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短編2
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オタク

時計を見て布団から飛び起きた。

しまった!今日は同人誌の即売会だった。

急いで着替えを済ませ部屋を飛び出した。

僕は世間でいうオタクというやつだ。友達や彼女もいなくなんの楽しみもなかった高校時代、たまたまやっていた深夜アニメに心奪われそこからどっぷりとハマってしまった。

大学に入ってからは嫌な人付き合いを我慢してバイトを始めた。

すべてはアニメのグッズを買うためだ。

アニメさえあれば僕は生きていける……。

やはり寝坊したのが災いしたのか会場の前には長蛇の列が出来ていた。

急いで列に並ぶ。

中に入ると会場の中は人が溢れかえりすし詰め状態だった。

ひとなみを掻き分け目的の同人誌が売っている場所へ急いだ。

数時間後、汗だくになりながら会場を後にした。

目的の同人誌が買えた事に満足し意気揚々と家路についた。

玄関のドアを開け靴を脱ごうとした時だった。

ドンドンとドアを叩かれたので開けた。

隣の住人だった。

先月引っ越してきた女の子で挨拶にきた時僕はドキッとした。

何故なら彼女が僕の好きなキャラクターにそっくりだったからだ。

僕は事あるごとに彼女の部屋を訪れた。

時には出来もしない料理を作りすぎたと嘘をついたり、地元のお見上げを渡しにいったりした。

その度に彼女には結構です、迷惑ですと断られた。

でもそんなのツンデレなところが更に彼女の事を好きにさせた。

僕の彼女にしてやってもいいとも思った。

その彼女が僕の部屋を訪ねてきたのだ。

彼女は僕の顔を見るなり、

「いい加減にして下さい!」

と怒鳴った。

「前々からいおうと思っていたんですけどもう私の部屋に訪ねてこないで下さい。それにさっきみたいに大音量で変な音楽流すのもやめて下さい!」

さっきみたいに?

僕は今帰って来たんだけど……。

なるほど。僕に合いにくる口実だな。まったく可愛いやつめ。

「迷惑なんです!」

ドスッ!

腹部に激痛が走った。

見ると包丁が刺さっていた。

ドアの陰になっていて気付かなかったが彼女は包丁を持っていたのだ。

なるほど。彼女はツンデレではなくヤンデレだったのか……。

その場に倒れこんだ。

薄れていく意識の中で呟いた。

「も、萌え~……」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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