短編2
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ねるとん

俺はドキドキしながら椅子に腰掛けていた。左隣には友人Y、目の前は初めて会う女の子。

「はい開始で〜す。男性は5分経ったら左に移動して下さいね!」

そう。俺達は【ねるとんパーティー】に参加している。

男女各20人30才未満限定だ。

女の子は大学生風・水商売風・OL風と様々で、見てるだけでもすっごく楽しい♪

俺は初めての参加で、Yが以前参加して楽しかったようで「クリスマス前に彼女作ろう!」と誘ってきたのだった。

男の中では当時23才だった俺達が若い方だったと思う。

Yは二度目ということもあり慣れた様子だが、俺は最初緊張しながら会話していた。

7、8人と話し終えた頃、俺もエンジンがかかり会話を楽しめるようになっていた。

その頃になると移動する際、何人か先まで女の子を見る余裕が出ていた。

そんな時だった。二つ先の席にモロタイプの女性がいた。

どうみても年上の彼女は、茶髪のセミロングに猫みたいなクリっとした目の落ち着いた雰囲気の女性だった。

そこの席に着くまでは、はっきり言って上の空だった。

いよいよ席に座り、俺は本日一番のトークを展開した(つもり)。カップルにならなくとも何とか次に繋げたいと必死だった。

名前はM子で俺より5才年上の美容師だった。

彼女も友人と来ていると、隣のケバいお姉さんを指差した。

5分という時間制限が恨めしく思いながら、泣く泣くM子の席を離れた。

一通り女の子と会話が終わり、最後のカップリングチェック。要は男女それぞれ気に入った異性の第一第二希望の番号を紙に書くのだ。

俺は第一希望M子・・・だけ書いた。

もしカップルになれず、M子も他の男とカップルにならなかったら帰りに飲みに誘おうと思っていたからだ。

10分後結果発表。

まぁ、そんなにうまくいくわけもなく不成立だった。

が!M子も誰ともカップルになっていない。これからが勝負と俺はテンション上がってた作戦を決行するため。

Yはちゃっかりカップルになっていた。そんなYは放っておいて、俺はM子の席に向かった。

M子の友人が立ち上がったところだったが、M子の姿が見えない。俺は友人さんに声をかけた。

「M子さん帰っちゃったの?」

「M子?M子はたしかに私の友人だったけど……」

…だった?

「M子はひと月前に死んでしまったのよ。なんで君M子の事知ってるの?」

ふと隣の席を見ると、テーブルの番号札は違う番号だった。

俺は誰と話していたんだろう。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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