中編3
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見える・見えない

昨日、リビングでビール飲んでたんですよ。 

一人で、豆球だけ点けて。     

ウチはマンションで、リビングの隣が和室になってるんですが  

仕切ってる襖の建て付けが悪くて、明かりが洩れるんですよね。

子供とカミさんが和室で先に寝てるんですが、  

子供がなかなか寝付けないんで、風呂上りはいつも豆球なんです。

明るくすると、すぐ起きちゃうんで。   

で、最近投稿し始めたホラテラのことを考えてて。

あ~でもない、こ~でもないって、今考えてる話をあれこれ考えてたんですが、 

『見える・見えない』の違いはなんだろうって思い始めたんです。

よく『霊感がある』とかって言いますよね。

『霊感があるから見える』 『霊感がないから見えない』  

じゃあ、『霊感』ってなんだろう?

特別な能力?   普通の人には無い?   

いろんな考えが浮かんで 「いや、それはないだろう」とか

「これはちょっと無理がある」とか。

で、ふと頭に浮かんだんです。

「皆んな見えてるんじゃないか」って。

ちょっと前に3Dなんとかって、だまし絵みたいなのが流行ったじゃないですか。

パッと見は幾何学模様とかが並んでるだけなんだけど、実は別の絵が隠されてるヤツ。 

目の焦点をぼかしたりしてると違う絵が浮かび上がってくるアレです。   

慣れた人はすぐ「見えた」って言うんだけど、なかなか「見えない」人もいましたよね。

でも、隠された絵っていうのは確実にあるわけで  

「見えない」人は気づいてないだけなんですよね。

一旦気づくと、次からはすぐわかるというか浮かび上がってきますよね。  

実は『霊』っていうのも、あのだまし絵の隠された絵なんじゃないかって。

皆んな見えているのに、気づいてない・認識してないだけなんじゃないかって。  

そう考えると辻褄が合うんですよ。

だまし絵は、絵が隠れていることを知った上で探すから皆んな見えるようになる。

でも、『霊』はそこに確実にいるかどうかわからないから気づく前にあきらめる。

『霊感』がある人と一緒にいると見やすいっていうのも、『見える』人が隣にいて  

「あそこにいる」って言われて探すから気づく人も出てくる。   

霊能者は「霊は確実に存在する」という前提で世の中を見てるから「見える」んであって  

普通の人は「いるかもしれない」位の意識だから気づかない。

「こりゃ~、真理突いたかもしれん」って思ったんですよ。

そしたらなぜかはわかんないんだけど、ものすごく怖くなってきて。

今まで気づかなかったけど、実はこの部屋にもいるんじゃないか? とか  

後ろ振り返ったらそこに顔があるんじゃないか?とか   

背中がゾクっとしたけど、どこからか見られてるんじゃないか?とか  

何かの視線を感じたら、実は上から見下ろされてるっていうし  

天井に今いるんじゃないか?とか    

今までは気づかなかったけど、今は真理を知ったから   

今この瞬間から見えてしまうんじゃないか?って。   

「怖い話をしてたら霊が集まってくる」って言うけど   

霊はああいう存在なんだから、言葉に出さなくても俺の頭の中がわかって   

集まってきてるんじゃないか?って。   

ものすごく怖くて、もう寝ようって思ったんですけど、   

ビール飲んでたからトイレに行きたいんですよ。   

でも、リビングからトイレに向かうドアの先がとても嫌なんです。  

なんか、いそうなんです。  ドアの向こうに。  

この嫌な感じも俺が『見える』体質になったから、霊の存在を感じてるんじゃないか。

そう思ったら、トイレにも行けなくなったんです。   

しょうがなくて、カミさんが飲んだままにしてたペットボトルにしましたよ。   

30もとうに過ぎたおっさんがですよ、 妻も子供もいるのにですよ、   

怖くて自分ちのトイレに行けないって。   

今朝、思い返したら「何があんなに怖かったんだろう」って。   

情けなくなりましたよ。    

ペットボトルで用をたしたのも、ちょっとこぼれてソファー汚したのも内緒です。   

でも、本当に昨日の夜は怖かったんです。   

また、コメントで叩かれるんだろうな。

 

怖い話投稿:ホラーテラー 蘇る銀狼さん  

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