毎月お題の短編練習枠(🌱初心者歓迎)

皆さんこんにちは。
一向に文章が上達しないふたばです。(´・ω・`)
己の練習に他人を巻き込んでやろうと、掲示板を建ててみました。
以下、ここでのルールを説明します。( ᴗ ̫ ᴗ )

🌱ここは、短編の練習をする為の掲示板です。

🌱毎月単語を3つ、お題として出しますので、短編の「三題怪談」を募集します。

🌱「三題怪談」とは、1つのお話に決められた3つのお題のワードを入れなければならないという“縛り”で御座います。

🌱お話の長さの目安は、原稿用紙2枚分(800字)程度。
(あくまでも目安です、越えてしまってもヨシとします)
文字数カウント↓
https://phonypianist.sakura.ne.jp/convenienttool/strcount.html

🌱お題は毎月一日に更新されます。

🌱提出期限は毎月28日までとします。

🌱お話はいくつ投稿しても構いません。

🌱初心者大歓迎。実際私もほぼ読み専なので、文章が下手っぴです。軽い気持ちでご参加下さいませ。

🌱ここで投稿されたお話は、“ご自身で書かれたお話ならば”怖話の通常投稿にあげても構いません。
寧ろ、多くの方に見ていただけるよう、ここで試し書き、本投稿で完成品といったように使って下さいませ。
何なら他サイトでも投稿されている方は、そちらへあげるのも問題御座いません。
(※他の方の掲示板でも同じとは限らないので、その都度そこの掲示板主へご確認下さい)

🌱題名も付けて頂けると助かります(題名は文字数には含みません)。

🌱感想だけのご参加も大歓迎です。

🌱明らかな荒らしコメントは即刻削除致します。慈悲はありません。

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【5月お題】

「人混み」「電話」「花瓶」

投稿期間 5/1 0:00〜5/28 23:59

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ですがまぁ…建ててみたは良いものの、私が独りで短編を書き続ける寂しい場所になりそうな気がします……

そこで!ちょっとした特典代わりと言っては何ですが、ここで投稿されたお話は、私ふたばが朗読させて頂きます。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ
具体的に言うと、YouTubeにてその月に投稿されたお題の回答を、纏めとして朗読してアップします。
素人の朗読ですのでレベルは低いですが、創作意欲の糧になれれば幸いです。( ᴗ ̫ ᴗ )

※朗読されるのが嫌だという方は、お手数ですが文末に「※否朗読希望」とお書き下さいませ。

📚過去のお題アーカイブ
【9月お題】「彼岸」「ぶどう」「ネジ」
https://youtu.be/DlNJ68yKIfA
【10月お題】「十五夜(月のみでも可)」「図書館」「菊」
(※お題提供:あんみつ姫さん)
https://youtu.be/iA4spsQlSMA
【11月お題】「りんご」「子ども」「落ちる」
https://youtu.be/UMVBBrycZqU
【12月お題】「肖像画」「塩」「M」
(※お題提供:むぅさん)
https://youtu.be/MJmFrqUqvj0
【1月お題】 「ウシ」「晴れ」「厄」
https://youtu.be/N0tX10EOJoE
【2月お題】 「僧」「遊泳」「踊り」
Extraお題「怪僧」「宇宙遊泳」「阿波踊り」
(※お題提供:嗣人さん)
https://youtu.be/9j2vK_kKzhE
【3月お題】 「風」「証」「波」
https://youtu.be/zZoV2ce7poU
【4月お題】「サクラ」「窓辺」「人形」
https://youtu.be/kZzfmq8cNvM
【5月お題】「母」「鬱」「川」
https://youtu.be/RNqUE92-K2k
【6月お題】「クラゲ」「雨」「失踪」
https://youtu.be/BM0ataca42E
【7月お題】 「天の川」「亀裂」「写真」
https://youtu.be/RcXTXfzfKUk
【8月お題】「手を振る」「扉の向こう」「呼ばれる」
(※お題提供:ラグトさん)
https://youtu.be/omL3byV-eF0
【9月お題】「アリス」「スープ」「ハサミ」
https://youtu.be/w20FnRK-bQQ
【10月お題】「バラ」「時計」「たばこ」https://youtu.be/g_zxwy1H73I
【11月お題】「無人探査機 」「提灯鮟鱇 」「地引網 」
(※お題提供:ロビンⓂ︎さん)
【12月お題】
「プレゼント 」「空席」「信号 」
【1月お題】
「トラ」「階段」「玉」
【2月お題】
「ネコ 」「チョコレート」「箱」
【3月お題】
「ウメ 」「日記」「歌声」
【4月お題】
「駅 」「看板」「ポスト」
【5月お題】
「灯り」「公園」「針」
【6月お題】
「カッパ」「アジサイ」「自転車」
【7月お題】
「浜辺」「貝」「欄干」
【8月お題】
「ニセモノ」「蝋燭」「指」
【9月お題】
「帰り道」「ビン」「コスモス」
【10月お題】
「先生」「空腹」「筆」
【11月お題】
「橋」「ゾンビ」「忘れ物」
【12月お題】
「足音」「雪」「吐息」
【1月お題】
「ウサギ」「獣道」「目」
【2月お題】
「鬼」「酒」「身代わり」
【3月お題】
「都市伝説」「ピアノ」「ボタン」
【4月お題】
「絵本」「珈琲」「霞」
【5月お題】
「シミ」「地下」「蝿」
【6月お題】
「ダム」「悲鳴」「カエル」
【7月お題】
「夏草」「鏡」「プラネタリウム」
【8月お題】
「漂流」「雲」「ラムネ」
【9月お題】
「神隠し」「お米」「カバン」
【10月お題】
「皮」「警告」「お札」
【11月お題】
「1週間」「影」「オレンジ」
【12月お題】
「ケーキ」「透明」「チャイム」
【1月お題】
「 」「 」「 」
【2月お題】
「穴」「遅刻」「節」
【3月お題】
「足跡」「惑星」「メッセージ」
【4月お題】
「卵」「楽園」「嘘」

