何年か前、母がある駅ビルの掃除のパートをしていた時の話である。
トイレの掃除をする為、清掃中の看板を入口に掲げてやり始めた時に若い女の子が、
『おばさん、ちょっと使わせて!』
と、ぶっきらぼうな言い方をして入って来た。
掃除をしているのにと思ったが快く、
『どうぞ…。』
と、言った。
しかし、その女の子は便器がある個室には入らず、洗面台の前に立ち、有ろう事か化粧ポーチを取出し、顔をいじりだした。
さすがにこれは直ぐには終わらないだろうと思い、
『スミマセンがこれから清掃しますので、お客様のお洋服が汚れてしまうといけません。ですから、お化粧なら下か上のトイレを使ってはいかがですか?』
そう言うとその女の子は、
『おばさんが他のトイレを先に掃除して来なよ。
もう、ポーチ出しちゃったし、面倒っちーし。』
仕方なく今までセッティングしたホースやモップをかたずけて、別の階に行こうとバケツを持とうとした時、
ぎっくり腰になってしまい、床にへたりこんだ。
『イタタタタターッ…!』
するとその女の子は、
『何やってんだよ!とっとと仕事しなきゃクビになっちゃうよ。その年じゃ次の職場なんて無いよ。』
母は痛みをこらえ、
『申し訳ございませんが、外にいる店員を呼んでいただけないでしょうか…。』
返って来た言葉はなんと、
『はぁー?おばさん、何言ってんの?あたしがなんでそんな事しなくちゃいけないの?訳、わかんない!』
そう言って出て行ったそうです。
ある日、家族でテレビを見ていると、
『ねぇ、この女の子の名前、なんて言うの?』
『あぁ、〇□△◇(W.C)だよ』
そう言った後、この話をした。
母は一言、
『常識や言葉使いや人間性は大事だね。
この娘自身の問題でもあるけど、周りの大人達がいけないねぇ…。
芸能人だからチヤホヤされているのがいけないのかねぇ…。』
人間が一番、怖いのかなぁと思いました。
ぎっくり腰ぐらいだったからいいけど、意識が無い人がいたらどうするんでしょう?
芸能人・一般人・老若男女問わず、助け合いの誠心が無くなって来たのかなと思う、今日この頃です。
最後に母がテレビを見て一言、
『この娘、あんまり可愛くなかったよ…。』
そう言ってました。
おしまい…。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話