私の祖父が戦後しばらくして経験した実話です。
祖父は宮大工でしたが、社寺の仕事以外もたまにする事があり、その日は知人に頼まれた家の増築をしていたそうです。
冬の夕方に一仕事終えて、施主から振る舞われた酒肴で一杯やっていい気分で、もう一人の職人と炬燵で寝そべって雑談しながら二人共うとうとしかけていた時…
バリバリバリバリ~!!
っという音!
何が起きたかも解らず、落雷か何かと思いながら二人飛び起きてみると…
二人の後ろにあった障子二枚の障子紙の部分だけが、一瞬にして拳でぶち抜いたように全部一斉に破られていたそうです。
爆発があった訳でもなく…他の襖や硝子戸とかにはなんの変化もなく…その障子二枚だけがまるで何十人かの人が一斉に拳で突いたかのように破れていたとか。
祖父がその時施主から聞いた話では、施主の家族が入居する前に住んでいた夫婦が心中した家だったのだそうです。
初めてこの話を聞いた時、その激しさに鳥肌が立ったのを覚えています。
新しい入居者が家を改築する事が気に入らなかったのだろうか…と祖父が呟いたのを思い出しました。
怖い話投稿:ホラーテラー 宮大工さん
作者怖話