「何これ?何でここに扉が?このおじいさんは誰?」

「知らない、こんな人知らない」

私の頭の中はパニックでした。

この時も金縛り状態で動けない、おじいさんは無表情のまま無言で動かない。

目と目は合ったまま。

このあり得ない状態に、パニックから次第に恐怖に変わり、

とにかく居なくなって欲しい。

ここから消えて欲しい。

心の中で「消えろ!消えろ!消えろ~!」と叫び続けました。

すると、おじいさんは扉の裏に隠れるように動きだすと同時に

扉もゆっくりと閉まり始めたのです。

扉が閉まった瞬間に音も無く扉の上から下にかけ一瞬に消えてしまいました。

動けるようになった私は、親父を起こそうとベットから出ようとした時

視界に入ったのはカーテンの隙間から見えた青白く光る満月。

満月を見た瞬間にまた恐怖が蘇り、起しに行く事も出来ずに

掛布団の中で小さくなり夜を明かしました。

今思うと、夢だったのかも知れないと思う事もあるのですが

あの晩見た満月だけは現実だと思っているので、満月を見るまでの出来事は

現実だと思っています。

長々と読んで頂き有り難う御座いました。

怖い話投稿:ホラーテラー まーかいがさん  

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