僕は一人だったよ。
毎日毎日一人で遊んでいたよ。
そしたらある日同じ幼稚園の女の子が僕に話しかけてくれたよ。
僕はうれしくてうれしくてその子と遊んだよ。
だけど次の日女の子は死んじゃった。
車に跳ねられちゃったみたい。
僕はまた一人になった。
ある日新しく来た先生が僕に優しくしてくれたよ。
だけど次の日先生の家が火事になったんだって。
先生は幼稚園を辞めちゃったよ。
僕はまた一人。
僕の傍にきた人はみんないなくなっちゃう。
なんで?
なんで?
小学生になったらいっぱい友達ができたよ。
僕はもう一人じゃないね。
だけどね、みんなどんどん不幸になるんだ。
誰かがね、僕といると不幸になるって言ったから僕の傍にいなくなちゃった。
それでね、みんなして僕をいじめるんだ。
僕をいじめると幸せになるってみんながいうんだ。
僕は一人。
きっとこれから先ずっと。
誰か僕の傍にいて?
ある日同じクラスの女の子が僕にカッターを向けてきたよ。
お前なんか死んでしまえっていわれたよ。
カッターが僕の腕に刺さったんだ。
血がたくさんでてきてね、すごくすごく痛かったよ。
すぐ先生が来て止めたんだ。
この事件はなかったことになったよ。
僕は気づいたんだみんなは僕に対して殺意をもってるって。
僕は帰るなり物置に閉じ込められるんだ。
ずっと真っ暗。
何も見えないね。
僕は物置に隠していた携帯をライトの変わりにしたよ。
あっこの携帯はね、もらったの。
おばあちゃんに。
でもその後すぐ死んじゃったんだ。
今はおじいちゃんが払ってくれている。
おじいちゃん…。
死なないでね?
僕は夜の10時がくると物置からだされる。
僕はお母さんやお父さんの八つ当たりの道具になる。
近所の人も僕を嫌うからお母さんやお父さんにも被害がくるんだよね。
だから僕はひどいと思わない。
だってこれは僕のせいだから。
そして物置に戻され僕は眠る。
ご飯は給食だけ。
その給食もいたずらされたりして食べれない時が多い。
そんなある日転校生がきたんだよ。
転校生は僕の隣の席になった。
よろしくっと笑いかけてくれた。
その瞬間クラスのみんなが転校生にあいつに近寄るなとか言っていたよ。
けれどその転校生は話し掛けてくれたよ。
僕はうれしかった。
すぐに転校生は不幸に落とされたけどね、お前のせいじゃないよっと言ってくれた。
幸せだった。
ある日転校生は一緒に帰ってくれた。
そしたらいきなり車が突っ込んできて転校生せいが僕の目の前で跳ねられた。
最後の声も聞くことのなく即死だったんだ。
僕は初めて泣いんだ。
その家族にはすごく恨まれた。
お前のせいだと何度も言われた。
僕はただ謝るしかできなかった。
僕は学校帰り公園に寄り道した。
一人で砂のお山をつくって遊んでたんだよ。
公園にいるみんなは笑ってたよ。
僕も笑えるかな?
僕はいつからか名前を呼ばれなくなったんだろう。
僕の名前って何だっけ?
僕の目の前に一羽のつばめがいた。
つばめだったね。
帰るなりお母さんに部屋に引きずられたよ。
今日はどうしたのかな?
お母さんはそこらじゅうにあるものを僕に投げつけたよ。
僕はよけなかったよ。
これで笑顔になってくれる?
だけど突然お母さんが泣きだしたんだ。
びっくりしたよ。
僕はなんで泣いてるかわからなかったんだ。
僕にものを投げつけながらずっと、ずっと泣いていたよ。
僕は一度も言ったことのないことを言ったよ。
「…お母さん?大丈夫?」
お母さんはまたボロボロ泣いたよ。
そして僕を物置に戻したんだ。
いつもは開かないのに今日は開いたんだ。
僕は物置からでて夜道を歩いていたよ。
お母さんはどうして泣いていたんだろうね。
僕は家に帰ってドアを開けたんだ。
いつもは開いてないよ?
