夜中、俺とAは車を走らせていた
俺「ヤバい…トイレ行きたい」
A「コンビニ当分無いで。あっもうちょい行ったら道の駅あるわ」
俺「お願い…もうヤバい…」
車を止め、俺はトイレに駆け込んだ
…
…
用を足し俺がドアを開けると、そこに首を吊った男女が手を繋いでぶら下がっていた
目は飛び出し、舌は長く垂れ下がって唾が滴り落ちている
俺「………」
バンッ
俺は凄い勢いでドアを閉めた
俺(意味わからん意味わからん意味わからん!)
そして視線を感じた。お決まりのパターンだ
俺(見ちゃいけん見ちゃいけん見ちゃいけん見ちゃいけん)
わかっていた。しかし思いとは裏腹に、俺は視線を上げてしまった
当然のように男と女がドアの上から覗いていた
俺(!!!)
声が出ない
俺は頭を抱えて座り込んだ
どれくらい時間が過ぎただろう。外からAの声が聞こえてきた
A「お~いまだかぁ~?」
その声を聞き恐る恐る顔を上げると男女はいなくなっていた
俺(助かった…)
俺はドアを開けAの姿を確認すると、Aに話しかけた
俺「さっき男と女の…うわああぁぁぁ!」
Aの後ろに男女がぶら下がっていた
A「ん?なにぃ?」
少し間の抜けた声でAが振り返る
A「うわぁ~」
俺「うわああぁぁぁ!」
俺は完全にパニックである
するとAは男女を見てこう呟いた
A「死んでからも仲良しで羨ましいわぁ」
なに言ってんのこいつ?
そう思った瞬間、男女は消えていった。表情はどこか微笑んでいるようにも見えた
A「帰ろうや」
俺「お、おう…」
車に乗り俺はAにたずねてみた
俺「お前、あれ見て平気じゃったん?」
A「ん?まぁここでカップルが自殺したって知っとったし出るかなって思っとったけぇ」
俺「おまっ!知っとったんなら教えろや!」
A「でも見たか?手繋いどったろ?俺も彼女欲しいなぁ~」
俺はそんなAを少しだけ尊敬した
怖い話投稿:ホラーテラー Mさん
作者怖話