……続きです。
『あの部屋…何か、感じませんでした…。』
薫ちゃんが2人の顔を見渡しながら聞いてきた。
間髪入れず茂が一言、
『薫ちゃんは…何か…感じたの…?』
薫ちゃんは頷き、こう語り始めた。
『荷物を置きにローカを歩いて宴会場に向かった時に三味線やお琴の音色が聞こえて来たんです。
この周辺は温泉街も近いから、ここの宴会場で芸者さんがお稽古でもしているのかな?と思った程度でした…。
でも…近づくにつれて、(…この世のモノじゃない…)何かを感じました。』
茂は確認するかのように、
『俺も感じたんだが、音は聞いてない…。嫌な空気は無かったと感じたけど…薫ちゃんは…どう感じた?』
『人に害を加えるような念は感じませんでした。』
この時、思った。
(この2人…凄い…。)
すると薫ちゃんは茂に、
『茂さん、私と同じ力を持っているんですね!ここまで感じ方が一緒の人、初めてです!嬉しいぃ!』
そう話ながら2人は外へと歩いて行っちまった…。
(そして…俺は…途方に暮れた…。)
車に乗り込んだ時に、(茂が皆には内緒な…。)と俺に耳打ちした。
さっきの事は考えず、こっからは楽しもうと気持ちを切り替えた。
湖の駐車場に車を止めて、とりあえず、腹ごしらえ!
近くの食堂に入り、昼飯にした。
食後の一服が済むとまず、最初に目に入ったのは遊覧船。写真をバチバチ取った。
その次は湖の後ろにそびえ立つ山に登る事となった。
勿論、ロープウェイで往復。
頂上から眺める湖はとても綺麗で神秘的な物を感じた。
下に降りてからは馬車に乗る者、白鳥(足漕ぎ船)に乗る者、様々な楽しみ方をしていた。
疲れた我々は、湖畔のテーブルで一服していた。(俺・茂・薫・花子・美紀姉)ついでに明日の予定を模索していた。
その時、茂が美紀姉に
『美紀さん、この近くに神社…有りませんかね?』
するとロープウェイ乗り場の脇道に氏神様があると教えてくれた。茂は薫ちゃんを連れて行って来ると言い、車の鍵を俺に預けた。
『遅くなるかもしんねぇから、先に帰っていてくれ!夕飯前には戻るから…。』
そう言って2人は神社の有る方へ歩いて行った。
…茂はまた、ニヤけてた。
(…コイツの頭の中はどうなってんのか、見てみたいわ…?)
薫ちゃんと一緒に行くのが嬉しいんだと思うんだが、さっき俺に耳打ちした時に
(…近くの神社で御札、あるか…行ってみんよ…。)
そう告げた時はカッコ良く、男気を感じた。が…これ(薫ちゃんと一緒に行く)が目的だったんじゃないかと考えてしまう…。
姉・『茂、なかなか上手くやってるみたいじゃん!
あの2人は合うかもね…。お互い霊感が強いから引き合ったんじゃないの?』
(ドキッとした…。)
俺・『お姉、薫ちゃんも霊感あんの…。』(知っているが…)
姉・『あの娘はハンパじゃないよ!』
そう言うとニコッとして、
『あの娘がいれば大丈夫なんだよ…。みんな見えるから除けられるんだよ…。』
皆が帰って来て車に乗り込み、若い香奈達はキャッキャッとして、その声を聞いているだけでこっちまで笑ってしまった。
旅館に戻って直ぐにお風呂に行った。
風呂に入るとビックリ!ガラス張りの向こうには夕暮れに照らされた湖と山々が広がるパノラマ。
銭湯の絵が生のまま、そこに在る…そんな風景。
思わず、フルチンで仁王立ちしてしまった。
その横でも同じ事をしている者がチラホラ…。
その中には…………、茂がいた…。
『お前、いつの間に…!』
『おぅ!今帰った。』
風呂から上がり茂が近づき、
(…ちょっと、こっち…)
そう言って俺をある場所に案内した。
そこへ行くと…。
ガチャン!
ガチャン!
プシュ…。
グビッ…グビッ…グビッ
プファ〜〜〜
『この為に生きてんなっ!
なっ…なっ…!
何だよ…その顔は…。』
神社で何をして、何を聞いて来たのかを話すと思いきや…風呂上がりの一杯だった。俺は呆れ顔だった。
『お前の言いたい事は判るから…』
そう言った後、口の中をビールで潤して話し始めた。
山道を少し歩いた所に鳥居が出てきた。階段を上がるとそこに神社があった。奥に本殿があり、まずは御挨拶。
二礼二拍一礼…。
お参りが終わった後に御守りと御札を買い、神主さんを訪ねた。
旅館の名前は一応、伏せた。2人が感じたモノを話すと悪いモノでは無さそうだから大丈夫だと思うと言われた。
しかし見える人には見えるので旅館に居る間だけでも入り口に御札を置いておきなさいと違う御札を頂いた。
また何かあったらいつでも来なさいと優しく言われた。
茂の話ではあまり深く思わない方が良いとの事。
その日は何事も無く、疲れもあったせいか、皆は早く就寝についた。
翌朝…。
早く目が覚めた俺は朝飯前にひとっ風呂、浴びて来るかとタオルを持って風呂場に向かった。
すると…、
風呂場の手前にソファーが並んでいる所に香奈が1人でいた。
『香奈…お前も風呂か?』
そう言うと香奈は青ざめた顔をして、
『洋兄ぃ、あたし…呪われたかも…。洋兄ぃ…どうしよう。』
目に涙を溜めて、助けを求めていました。
この後、あのような事になるとは創造もしていなかった…。
申し訳ございませんが、再び続きます。
携帯電話、そのうえ外で…電池も切れそうなので…
また、明日!
怖い話投稿:ホラーテラー 元・悪ガキさん
作者怖話