※追記:ここのお話を本投稿へもアップされる方へのお願い
🌱先に述べた通り、ここに書いたお話は一般の怖い話にも投稿して頂いて構いません(そもそも著作権は作者のものですから)
🌱一般投稿分は掲示板のレギュレーションから外れますので、文字数を気にせず加筆修正しても何も問題御座いません。
🌱ですが、投稿の際には題名に“三題怪談”の文字を付けないで下さい(同じ企画系列の題名が並ぶとうんざりしてしまうユーザーが現れ、揉める為。実際、過去にそういう事がありました)
🌱また、お題の単語をお話の解説欄に載せると、その単語に気を取られて純粋な短編として楽しめないので、読者的には解説欄には“掲示板より”とだけ書いて頂けると助かります。
(コメントにお題の単語をネタバレ防止で公開するのはアリです)
(ここのページのURLは貼っても貼らなくてもいいです)
🌱代わりに、投稿作のタグ欄に、お題の単語タグ3種と“毎月お題の短編練習枠”タグが知らぬ間に付いております。十中八九私ふたばが犯人なので怖がらないで下さい。

企画というより常設となるこの場所は、細く長く続けていきたいので、何卒、ご理解下さいませm(_ _)m

『時間の問題』
暑さが苦手な私でも、不思議と春は嫌いではない。
桜の花が、爛漫に咲いたと思ったら、
一枚ずつ落ちてゆき、瞬く間に散ってしまっていた。
窓辺から見える景色。それは・・・
――――――――――
イネビタブル・エンド(英語で「避けられない終焉」)。
そう。桜も、ヒトも、希少な動物も、有限の命。
死ぬのが早いか、遅いか。ただそれだけの話。
自宅に飾ってある人形たちには、命が無い。だから不老不死だ。
命があるのに死なない、、、それはもしかしたらどんなものよりも怖いのかもしれない。
窓辺から見える景色。それは世界の滅亡。
最先端技術で人類でただ一人、不老不死になり、生き残った私は、
外界を彷徨う私以外の70億を超える魑魅魍魎から、自宅に人形として飾れそうなものを、
安全で高い場所からから嬉々として選別している。
――――――――――
桜は死んだ。
ヒトも私以外みんな死んだ。
希少な動物ももちろん死んだ。
そして神も死んだ。
世界の滅亡すら止められなかった神なんて要らない。
私こそが神だ(爽やかな笑顔)。
【初投稿ですー】

返信

@修行者 さん今晩は( ᴗ ̫ ᴗ )
私とした事が、折角の掲示板投稿に気付くのが遅れてしまいました… (;-ω-)

