誰かが言っていた
『知り合うのは偶然ではなく、必然だ』
平凡な小学・中学生活を過ごし、非凡な人生をスタートさせたのは高一の4月だった。
そう今からおよそ15年程前になる。
俺(ユタカ)が通った高校は所謂工業高校で、九つある学科の中の『住』に関わる、建築科である。
他の科に比べひとクラスしかない。
つまり1年〜3年までクラス替えが無いという、まさにサバイバルゲーム。
己の立ち位置を踏み外すこと=死だ。
そんなサバイバルゲームをスタートさせた入学式。
ここで早くも向こう3年間の自分の立ち位置が確定してしまうとは、誰が予想できたのであろうか。
皆オドオドと几帳面に前へ見習いきれいに整列を済ますと、次に
森進一か? と突っ込みを入れたくなる程のビューティフォーボイスの校長が間違いなく5分以内で作ったであろう心の台本を綺麗に演説する。
次に学年主任の 後の“ミッシェル”こと宮澤氏(先生)がこれまた甲高く目立つVOICEで2・3年生のごく一部のファンを魅了した。
最後に各科のクラス担任であるティチャー達が意気揚々とスピーチを行っていく。
我が担任“ソリ園”こと花園氏が壇上に立ちマイクを握りかけたその時、俺の目の前で先程からピクリともせず、仁王立ちで列に並んでいる大男(生徒)がボツリと呟いた。
『まずいな。うちの担任』
ん?知り合いであるとかか?
それとも教育免許は盗んで来たのか? と皆が思っているあの剃り込み天然パーマネントの部位を見ていいましたか??
と、ともぞうじいさんバリの回想シーンを1人演出していると、二列横隊で構成されている我がクラスの中で俺の右隣に配置されている見るからにヤサ男のイケメンが口を開いた
『だね。 おもいっきりやらかしてるねあの人。 あの人が担任なんだね。 早くも卒業を意識してしまったよ僕』
『それに… ‥ うわっ
…気付いたね 君(大男)に‥。』
???
なにが??
確かにあの剃り込みの角度は憂鬱になります。
やらかしてる髪形だ。
しかし、 見てる?
何を??
ってかどなたが?
剃り込みは見ていない。
しかし、仁王立ちでアナタハなぜ頷きますのん?
ハテナマークぎっしりのこの些細な出来事と、この2人との出会いが、平凡から非凡へと変えていく運命の鐘だとは、この時俺は知る由もなかったのである。
続
かな?
怖い話投稿:ホラーテラー 七味八味さん
作者怖話