目覚めると私は知らない場所にいた。
いや、正確には知らない場所かすらわからない。
薄暗いその部屋には見覚えがないように思えた。
少し時間が経つと、暗闇に目が慣れて、部屋の様子が見えてきた。
その部屋は六帖位の洋間で、出入りの為のドア以外に目立った物はなかった。
私はゆっくりと体を起こし、立ち上がろうとした。
しかし、立ち上がる事が出来ない。
足にはロープが巻かれており、自分の力では解けなかった。
私は立つのを諦め、この部屋から脱出する方法を考えた。
自分でも不思議だったが、パニックになる事もなく、非常に冷静でいられた。
まず私は、この部屋で目覚める前の記憶を思い出そうとした。
そうだ、私はこの部屋で目覚める前には友人と食事をしていた。
続く
怖い話投稿:ホラーテラー 紅天狗さん
作者怖話