かつて恋した少女と、2人だけのメッセージの人形……
もしかして過去に少女が飛び降りた真相は、サクラに登ってやって来た少年と会いに、サクラの木に飛び移ろうとしたからだったのでしょうかꪔ̤̥ꪔ̤̮ꪔ̤̫?
だとしたら、一途で悲しい出来事ですね ߹𖥦߹

ですが、その一途さが拗れ、自分を忘れつつある主人公に彼女は許せなかったのでしょうね……
ピエロは楽しみや道楽、笑いの象徴でもあります。彼女にとってのそれらはあの人形と彼だけだったのでしょう。そのたった2つのうちの1つが離れて行く、どうしようもなく楽しみや笑いは重い蓋をしたように溜まってしまう:;(∩´﹏`∩);:
そんな、どうしようもなさを感じてしまいました(°▽°)(°▽°)(°▽°)

とても怖い狂った哄笑ですが、共に落ちるピエロメイクの涙のペイントに気付くと、また違った味わいも覚えますね(´・ω・`)

返信

『丑の刻参り』

コン、コン、

藁人形にアイツの写真を重ね、五寸釘を打つ。

コン、コン、

聞こえる筈の無い、土台のサクラの悲鳴が聞こえる。

…嗚呼、煩い。

木の癖にこんなに騒ぐなんて、だから定番通り神社の杉の木でやらなきゃ駄目だったのかな。

コン、コン、

そんな事より、アイツへの恨みを金槌に込める。

コン、コン、

アイツだ、アイツが僕の手柄を横取りしなければ、アイツが根も葉もない噂を流さなければ、アイツが、アイツさえ居なければ……

コン、コン、

アイツが僕の立場を惨めにさせた、アイツが僕を社内のストレスの捌け口に仕立て上げた。
社会人にもなってイジメだなんてみっともない。だが、厭にアイツは他者を取り込むのが上手かった。社内の雰囲気を固めるのが上手かった。

コン、コン、

お陰でこっちはろくに仕事も与えられず、入社数年にして窓際族だ。会社に居る必要さえ奪い去り、他の社員の陰口だけを窓辺で一身に浴び続ける毎日。

……もう、限界だ。

コン、コン、

僕を非難するように、サクラの木は赤い液体を垂れ流す。

そういえば、サクラの下には死体が埋まっているんだっけ。だからサクラそのものが妖怪扱いされることもあるのだとか、何処かで聞いた気がした。

コン、コン、

一振り一振り、恨みを込めて金槌で叩く。

不幸になれと、不幸になれと。

早々に死んでくたばるな。

生きたまま地獄を味わい続けろ。

恨み、願い、願い、願う。

藁人形には、既に幾つも釘が貫いている。

両手、両足、関節、脇腹……

致命傷になる場所は避け、幾つも釘を打ち付ける。

コン、コン、

サクラはもう悲鳴も上げず、ピクリとも動かない。

「あーあ……

でも、アイツが悪いんだよ。

アイツが、君の旦那さんが僕に言ったんだ。

『お前は“葛見”で“クズ”だから、なにをされても仕方ないんだ』って……

ねえ咲良(サクラ)さん。だったら“咲良”さんも、“木”と同じだよね」

…だから悪いのは、全部アイツなのだ。

顔面釘だらけの女を見やり、僕は嗤った。
【800文字】

返信

小学生の頃、大きなサクラの木が立つ病院に通うのが楽しかった。
ひょんなことから、僕は入院中の女の子と知り合いになった。
2階にある女の子の病室の窓辺に、小さなピエロの人形が置かれていたら「会いに来ていいよ」
置かれていなかったら「ごめん。今日は無理」
それが僕たちの秘密の合図。
ピエロの人形が見える日に、サクラの幹をよじ登って、窓越しに女の子と他愛のない話をする。
それが僕の楽しみだった。
初恋だった、と思う。

ある日、いつものように病室を見上げると、開け放たれた窓の鍵に、ピエロの人形が紐で吊り下げられていた。
紐はピエロの首にくくられ、ちょうど首吊りの状態になっていた。

僕は不審に思いながら病室に向かい、サクラの根本の動かない人体をみた。
サクラの花が舞う季節だった。
僕は、飛び降りた女の子の遺体発見者となった。

時は流れ、大学生になった俺は病室の中にいた。
入院する俺の彼女の看病をする為だ。
あまり病状は良くなかった。
俺は寝息を立てる彼女に目をやって、そっとため息をついた。

