私と母の実体験。
あれからしばらく
母は仕事帰りには
少し遠回りになるが
団地の別の入口から
帰ってくる様になった。
私はあの少女のことが
怖くて怖くて気になっていたが
妹を守る一心で毎晩気を張って
過ごすようにしていた。
それから1ヶ月程たち
1年を締めくくる時期になり
あの少女のことも少しだが
考えなくなっていた。
久しぶりの母の休日。
母が親しい友人数人を夕食に
招待し忘年会を我が家で開いた日のこと。
忘年会も中盤にさしかかった時。
仕事が長引きなかなか
来れなかった友人が
やっと今から来れると連絡が入った。
その友人は私と妹も大好きな
母の旧友の1人だった。(以下Aさん)
しばらくしてピンポーーンと
チャイムが鳴った。
私と妹が玄関まで走って行き
Aさん遅かったね〜!!!
っと勢いよくドアを開けるが
そこには誰もいない。
その瞬間私はあの時の恐怖が
よみがえり頭のてっぺんから
足の先まで鳥肌が総立った。
また勢いよくドアを閉め
妹と母のいる部屋に駆け込み
私は理由も言えずただ震えていた。
母も私の様子を見て
あの日のことを思い出した。
それから30分後に
またピンポーーンとチャイムが
鳴り響いた。
先程のことがあり
母も私も妹も母の友人達も
凍りついた。
ガチャッ…
玄関が開き私は鍵を閉めるのを
忘れていたことに気づき
あの少女が家に入ってきた気がした。
お邪魔しま〜す!!!
遅くなってごめんね〜〜!!!
Aさんの声が聞こえ
それを聞いた私は安心して
自然と涙が出ていた。
母もAさんの声を聞いて
安心し玄関まで出迎えに行った。
イヤーーーーーーッ!!!!
叫び声がしたと同時に
母が部屋に飛び混んできた。
皆ビックリして母を見る。
母はうずくまっている。
私は恐る恐るAさんを見る。
そこには焦りまくるAさんの姿があった。
何なの!?どうしたの!!
とAさんが廊下から部屋に
入って来た瞬間私は凍りついた。
Aさんの背後にピッタリと
あの時の少女が張りついていた。
そしてグギッと骨が折れる様な
嫌な音をたてて少女がAさんの背中から
頭だけを離して私の方を見た。
そしてまたグギッと音をたてて
今度は妹を指さした。
それからの記憶がありません。
目を覚ますと母とAさんと妹が
寝ている私の横で深刻そうに
何やら話をしていた。
どうやら他の友人達はみんな
帰ってしまっていたようで
食べかけの料理、飲みさしのお酒が
そのままになっていた。
私はあの少女の顔を思い出し
また恐怖にかられた。
Aさんが大丈夫、もぉ大丈夫だから。
と言ってなぐさめてくれたので
何とか落ち着きを取り戻した。
妹は泣いている。
母もまだ震えているようで
心配そうに私と妹の肩を抱いた。
Aさんは母から話を聞いた様で
近々お祓いに行こうと誘ってくれた。
―――――続く―――――
怖い話投稿:ホラーテラー まーうんさん
作者怖話