また遅くなってしまいましたね。
ごめんなさい。
今回で最後になります。
どうしよう、、、お母さんはもう目の前に来ている。
もう、ダメだ……、僕は恐怖と絶望から目を強くつむった。
「お母さん、○○(僕の名前)ならさっきトイレに行ったよ。」
「そう、、どうしていないのかと思ったら…。」
「仕方ないけど、わかってるけど、あの子も私の子なのに……。」
そう言ってお母さんは部屋を後にした。
部屋にはお母さんと入れ替わり立ち代わり、お兄ちゃんが入って来た、その手には、なにか黒い小さな巾着袋を持っていた。
「もう出てきていいよ、ただし静かにな。」
僕を助けてくれたのはお兄ちゃんだった。
気づくと僕は少し泣いていた、そんな僕の顔を見たお兄ちゃんは僕を強く抱きしめてくれた、そして手に持っていた小さな巾着袋を僕に渡した。
「この袋は何が入ってるの?」
そう聞くと
「中身は後で見てくれ、とにかく今はこの家から、この村から出ることだけを考えるんだ。」
お兄ちゃんはそう言うと、僕を裏口に案内してくれた。
僕はこの時二つの考えが頭をよぎったんだ。
一つは、もしかしてここで別れたらもう、みんなには会えないんじゃないか。
二つ目は、そろそろお母さんが戻って来る頃じゃないか?ということだった。
もし今ここでお母さんが来てしまったら、僕だけじゃなくお兄ちゃんまで、巻き添えをくわせてしまう。それだけはなんとしても避けたい。
でも、そんな僕の心配は無用なものだった、お兄ちゃんはまるで僕の気持ちを察したかのように
「お母さんならまだだいじょーぶだ、誰も入っちゃいないトイレの、ドアの鍵を閉めておいたからさ。」
お兄ちゃんはこんな時でも冷静で頭がよかったんだ。
お母さんは、まだしばらく僕がトイレに入っていると思い、こちらに来ることはまだないだろう。
「心配しなくていい、またすぐに会えるから。」
お兄ちゃんはそう言って優しい顔をして笑った。
僕は、お兄ちゃんに言われた通りに村を出た。
お兄ちゃんに渡された小さな巾着袋を開けると、お兄ちゃんからの手紙と、手書きの地図と、少しばかりのお金が入っていた。
手紙には、
___________________
○○へ
今まで黙っていて本当にごめんな。
俺は自分可愛さにおまえのことを見捨てようとしてた、、最低な兄貴だ。
でも、今まで○○と一緒に過ごした時間は本当に楽しかったよ。
ありがとうな。
見づらいかもしれないけど、地図が一緒に入ってただろ。
その地図に印してある家に行ってくれ、話はもうしてあるから心配しなくていい。
じゃあ元気でな。
兄より
____________________
短い文章だったが、お兄ちゃんの精一杯の気持ちが伝わって来て、また僕は泣いてしまった。
「お兄ちゃんは最低なんかじゃないよ……。」
僕は、入っていたお金で電車に乗って、地図に印してあった家に向かった。
駅から20分程歩き、なんとか到着すると、そこにはすでにその家のおじさんであろう人が、家の外に出て僕を待っていてくれた。
おじさんは、優しい笑顔で僕を迎え入れてくれた。
僕は安心と悲しさからか泣き崩れてしまった。
「辛かったろ、でももう、だいじょーぶだから。」
おじさんは優しく僕を抱きしめてくれた。
おじさんは、お兄ちゃんが剣道をやっていた時の剣道の先生なんだそうだ。
それから僕が一人前になる今まで、ずっとおじさんは優しく、まるで本当のお父さんのように僕を養ってくれたんだ。
僕はあの日以来、家族と、お兄ちゃんと会えることはなかった。
僕は今、一人前に会社員として働いているが、あの日以来、他人を心から信じることが出来なくなってしまった……。
お兄ちゃん、、どこかで元気で暮らしていてくれ。
最後まで読んでくれて、本当にありがとうございます。
前回の作品より少しはよくなってるていいんですが(・ω・`)
アドバイスとか辛口でもいいので、なにかありましたらよろしくお願いします!!
怖い話投稿:ホラーテラー 鏡の女さん
作者怖話