短編2
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オッサンとアホ姉弟

私が高校1年生だった秋頃の話です。

その日は土曜日、学校は休み。

夕方からバイトが入ってたが、まだ時間があるのでリビングの床に座り込み漫画を読んでいました。

かなり猫背で読む癖があるので周りが見えにくく、完全に自分の世界。

黙々と読み進めていると、背後から覗き込まれた様な気配…

はっきり見えた訳でも無いのに、大人の男の人と言う雰囲気があり私は《お父さんかな?》と振り返りました。

が、誰も居ません。

当の父はベランダ掃除中…

《移動早っ!!》と思いつつ

私『何か用?』と問い掛けると

父「え?何が?」

私『何がって、覗いたでしょ?』

父「ずっとベランダに居たけど?」

…じゃあ勘違いか。

と納得し、続きを読み直しました。

やがてバイトの時間。

レストランで働いていた私は、ピーク時を過ぎた頃、溜まりに溜まっていた食器を洗っていました。

その時また、スッ…と背後から顔を覗かれた様な気配。

私よりも背が高く細めの体型の雰囲気。

《主任かな?》と思い振り向くも、また誰も居ません。

厨房に居たスタッフに『主任は?』と聞くと「ずっと裏でシフト書いてるよ」との事。

この時、初めて昼間の出来事を思い出し『遂に何か見える様になっちゃった』と恐怖を感じていました。

次の日はバイトも休みだったので、弟に昨日の出来事を話しワーキャー騒いでました。

その日の家族揃っての夕食時。

我が家はテーブルを囲み床座りでテレビを見ながら食事をします。

私の隣には弟1、向かい側に父と母、テレビの向かい側に弟2と言う定位置が決まってました。

いつもの様にテレビから食事を進め、手元の茶碗へ目線を落とした時、私と弟の間に背後から出した様に右足が見えました。

大人の男の人の右足が。

直感的に《昨日の人だ!!》と思って居ると、隣の弟が下を向きながら「やべぇ見えちった…」

お互いに見えてる事に何故か安心した私達は、足を見ない様にしながらも

『ご飯時はやめて欲しいよね』

「オッサン、足だけってウケる」

『そもそも足だけでオッサンって分かるウチらがウケるんだけど』

「って言うかオッサン足デカいな」

などとアホな発言を繰り返していたら、いつの間にか足は消えてました。

突然オッサンの話題で盛り上がり出した両親はキョトンとしつつ、会話から察したのか「きっと親戚のおじさんだよ」と。

その後は一切何もなし。

数年たった今では『オッサンの霊とアホ姉弟』として笑い話になってます。

怖い話投稿:ホラーテラー 青灰皿と赤ライターさん  

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