あんまり怖くないよ
僕の実家は電車の線路沿い、まあ厳密に言えば電車がその日の運行が終わると六台くらい並んで止まる車庫みたいな所の近くのごく普通の大したことのない三階建ての一軒家に住んでた時の話なんだ
ある冬の夜のこと、三階にある弟と一緒に使っている部屋でロフト?(上がベッド、下が勉強机のやつ)が二つあるんだが、僕が使っている方のベッドで寝転びながら漫画を読んでいる時に弟が使っているロフトの方から
?「ハァ・・・ハァ・・・」
とやたらと疲れた感じの息切れが聞こえてきたんだ。
最初は『弟がやましいことでもやってんだろ』位の感じだったんだ
でも、やたら声がくぐもってたし、弟が兄のいる部屋でやましいことをする変態じゃないことに直ぐ気付いたんだ。ふと疑問が浮かぶ
「じゃあ誰だ・・・?」
嫌な想像をするが、声はくぐもっているので窓の外だろうと思う。だが
?「ハァ・・・ハァ・・・」
次はくぐもった声じゃなくはっきり聞こえる
中 に 入 っ て る ! ?嫌な想像が現実になろうとして、僕は慌てた
僕「弟なんだろ!!」
弟の声じゃないってわかっているのに、僕はこれを自分に言い聞かせるように言ったんだと冷静に後で考えるとそう思う
?「ハァ・・・ハァ・・・ミ」
ミ?意味がわからない、この時点で相当ビビってて、取り敢えず一階におじいちゃんとおばあちゃんがいるから降りなければ、それしか考えていなかった。
素早くロフトから降りドアを開ければ・・・
次の瞬間僕は固まった、いつも寒くて仕方ないから絶対閉めてるドアが開いていた。
夏なら家の中の窓を殆ど開けているから風で開くこともあるだろう・・・だけど、今は冬だ、夏とは逆で家の窓を殆ど閉めてるはずだ。
僕「勘弁してくれ」
独り言はあまりしないほうだがポロッとでた言葉だった
?「ハァ・・・ハァ・・・ミ・・・ハァ・・・」
相当近いかなり近い、自然と歯がガチガチとなる。
『嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ』頭の中でこの言葉がぐるぐる回る、目を瞑る、周りの空気が重い
?「ハァ・・・ハァ・・・アツ・・・ミ・・・」
嫌だ・・・もう行こう・・・ここに居たくない
目を開けロフトから飛び降り階段を下る・・・
次の瞬間、自分の行動を激しく後悔した
降りようとしてる階段の下の方に端から見てもわかるほどのひどい火傷をおった女性がこちらを見上げていた
女「ハァ・・・暑い・・・ハァ・・・水・・・」
喉が焼けくぐもった声、意味の解らなかった単語の意味を瞬時に理解し、僕は絶叫をあげた。そこから恐怖で意識がとんだ
次に気付いたら自分の部屋のベッドに寝ていた。
外は明るく昼前になっており現状がさっぱりわからなかった。
弟曰く、
僕と同じで息切れは聞こえたいたが気にしておらず、突然上から大声が聞こえたから行ったら階段で僕がうずくまって震えていたらしい、
弟「何してるん?」
と聞いたらしいがブルブル震えるだけで、何も答えない僕を引っ張ってベッドにおしやったら寝たらしい
その後は何事もなく家で過ごし、大学の通学がきついと言うことで家をでて独り暮らしをしている。この事がトラウマになったのか、ちょっとした物音でびくつく小動物のような人間になってしまった
後日談だが
その体験を風呂屋によく一緒に行く祖父に風呂に入ってるときに話したら
祖父「それは多分戦争に巻き込まれて死んだ人だよ」
と言われた、祖父曰く家の近くの電車の車庫はもとは戦争の時は死体置き場だったらしい、そのためなのかしらないがその土地で商売をしてもすぐ店が潰れてしまうらしい
そして祖父は最後に
「戦争に巻き込まれて苦しみながら死んだ人達は外見が変わって怖いかもしれんがお前と同じ人なんだよ」
と仏様のようなことを言われたとき、あの女の人は絶対違うと僕は思った。
だって意識が無くなる直前目が合ったとき火傷でただれた顔の頬がつりあがって笑ってたんだから
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話