ふと窓辺に目を移し、僕は息を飲んだ。
窓辺にあのピエロの人形が座り込んでいる。
(なぜ?)
口に出しかかったが、寝ている彼女を起こすわけにはいかない。

クスクス…

女の笑い声に振り返ると、窓が開いていた。
窓の鍵には紐が結ばれ、もう一方はピエロの首にくくられている。まるで今から首吊りでもするかのように。
人形はぐらりと揺れると、窓の外に姿を消した。
「やめろ!」
反射的に窓の外に手をのばすと、腕を掴まれた。

俺は窓の外に引っ張り出され、俺の体は宙を舞った。
俺は自分の腕を引っ張る、あの女の子と目があった。

(ジ ゴ ク 二 オ チ ロ)

彼女の口がそう動いたのを理解した時、俺は自分の首が砕ける音を聞いた。

彼女は気がついていたのだ。

俺の気持ちが、少しずつ離れていたことに。
今の付き合っている彼女に惹かれていっていたことに。
そして恨んでいたのだ。
窓辺に人形をおいても、俺がそのまま通り過ぎる日が増えていくことを。

ずっと、ずっと…

俺の意識は薄れていった。
彼女の狂ったような哄笑を耳の奥に感じながら…

返信

@車猫次郎 さん御参加有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )
レスポンスが遅れてしまい申し訳御座いません……

山菜採りも春ですので、そこからまた桜の時期まで少なくとも一年は閉じ込められているのですね(。-_-。)
この桜が何回目の桜なのか…、身代金目当てにしては「何を言ってるんだ?お前のお家はずっと前からここじゃないか 」という言葉がやや不自然ですし、誘拐にしては女の子と距離を取っていますし、男の目的が判然としないのが不気味ですね(;-ω-)

返信

〈小さな窓辺〉
私の住んでいる部屋には一つだけ小窓がある
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
窓辺から外を覗くと、上から見下ろすような感じでサクラの木が見え、その枝の隙間から狭い路地が見え隠れしている
これが唯一の私と世界との接点、、、
部屋の中央には大きなベッド
枕元には西洋調のアンティークな人形
そしてバス付きのトイレがあり、クローゼットには可愛い洋服や部屋着も入っている
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
入口の扉は何故か鉄製で鍵が掛けられている
下方に開け閉めの出来る小さな扉が付いていて、そこから朝昼晩、トレイに乗せられてご飯がやって来る
それを受け取るときに、いつも一瞬だが、男の人の大きな手が見える
毛むくじゃらで太い手だ
この手を最初に見たのは、ずっとずっと昔の、まだわたしが小さい頃のこと
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
その日、わたしは両親と山菜取りに来ていた
両親と遊びに出掛けたのは久しぶりだったから、
嬉しくて一人はしゃいでいた
三人でお昼ご飯を食べた後、わたしは珍しい黒い蝶々を追っかけて鬱蒼とした林の中を走っていた
すると、大きな木の根元に可愛いお人形さんが置いてあるのに気付いた
あれ?どうしてこんなところに、、、
と思いながらそれを取ろうとすると、突然あの毛むくじゃらの手が現れて、その人形さんを奪い去った
見上げると、知らないおじさんが立っている
それから後は、おじさんの車に乗せられていて、
いつの間にか、ここに住むようになっていた
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
一度だけだが、扉越しにおじさんに聞いたことがある
「ねぇ私、いつになったら、お家に帰れるの?」
おじさんは笑いながら、こう言った
「何を言ってるんだ?お前のお家はずっと前からここじゃないか
そんなわがままを言うんだったら、もうご飯あげないよ」
私は飢え死にしたくないから、それからはわがままは言わないようにしている
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
小さな小窓、西洋調のアンティーク人形、そして大きなベッド、、、これらが私の全て
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
これまでも、これからも

返信

@林檎亭紅玉 さん先週に引き続き今週も御参加有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )

不気味なようで、とても幻燈的で、それでいて誰かを想う優しさと悲しさがよく現れたお話ですね(*´꒳`*)
全ての現象・行動には理由があって、純粋な想いがあって、だからこそ登場人物たちの心境が直ぐ側にあるかのように共感してしまいます(⸝⸝•‧̫•⸝⸝)
儚さ、無常、そして健気さ、そんなものを象徴する桜が咲かずともそして咲いたとしても美しいお話で御座いました(*˘˘*).。.:*

