友人のAが一人暮らしをしていた頃の話。
実話なので怖くはないけど気持ち悪いかもです。
彼女は明るく美人。
女の評価はあてにならんと言われるけど、間違いなくすっぴんでも顔が変わらない本物の美人だ。
そんな彼女から、真夜中に連絡が来た。
「誰かがいる。部屋の外に気配がするのよ」
当時の彼氏は運転が出来ずに家が遠かった。
そこでチャリで5分の私に電話が来たんだけど。
流石に一応女だし、深夜1時にチャリで夜道を行くのはかなり嫌だった。
が、ワインを開けてやると言われて渋々と出向く事になった。
レーズンバターやチーズ鱈を買い込み、なんかこれ野郎の集まり方でガールズトーク仕様じゃないなと気づいていた。
高校の時のボロいイモジャを着ていたから、誰かに絶対にあいたくない。
けれど動きやすくないと危ないし、と言い訳しながらアパートの駐輪場に止めていると誰かがいた。
「あ、〇〇」
人違いですと言いたいが、同じ高校の同級生だった男だった。
野球部の部長で爽やかなハゲ、だった人。
大学生になり垢抜けたらしく、チャラい。
「ん?どっか行くの?」
「や、帰るとこ。留守っぽくて。つかおまえ、女捨ててね?」
そこはスルーだろ?なんて普通に会話して、飲み会やろうねーとバイバイした。
階段をあがり友人の部屋が見えたとこで、そういえば不審者がいるから呼ばれたんだっけと思い出した。
知り合いにあって緊張感は抜けていたから、普通にドアの前に立って。
あ、れ?
黒いマジックで落書きがされていた。
なんか、あんまりにも酷い中傷で絶句。
床に広がる水溜まりは何だろう?
扉になんかついてるー。
静かなアパートの通路。
寝静まっていて、物音がしない。
出会ったのは元野球部の部長だったチャラい男だけ。
深夜、半泣きのAと掃除したけど言えなかった。
ストーカーって、異常行動の後にあんなに爽やかに会話出来るのかな?
Aは実家に帰り、彼とはあれから会ってないのでわからないけど。
もしも推測したまんまなら、人間て怖いと思った。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話