中編3
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食人鬼

『食人族』とは今から三十年程前に公開されたモンド・ドキュメンタリー映画。

またそれより以前にも未開のジャングルの奥地に食人の風習がある種族が実在する、と話題になり、ブームを巻き起こしました。

しかし現代では「食人族はでっちあげの存在、実在はしない」と明らかになっています。

・・・皆さんは信じてくれるでしょうか、私が現代の、しかもこの先進国・近代国家である日本に『食人族』が実在する、と言ったら・・・

ある男女がある山に登り、一泊した時に悲劇に見舞われました。

二人は山が好きで、山で出会い、婚約し、婚前旅行の様なつもりでその日もいつと同じ様に、川の近くにテントを張り、火を起こし、街では味わえないゆっくりと流れる時間を楽しんでいました。

二人の不幸は、「結婚前に今まで登った事の無い山に行こう」と考え、実行した事・・・。

食事を済ませ、軽く酒を飲み、そろそろ寝ようと二人でテントに潜り込んでしばらくした後の事。

呪文とも奇妙な歌ともつかない、しかし明らかに動物のものではない声に二人は目を醒まし、男性は女性にここを動くな、と言い残してテントの外へ出ました。

・・・それきり彼は戻らず、一人テントに残された女性は堪らず自分も外へ出ました。そこにいたのは彼ではなく、泥や赤い塗料(血?)でメイクしたボロを纏った、あるいは半裸の男達。

悲鳴をあげる間も無く彼女は殴られ、服を剥ぎ取られ、男達の慰みものにされました。

複数の男達に犯されながら彼女は目にしました。自分の婚約者である彼が、全裸にされ、斧で首と四肢を分断され、サバイバルナイフで解体されていくところを・・・

そしてその後、解体した彼の肉や内蔵を、男達は火で炙り、貪り食い、それで精力がついたのか一度終わった者もまた彼女を犯し、狂宴は夜明けまで続いたそうです。

男達の正体は、行き場、住みかを追われたホームレス。

最終的に山に行き着き、集団となった男達は登山に訪れた人、特に単独行か二人組を狙い、金品を奪い、その肉を食らうそうです。

なぜ人間を襲うのか?服や道具を盗む為、性欲を満たす為、というのは勿論、食欲を満たす対象に人間を選ぶのは人間が一番手っ取り早いから。

動物を捕まえるのはそれなりに頭と労力が必要になりますが(解り易い例に、時々ニュースになる「町に入り込んだ猪を捕獲」とかの映像を観ると、捕まえるのに苦労している)、逃げ足は文字通り人間並の速さでしかなく、鋭い爪も牙も翼も無く、複数相手に戦える力を持つ者も滅多にいない人間が一番捕らえ易い、格好の、絶好の獲物なのです。

集団の人数が多ければ食料も多く必要になり、銃でも無い限り全員の胃を満たす程の食料を、特に「肉」を手に入れるのは大変ですが、狙うのが人間なら・・・

女性はその後、別の登山家に発見され、保護されました。

「彼女が病気になったので解放したのではないか」というのが警察の見解です。

この話は、精神に異常はきたしたものの、入院と治療の末、数年後に正気を取り戻した女性が語ったものです。

彼女は山で囚われている間に男達の子を出産までさせられたそうです。

警察も捜査はしましたが山には男達はすでに姿を消して、そこにいた形跡すら無かった、という事です。

今頃、男達は別の山でまた別の獲物を捕食しているのかも知れません。

山登りが好きな方、特に単独や少人数で山に行く方、貴方が『現代の食人族』に出くわさない事を願います・・・。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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