また目が覚めた
恐る恐る祈る様に辺りを見回す
いつもの部屋の小さな灯り
すぐ横に子供の寝顔
暖かい布団
夢だと分かって子供を抱き締めた
(それにしてもリアルな夢だったな〜)
なんて思いながら、その日は眠れず朝を待った
その夢を見てから3日が立ち普段はなかなか会う機会もなく半年に一回会うか会わないか位なのに、日曜に実家から食事に誘われ出かけた
弟のYに会ってふとあの日の夢を思いだしたが、あれ以来見てない事もあり、すぐに忘れた
その日の夜
Yと実家の居間で酒を飲んでいると突然Yが
Y「この間すげーリアルな夢見たんだぜ」と言ってきた
俺は内心ドキドキしてた
Y「さび臭くて薄暗い部屋にDといて、いきなり悲鳴が聞こえるんだ、それも凄い数の悲鳴だ!
みんな殺されてさ、まぁ俺もDも殺されるんだけどさ、でもな…また目が覚めると其処にいんだよ」
俺は鳥肌が立った
俺と同じ夢だったからだ
俺は言うべきなのか言わないべきかを悩んだ
言ってしまったらどうなるのか…
何ともいえない恐怖にかられた
Y「俺なんか勝てる気がしてさ、D泣いてるだけで動かないし、立ち向かったんだけどダメだった」
なんてYは笑いながら話してた
俺は笑えなかった
ただの偶然だ…俺達の見た夢は単なる偶然だと信じ、Yには語らずそのまま帰宅した
その帰り途中、突然具合いが悪くなり妻に顔色が悪いと心配されながら家に着いた瞬間には意識を失うかの様に眠りについた
その日またあの夢を見た
薄暗い部屋、錆臭く、息苦しい
鼓動が尋常じゃなかった
ただ前と違う事
Y「D!!」
D「Y!!良く聞いてほしい、俺も前にこの夢見てるんだ、Yと同じ夢を!
俺もここにいる夢を見てたんだよ」
Yは凄く動揺してた
今日ついさっきまで話してた事がまた現実にその夢を見てる
何よりお互いに夢とは違った感覚を持ってしまっている事
今まで以上に恐怖感が強くなる
2人ともグシャグシャの顔になりながら泣いた
するとYが
Y「これが地獄なんかな…死んでも死んでも苦痛から逃げられない、何度も繰り返すんだ」
頭がパニック状態になった、叫んだ、その場で暴れた不思議と恐怖より怒りに似た様な感情が溢れていた
D「とにかく逃げよう、とにかくやられずに逃げ切るしかないだろ」
Y「そうだよな、やれるだけの事はやるよ…でもどうやって」
D「正直俺も分からない、でもここにいるよりはマシだろ」
お互いに見つめ合い頷く
やつらが来る前に俺達は扉を開き大広間に出た
初めて分かった事があった
かなりの人数だった
100人はいると思う
Yも驚いている様子だった
まさかこんなに人がいるなんて思いもしなかったからだ。
Yと辺りを見回し逃げ道を探す
せめて身を隠せる様な場所があれば良いのだが…
ふと視界に入った懐かしい顔に俺の目は点になった
K「Dちゃん、Yちゃん!!」
俺とYの母親の妹にあたる人だった
D.Y「嘘だろ…」
なぜKおばちゃんが此処に
もう絶望しかなかった
身内が知らない間にこの世界に呼ばれてる
もう何もかも分からなくなった…
3人で抱き合い涙を流し再会の喜びなんてものは無かった
長々とすみません、続きます
怖い話投稿:ホラーテラー 匿さん
作者怖話