返信

ばあちゃんの桜

あの桜は咲かないよ。かな子が若芽を食べちまうもんだから。
婆ちゃんはそう言って、つまらなそうに外を眺めている。介護用のベッドに半分だけ起き上がったままの、いつもの姿勢で。
かな子って誰?
僕が尋ねると、婆ちゃんは口をとがらせて、知るもんか、と吐き捨てる。
僕は知っている。
婆ちゃんがうんと小ちゃな女の子だった頃、かな子という妹がいたことを。かな子は病気で死んでしまったけれど、婆ちゃんは同じ名前の市松人形を、ずっと大事にしているということを。
子供のころから婆ちゃんになるまで、ずっと大事にしていたのに。
婆ちゃんは爺ちゃんが死んでから、うんと忘れっぽくなった。
婆ちゃん、かな子のことも、本当に忘れちゃったのかい?
埃を被るようになったかな子の世話は、僕がしている。
窓の外の八重桜は咲かない。咲いたらきっと、婆ちゃんのベッドから一番よく見えるのに。
桜が散る頃、かなちゃんは生きていないかもしれないねえ。
口さがない親戚が、まだ子供だった婆ちゃんに向かってそう言ったらしい。
そんなの嘘だ、と、子供だった婆ちゃんは言って、地団太を踏んだけれど。
実際に、かな子は桜が散る前に冷たくなった。
婆ちゃんは声を上げて泣いたけれど、かな子が戻ってくるはずもなくって。やがて婆ちゃんは大人の女になって、爺ちゃんと会って結婚して、母ちゃんが生まれて、僕が生まれた。
最近、夜になると音がする。
しゃく、しゃく、しゃく。
朝目が覚めると、市松人形の口の周りが青臭い。
お前、食べただろ。
僕が叱りつけても、市松人形のかな子は知らんふりをしている。
桜が咲いて、桜が散ったら、婆ちゃんが死んでしまうと思っているらしい。
今年も桜が咲かない。
その次の年も、その次も。
あの桜は死んでいるようですよ、切ってしまいなさいな。
植木屋の男にそう言われた年に、婆ちゃんは眠るように亡くなった。
もう良い。
もう、食べなくて良いんだよ。
口の周りの青臭い市松人形を抱えて、僕は泣いた。
もう良い、もう良いんだよ。
婆ちゃんに会えるから。
その年、八重桜は薄紅の花をいくつも咲かせた。
そして、力尽きるように枯れはててしまった。
介護用のベッドを片付けた、がらんとした寝室。窓の外の八重桜の切り株。
切り株の上に、僕は今年も二人分のお酒と、ちょっとしたお菓子を備えることにしている。

返信

@綿貫一 さん御参加有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )

幻視の出来る“私”の老人介護施設のお話…、絡まったように上手くいかない高齢者の方々の、心からの行動を読み解くお話なのですね(*´꒳`*)

「願わくは 花の下にて春死なん その如月の 望月のころ」 気になって少し調べて見ましたが、この詩は実際に西行法師という方が読まれたものなのですねꪔ̤̥ꪔ̤̮ꪔ̤̫
私も一仏教徒として、この詩ような往生には憧れます( ˘͈ ᵕ ˘͈ )

返信

願わくは

「先輩。あのテラス、なんで人形が置いてあるんですか?」
私は職場の先輩である美津子に、気になっていたことを尋ねた。
4月。庭に生えた満開の桜を望む窓辺。
うららかな日差しの中、二脚の椅子が置かれ、その上に毛糸でできた男女のかわいらしい人形がちょこんと座っていた。
先日まであんなものはなかったはずだ。
「願わくは 花の下にて春死なん その如月の 望月のころ」
美津子は小さくつぶやいた。
「5年前の…ちょうど今日。マナブくんがアヤちゃんを殺したからよ」
その言葉に、私の『幻視』が始まった。