だけど開いたんだ。
部屋に明かりがついてたから行ってみたらお母さんとお父さんがいたよ。
二人とも泣いていたよ。
どうして?
僕にはわからないや。
僕は音をたてぬよう物置に戻って眠ったよ。
その日は眠れなかったんだ。
よくね、新しくきた先生とかが僕を悲しそうな目で見てくるの。
おかしいね。
当たり前のことなのにね。
僕は平気だよ?
僕の心は壊れているから。
愛されるって何だろうね。
優しさって何だろうね。
幸せって何だろうね。
甘えるって何だろうね。
僕にはわからないや。
ある日ね、クラスの数人が僕を呼び出したんだ。
いじめても冷静に対処する僕にむかついたんだって。
僕はみんなに囲まれてサンドバックみたいに殴られたよ。
僕はただ真顔でみんなを見つめていたよ。
みんなは僕を取り押さえ袖をまくったよ。
僕の腕はすぐ折れてしまいそうなぐらい細かったね。
そしたらその中のリーダー的な子が僕の腕に画鋲を刺したんだ。
僕の腕にはどんどん画鋲が刺さっていったよ。
血もどんどん流れたよ。
僕はみんなに
「楽しい?」
って聞いたよ。
いじめをしているなかで初めて僕が口を開いたから驚いたみたい。
クラスの子達はいそいそ逃げていったよ。
だけどね、リーダーが残ったんだ。
「お前に生まれなくてよかったよ」
そう言い残して行っちゃた。
ある日僕は一つ賢くなったよ。
人は辛くなったり追い詰められると「自殺」しちゃうんだって。
自殺って自分で死ぬことだって。
僕には必要ないね。
僕が公園に行くと女の人がいたよ。
とてもとても綺麗だったよ。
女の人は僕に気づくと笑いかけたんだ。
僕はお辞儀して砂場に行ったよ。
そしたら女の人も来たんだ。
「こんにちは、僕」
そう言って手をさしのべてきたよ。
「こんにちわ」
僕は女の人の手をとった。
すごく冷たかったよ。
「僕はよく公園に一人で来てるね」
「うん」
「名前はなんて言うの?」
「つばめだよ」
「つばめ君ね」
「お姉さんは?」
「私は…」
お姉さんは木にいるすずめを見ながら、
「すずめよ」
って言ったよ。
同じ鳥だねって言ったらそうねって笑ってくれたよ。
お姉さんは僕の頭を撫でながら、
「つばめ君は強いね」
って言ってくれたよ。
どうして強いんだろうね。
僕はお姉さんに僕といないほうがいいよって言ったよ。
僕といると不幸になるからって。
だけどね、お姉さんは私はならないわって悲しそうな顔でいって抱きしめたよ。
何だか暖かかったよ。
僕は毎日公園に行ってすずめさんに会ったよ。
すずめさんはいつも笑顔で迎えてくれたよ。
僕は人の暖かさを感じたんだ。
だけどね、僕は気づいていたんだ。
すずめさんはおばけだって。
だけどあえて言わなかったよ。
もう離れて欲しくないから。
暗くなり僕は家に帰ったよ。
ドアが開いてたんだ。
怖いくらい静かだったんだ。
僕はお父さんとお母さんのいる部屋に行ったんだ。
二人とも首を吊って死んでたよ。
どうして?
なんで?
僕のせい!?
僕の目からは涙がこぼれたよ。
手紙が置いてあったんだ。
僕宛ての。
僕はこぼれる涙を拭いて手紙をみた。
「ごめんなさい。」
そう一言書いてあったんだ。
なんで?
なんで謝るの?
僕は狼のように吠えて泣いたよ。
僕は一心不乱に公園まで走ったよ。
だけど公園にすずめさんはいなかったんだ。
僕は自分が不幸だって知ったよ。
孤独を感じたよ。
そう考えたら残された道は一つしかないね。
僕は学校に侵入して窓ガラスを割ってはいる。
いいよね?
そして屋上に登った。
高いね。
僕は携帯を屋上の隅に置いた。
そしてためらいなく飛び降りた。
今度はひとりぼっちは嫌だよ。
もし生まれ変われたら友達になってね。
星が綺麗な夜だった。
怖い話投稿:ホラーテラー つばめさん
作者怖話