短編2
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派遣会社5

オヤジ狩りを返り討ちにしこれは『オヤジ狩り』狩りだなとくだらない事を考えていた時だった。

電話が鳴った。

「お仕事です。」

担当の女性は依頼人の名前、仕事内容、時間と場所を丁寧に説明し電話を切った。

今回は仕事まで時間がある。下見でもしておくか。

不覚にも殴られてしまった左頬を擦りながら仕事先へむかった。

今回の仕事先はマンションの一室だ。

部屋に入り驚いた。

壁中にギターを持った女子高生や変なスーツを着た女等のアニメのキャラクターがかかれたポスターが張られ、棚にはアニメのキャラクターであろう人形がところ狭しと置かれ、床には雑誌が散乱していた。

昨日見たテレビ番組を思い出す。

なるほど。これが萌えというやつか。

部屋の中央にあるテーブルに置かれた雑誌に目がとまった。

表紙に大きな鎌を持ち禍々しい布を纏った可愛らしいアニメキャラクターがかかれており、下に『死神ちゃん特集』と書かれていた。

思わず笑ってしまう。

こんな死神どこを探してもいないぞ。

その雑誌を見ようと歩みを進めた時だ。

雑誌に躓きそうになり咄嗟に近くにあったCDプレイヤーにしがみついた。

心臓が止まりそうになった。

CDプレイヤーから大音量で音楽が流れ出したのだ。

早く止めないとと思い手を伸ばしたが途中ある事を思った。

停止ボタンはどれだ?

オレは自宅のCDプレイヤーを使いこなせるようになるまで3か月かかった極度の機械オンチだ。

手当たり次第にボタンを押し何とか音楽を止めた。

ガチャっと音がした。

住人が帰って来たようだ。玄関へむかう。

玄関には男が立っており手には紙袋を持っていた。

これがオタクだな。

ドンドンと玄関のドアを叩く音が聞こえた。

男がドアを開けると女が立っていた。

とりあえず外に出て女の姿を見た。

手に包丁を持っている。

料理でもしていたのだろうかと思ったと同時にある事を閃く。

女の包丁を持っている手を掴み男の腹に突き刺した。

男は腹を一瞥し倒れこんだ。

女に悪い事をしたなと思っていた時だった。

男が、

「も、萌え~……」

と呟いたのだ。

オタクというのは人に刺される事も萌えという要素に入るのかと驚いた。

今度オタクを殺す機会があるなら刺殺にしてやろうと思いながら男の魂を拾い、立ち尽くしている女にお決まりの言葉を呟き死神派遣会社に戻った。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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