老人介護施設「さくらの園」に入居していた綾子は、アルツハイマーの症状が進み、自分のことを幼い少女だと思い込んでいた。
だから夫である『私』にしても、「アヤちゃん」と呼びかけてあげないと、ろくに返事をしなかった。
当然、『私』のことなど覚えているわけもない。
だが今、窓辺で満開の桜を眺めていた綾子は、『私』を見て言った。「……お父さん」と。
その目にはすべてがあった。
国文学者として高い評価を得ていたその叡知も、ともに歩んだ50年という歳月も。
「願わくは 花の下にて春死なん その如月の 望月のころ」
歌うように、彼女は言った。
切れた電球のフィラメントが、奇跡的に繋がった一瞬。彼女が何を望んでいるかが、『私』にはわかった。
これは辞世の句だ。
綾子らしいな、と『私』は思わず微笑んだ。
そして、『私』は。

「……ずっと一緒にいるため、だったんですね」
私の言葉に、美津子は驚いた顔をした。
「ちょっとおどかすつもりだったのに。
どうしてわかったの?不思議な子ね」
その時、一迅の風が吹いて、桜の花びらが雪のように舞った。

返信

御参加の皆様へ🌱
3月のお題短編の朗読、投稿完了致しました( ᴗ ̫ ᴗ )
こんな拙い動画ですが、皆様のモチベーション向上に繋がればと思います(๑˃̵ᴗ˂̵)۶

https://youtu.be/zZoV2ce7poU

4月度の御参加もお待ちしておりますね(л・▽・)л

返信

ご参加の皆様へ🌱
4月となりましたので、新しいお題を更新させて頂きますꪔ̤̥ꪔ̤̮ꪔ̤̫
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【4月お題】
「サクラ」「窓辺」「人形」

投稿期間 4/1 0:00〜4/28 23:59

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初めてその月の内に動画出せるかと思っていたのですがまさかの寝落ちをしてしまい、挙句会社にも遅刻し掛けました… ( ᵕ̩̩ㅅᵕ̩̩ )
朗読は今日あげます_:(´ཀ`」 ∠):

返信

折角なので14日に投稿したものの短編バージョンを……
文字数は目標から200文字くらい超過していますが、時間的にこれが限界でした…(。-_-。)

返信

『我歴-gareki-』

十年ぶりに歩く砂浜は、あの日の事がまるで嘘であったかのように見晴らしが良く、とても綺麗だった。
聞こえて来るのは、細波の音と、春風の音。

かつてここは、泥に塗れた瓦礫に埋め尽くされていた。

僕はこの広い砂浜に独り座り、彼女の為にと作ったケーキを傍らに置く。

十年越しの、君への想いを込めたホワイトデーのお返し。

「サキ姉、喜んでくれるかな…」

その呟きは波の音より小さくて、小さな潮風に攫われ、流された。

◯◯◯

十年前、その頃僕はまだ小学生で、生意気にも近所に住む従姉妹のサキ姉に恋をしていた。

その年、世間では手作りバレンタインが流行っていて、当時高校生だったサキ姉もその流行に乗り、友達に配るんだと沢山作っていたチョコレートブラウニーの一つを近所に住む僕にもプレゼントしてくれた。

絶対大事にする!って渡してくれたサキ姉に言っては、「ちゃんと食べてよね」と笑われてしまった事を、よく覚えている。

僕はその笑顔と恥ずかしさに顔が熱くなってしまって、「ホワイトデーのお返しは3倍返しだからね」と悪戯っぽく微笑む彼女の冗談さえ、真に受けてしまっていた。

サキ姉から貰ったのが手作りのバレンタインだったから、どうしてもお返しは手作りにするんだと、子供ながらに張り切って…

しかし、その3日前の事だった。

突如、かつて無い程の強烈な揺れが、僕らを襲った。
それは、2011年の3月11日、あの東日本大震災。

僕も彼女も、形あるものは全て壊れ、流され、瓦礫となった。

しかしそれでも、サキ姉への想いだけは、ずっとずっと残っていた。

ずっとずっとずっと、十年も、未練となって。

…今、ようやく出来上がったこのケーキを、僕は、居なくなってしまった彼女へ捧げる。

波打ち際で独り、かつて瓦礫に埋もれた彼女の遺体が上がったというこの場所で。

びゅおお…と、冷たい春風が、小波を立てる。

僕は、高温の珈琲を入れた魔法瓶を取り出し、傍らのケーキにゆっくりと流し掛けた。

これが、最後の仕上げだった。

十年前、この町を津波が襲ったように、丁寧に作り上げられたケーキはぐちゃぐちゃに崩れていく。

このケーキは、サキ姉を想い続けた僕の人生、僕の歴史、そのものだ。
僕から彼女への、愛の証。僕と彼女が、ここに居た証。

砂浜に滴るケーキは、やがてこの土地へ染み込み、瓦礫と共に流れた彼女達と同じく、広い太平洋へと流れるだろう。

僕はその最後を見送り、ゆらりと揺れる細波ように…消えた。
【1000文字】

返信

何とか間に合いました_(┐「ε:)_
なんだか悪意に満ちたお話になりましたが、きっとみんなストレスが溜まっているのかも知れません(*´-`)

