そこには心身共に疲れ果てたA君の両親が椅子に腰掛けて、うなだれていた。
なんとも気まずい空気が流れていたが、聞かずにはいられなかった。
C「あの…お帰りなさい。A君は?」
すると殺意と憎しみに満ちた鋭い目つきでA君の母親が僕を睨んだ。
僕は怖くて一瞬にして体が硬直した。
するとA君の父親が「おいやめろ!!
子供になんてことをするんだ!!!
この子は何も悪くないじゃないか!!
すまないがC君ね、叔父さんたち今帰ってきたばかりで疲れてるんだ。
Aのことなら大丈夫だよ。
心配してくれてありがとう。
時間も遅いからもう寝なさい」
これ以上は踏み込めなかった。
C「ごめんなさい!!もう寝ます。おやすみなさい」
そう言って頭を下げると、逃げるように布団の中に戻った。しかしそれ以後は眠りにつけず気がつけば朝の6時になっていた。
再び起き上がり、布団を畳むと、服を着替えた。
行き先を書いたメモ用紙をテーブルに残して、こっそりと家を出た。
僕は神社へ走った。神社の境内に着くと、竹箒で掃く音が聞こえる。
「早よう来なすったな」
1人の老人が掃除をしていた。
C「おはようございます!!」
すると老人はニコッと微笑みを返してくれた。
C「初めまして」
「昨日の子と一緒にお祓いを受けたのか」
C「はい!お祓い受けたことまでわかるって凄いですね!」
「お祓いの痕跡が残るからな」
C「痕跡って何ですか?」
「お祓いって術はな、憑いてきたモノを祓うだけではないんだよ。
また他のモノにしばらく憑かれないように結界を張る。
効果は術者の能力で差がある。
数日すれば消えてしまうよ。
坊やを囲っている結界ですぐわかった」
C「凄い…」
「悪いがA君のことで忙しくして、みんな出かけている。せっかく来たから、部屋にあがってお茶とおやつを食べていきなさい」
C「あの、なぜトンネルにあんな家や、見たこともない生物がいるんですか?
祟りのことも箱のことも昨日のこと全てがわけがわからなくって。
A君のお母さんが僕を睨んでいたんです。
もういてもたってもいられなくて、ここに来ました。
お願いですから、教えて下さい!!!」
「私達の先祖はね、代々この辺りを古神道で守ってきた。
信仰には対象となる神様がいてくださらないといけない。
私達が住んでいる世界の現世(うつしよ)と神様が住んでいる世界の常世(とこよ)がある。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話