その隙間からA君のリュックの一部が見えたので引っ張り出した。僕は俯せになり、床下を覗いた。C「邪魔になるからリュックを置いて、A君はここから家の中に入ったんだよ」
B子「うん」
僕とB子が床下の通気口から入っていくと、家の中へ通じる入り口を発見した。窓がなく真っ暗なので、はぐれないように僕はB子と手を繋いだ。明かりを照らすと、台所…食器棚…ちゃんと食器まである。…ガタッ!!…音がした。
「いやぁああ!!!とB子が沈黙を破って絶叫した。
C「!!!!!!!」僕も心臓が止まるかと思うくらい凄く驚いた。反射的に音がした方へ明かりを向けると人がいたからだ。正確には実物大の精巧に出来た蝋人形。服も着ているし髪もある。
どこか生々しく、今にも生きて動きだしそうな雰囲気。
テーブルの上には茶碗や食器皿が並べられていた。
さらに本物と見間違えるように、これまた精巧に似せて造られた食べ物が乗っている。
C「B子ちゃん大丈夫。造り物だよ」
B子「ほんとだ。
でも気持ちわるいよ…。この髪も偽物かな。ねぇ…この髪、本物っぽいよ」
C「それより、早くA君見つけて帰ろう」僕達は他の部屋を探しに廊下を歩いた。
一般的な家と比べて天井高が低く、長身の大人なら頭を低く下げないと通れない。奥にはもう一部屋。部屋の中は中央に鏡面を内側に向けたスタンドミラーが、六角形に配置されていた。
その周囲を囲うよう床に蝋を溶かしたもので円が描かれており、奥には祭壇が施されていた。
部屋の中を1回りするとB子がA君を見つけた。
B子「いたよ」
六角形に配置されたスタンドミラーの中にA君の立っている後ろ姿が鏡の隙間から見える。
なるべく陣形を崩さないよう配慮して、近寄った。
一枚の鏡を正面にして立っているA君の背後から声をかける。
C「A君大丈夫?
何やってるの早く帰ろう」
しかしA君は微動だにせず、返事もしない。
正面に回り込むと、A君は目を見開いて、まるで蝋人形のように固まっていた。
B子「どうしたの?
Aは大丈夫?!」
明かりをA君の顔に向けると、瞬きはしないが瞳孔が動いた。
C「A君!A君!!」と呼びかけながらA君の肩を懸命に揺するが反応がない。
B子「C君、私と代わって!!」
交代するや否や、B子はバチン!!と強烈な平手打ちをA君の頬にいれた。
するとゼンマイ仕掛けの人形のように、カクカクカクと小刻みに体を震わせ、正気に戻った。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話