いやー、SNSって怖いですね。

返信

『卒業証書』

これはウチの高校で今ちょっと話題な噂なんだけどさw

今年の卒業式は、感染症対策のためとかでウチの学校では参加者は先生達と卒業生だけだったんだけど、
毎年恒例の吹奏楽部の演奏も無いし、つまんなかったらしくてさ。
しかも式が終わってから友達同士で一緒に写真も撮らずすぐ帰れとか当日に通達されたらしくてさ、マジ波平クソ過ぎ。
あ、波平ってのは校長の事ねwアイツてっぺんハゲのチョビヒゲ眼鏡だからw

その癖わざわざアクリル板用意してまで生徒全員に卒業証書手渡ししてさー
わざわざ時間掛かる事だけ感染症のリスク負ってまでやるとか馬鹿でしょw
しかも波平の話クソ長いしw
換気のせいで扉開けっぱで風入って寒いのに、マジありえん。

でさw
噂の話なんだけどさ、卒業式に出てた先輩達の分に混じって一枚多く卒業証書があったらしくてw
それが波平の分なんじゃねって噂になってんのw
それも学校卒業じゃ無くて人生卒業の奴とか言われててw
何でも奴がしてきたセクハラとかパワハラの内容がびっしり書かれてるらしくてさw
人生終了通達って言うかーwマジウケるくないw?
それが今SNSでめっちゃ盛り上がってんのw
「私前波平に体触られた」とか言い出す先輩達も居てさwそれがバズっちゃってさーw
先輩達なんてもう卒業したんだし関係ないから言いたい放題っていうかさw

え?ガチかって?いやガチガチw知らんけどw
実際虚偽報告してる奴も居るっしょw
もうお祭り騒ぎっていうかさーw何でもいいから言っとけって風潮っていうかw

でさでさw
アンタも噂広めるの手伝ってくんない?
だってオモロくない?普段堅物ぶってる校長が実は変態スケベジジイとかwそれバラされて人生卒業とかw
どーせそっちも春休みで暇っしょw
じゃ宜しくねーw盛り上がってこーw

◯◯◯

ふふふっ…
フォロワー集めに夢中な学生の扱い易さに、一人にやけてしまう。
ついつい漏れてしまう笑い声を抑えながら、教頭はスマホの電源を切った。
【800文字】

返信

@ゴルゴム13 さんご参加有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )

実は毎月駆け込みで投稿される方が割と多いんですよね( ̄▽ ̄;)
かく言う私も今急いで短編を執筆しております…(。-∀-)

私は海無し県に分布しているせいか、海のお話を書いた事が無いので、こういう“海の魔物”みたいなお話は本当に未知な感じがしてわくわくしてしまいます。笑
ゴルゴムさんらしい妖艶なお話有難う御座います╰(*´︶`*)╯

返信

ふたば様
投稿が遅れてしまい申し訳ありません。もっと手を加えようと思っていたのですが時間切れです(涙)。よろしくお願いします。

*****
【海魔は波の調べとともに】

『幸も不幸も、みんな海からやって来よる…………』

 地元の老漁師が酒臭い吐息まじりに呟いたその言葉を、ふとした時に思い出す。すぐ横にいる父もまた赤ら顔で、黄昏時の微風にそよぐ金木犀の生垣を見るともなしに眺めていた。

§

 今日は風が強くて、白い波頭が無限に寄せては返し、寂れかけた町には似つかわしいざわめきを奏でていた。土曜日は午前で授業が終わる。部活にも入っていない僕は一人帰路に就いた。
 人気のない海岸沿いの道を歩いていると、誰かの視線を感じて堤防を見上げた。若い女が顔を覗かせて、薄気味の悪い微笑をほんのり浮かべていた。目が大きくて、黒く長い髪が濡れているのが分かった。年齢は分からないが、高校生だろう。

