短編2
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カタカタ

初夏…

もうすぐ婆ちゃんが麦茶の量産するシーズンですね。

子供の頃から婆ちゃんっ子だった私は、毎年初夏になると浴びるように婆ちゃん特製の麦茶を飲みました。

婆ちゃんはおいしそうに飲む私を見て

『麦茶はね、体温を下げる効果があるんよ』

と毎回同じことを言いました。

毎年、当たり前のように飲んでいた香ばしい麦茶…つい先日、飲めなくなりました。

脳の血管が破裂。救急車で搬送。迅速に対応してもらいました。

だけど、婆ちゃんはうちには二度と帰ることは無く…。

婆ちゃんの葬式は遺言で

『誰も泣いたらいかん』

とのことで

親戚一同の協力で笑顔溢れる葬儀になりました。

夕方、家の二階でみんなで出前を食べていた時、妹が呟きました。

『もう婆ちゃんの麦茶飲めないのか…』

母ちゃんがそれを聞いて

『あれは市販の麦茶パックを煮出してるだけよ、すぐに作ってあげるよ』

と暴露し、麦茶を作りに台所へ行きました。

数時間後、麦茶を飲みました。なんか違うんです。

みんな口々になんか違う…と。

その時、婆ちゃんの桐箪笥の引き出しが

『カタカタカタカタ』

母ちゃんは鼠だと騒ぎ立て私が引き出しの中身を確認することになり…

『えぃっ!』

と開けてみると…そこには包丁ででしょうか、綺麗に半分に割られた『黒飴』が出てきました。

ピンと来た私は、麦茶用のやかんに入れて溶かしてみました。

それは、婆ちゃんの麦茶。

カタカタ鳴らしたのは、きっと麦茶のレシピを伝え忘れてた婆ちゃんの仕業だと思っています。

婆ちゃんの麦茶、最高です。

怖い話投稿:ホラーテラー オジーオズボーンさん  

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