 無言で僕を見つめ続ける彼女が怖くなって、足早にその場を後にした。

 家に戻ると、酔った父が酒の入ったコップを片手に野球中継を眺めていた。父は元々漁師だったが、左腕を失ってからは缶詰工場で働いている。

 特に趣味などもなく、仕事が終わると直帰して酒を飲むだけの毎日だ。土日ともなると一日中酒瓶を抱いて過ごしている。会話はほとんどない。母は僕が幼い頃に死別しているのだが、仏壇どころか遺影すら父は飾ろうとしなかった。

 深夜、窓枠ががたがたと鳴った。眠気まなこに窓越しに人影らしきものを見つけ、「誰だ!!」と声を上げると、それはさっといなくなった。

 恐る恐る窓の周辺を確かめてみたが、変わったところは見つからなかった。ただ、翌朝庭を調べた僕は、思わず目を見張った。何者かの足跡(それも裸足の)があったのだ。父に相談しようかとも思ったが、グラスを手に庭をぼんやり眺めている父を見てその気は失せてしまった。

 その夜、僕は不思議な夢を見た。堤防で見たあの少女が、裸で僕に絡みついていた。魅惑的なその肢体を惜しげもなくさらし、初めてのことで極度に興奮した僕の拙い愛撫にも笑顔を浮かべ、甘い嬌声を上げた。その後、彼女は僕の手を取って、誘うように僕を連れ出した。

 潮騒の鳴り響く海岸で、冷たい波が足元を濡らしてから、やっと僕はこれが夢ではないと気が付いた。彼女はどんどん沖に向かって進んでいく。腰にまで海水に浸かったところでさすがに本能的恐怖を覚え、思わず立ち止まった。

 その時、遠くから、懐かしい声が聞こえた。海辺を振り返ると、父が砂浜で片手を振り回しながら何か喚いていた。月明かりの下でくしゃくしゃに顔を歪めて、僕に戻って来いと叫んでいるようだった。

 その声が僕の幼いころの記憶を蘇らせていた。母さんは人魚と呼ばれる、人ならざる生き物だったのだ。

 きっとこの種族は、男の精を受けるために地上に現れるのだ。そして気が向けば地上で暮らし、飽きたら海に帰ってしまう。父さんは母さんを引き留めようとしたのだろうか、ともあれ母さんは興奮して父さんの左腕を噛み千切ってしまったのだ。

 その記憶が幻などではない証に、目の前の彼女もまた両足は人魚のような尾鰭に変化し、おまけに三角の巨大な歯を剝き出しにして────────

§

『本日未明、xx町の海岸で少年の遺体が発見されました。身元は地元の中学生で、遺体の状況からサメに襲われたものとみられています。少年はどういう訳か夜遅くに海を訪れたと見られ、警察はその場に居合わせた父親から詳しく事情を聞いている模様です』

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ご参加の皆様へ( ᴗ ̫ ᴗ )
3月のお題投稿の締め切りは、明日28日の 23:59までで御座います(*´꒳`*)
お忘れの無いよう宜しくお願い致します🌱

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@林檎亭紅玉 さんご参加有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )

サスペンスのクライマックスシーンの如く緊迫した空気感の中、常緑樹の暗い色合いの葉が擦れる音が、イヤに硬く、乾いて聞こえます(。-_-。)
読者を欺く意外な犯人と結末に衝撃を受けつつも、その後に押し寄せるヒトの勝手さや傲慢さに、なんとも苦い後味が残るお話で御座いました_:(´ཀ`」 ∠):

親が子を想う、仏教では“慈悲”と呼ぶその心を、エゴだと、利己主義だと罵るのは、自然の摂理を不自然にも罪に仕立て上げるための、驕った人間のエゴイズムに思えてなりません(`・ω・´)

野生の熊はヌイグルミではありません。腹をすかせた熊の前ではヒトなど餌でしか無く、冬籠もりの為の餌が向こうからやって来ておいて、何を言っているのか……
自分達の身勝手せいで飢えた熊を勝手に救おうと勝手に近付き、勝手に食べられ勝手に悪だと決めつけ、勝手に正義の味方ぶって、勝手に殺す…、まるで、熊の命がオモチャのようです(´・ω・`)

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