実話です。
2年前、伯父の会社の社長が「最近別荘に行ってないから、掃除がてら楽しんで来てくれ!」
との事で、伯父、俺、弟の3人で軽井沢へ向った。
到着した別荘は、閑静でとても広く、俺と弟は大いに喜んで探険と洒落込んだ。
入口を入ると、でかい熊の剥製に驚かされたが、その他数々の民芸品や狩猟の武器など、ずっと見ていても飽きない程に、沢山飾ってあった。
俺が猟銃に見入っていると、弟が「下に下りる階段があるよ!」
と言うので、3人とも一緒に降りた。
そこはアジアンテイストな寝室になっているが、ベッドが真ん中にあり、壁際にはサイドボード、観葉植物、そこまでは普通なのだが、ベッドを囲む様に天井にグルッと、木彫りの面が沢山並んで掛けられている。
まるで、ベッドに寝てる人を見つめるかの様に...
俺と弟は気味の悪さから、そこの部屋は使わないと決めた。
すると伯父が「この部屋いただきっ!」
...まじか?
よくこんな気味悪い部屋を気に入ったな~と弟と2人で呆れた。
すると伯父はサイドボードの中のヘネシーを指差した。
伯父は高い酒に目がない!
俺と弟は「なんだ、そー言うことか!」
それからは2階で映画見たり、ゲームして風呂に入り、飯を食ってビリヤードをした。
暫くして、伯父は自分の部屋?で
「酒飲んで寝る!」と
地下に下りて行った。
俺と弟は2階の遊べる部屋にベッドが2つあったので、そこを寝室にした。
もう午前1時になったので、旅の疲れもあり、寝ることにした。
すぐに眠りについたが
30分後、
「ぐああぁっぎゃ~っ!!!」
もの凄い声?がした!
俺と弟は跳び起きて、顔を見合わせ、ダッシュで伯父の寝室に向かった!
寝室に入ると、伯父は静かに寝ている。
???...なんだ?
寝言か?
すると弟が、「兄ちゃん、なんか変だよ!」
俺は何も言えなかった。
伯父の顔は真っ青で、まるで死人の様に見える。
なのに、真っすぐに寝て息をしている。...不自然だ!
俺は「おい!しっかりして!大丈夫?」
強く揺さぶるが、全く起きない。
これはヤバイと思い
「返事してくれっ!起きろーっ!」
と言った瞬間、天井をぐるりと囲った木彫りの面達がいっせいに、
「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタッ!!」
俺と弟はその場に倒れた。
床に倒れた俺は、
「ウェエーィイーオ!ハアイエハイー!」って感じの、おかしな音?人の声?どこかの国の原住民の様な音楽で、徐々に意識を取り戻した。
弟に大丈夫か?と、話しかけようとしたが、体が全く動かない!!
金縛りみたいだ!
目は開く。仰向けに倒れたので、天井が見える!
木彫りの面達が俺を見ていて、その音楽に合わせて面から黒い顔を赤、黄、白などの染料?で塗りたくった原住民の幽霊の上半身が、何体も何体も出てきた。
「うわー!何だこいつら!」
俺の上でぐるぐる回りながら、何かを言ってる。
「ウェエーアー!」みたいなことを言っているのだが、明らかに俺を罵っているのが判る!
そして凄い憎しみを感じる!
そのうち、その中の一体がグーンと俺の目の前に来たとたん、心臓が
「ギュウッ!」と掴まれた感じがリアルにした。
「いてぇっ!何でだ?俺は何もしてねえっ!」
いよいよ俺の心臓は握り潰されると思うくらいに、ギュウゥーウーって音をたてた。
「やばい!殺されるっ!
死にたくねえっ!」
最後のギュウッって瞬間.....
「嫌だっ!嫌だっ!
いやだあー!!!」
と、心からの叫びをあげた。
......その途端、俺の必死の叫びが届いたのか、黒い原住民達はスウッと消え、同時に自由が利くようになった。
しかし極度の疲労で、暫く動けなかった。
すると弟が「兄ちゃん!大丈夫?生きてるか?」
と、聞いてきた言葉に安心し、伯父に駆け寄った。
伯父は放心状態で天井を、いや、空をみていた。
「これは何かの呪いだな...」
「とりあえず、すぐここを出よう!」
俺達は結局、1日も泊まらずに真っすぐ帰った。
後日、伯父が社長に話したところ、あの木彫りの面は、旅先で妙に気に入ったので譲って貰ったもので、ある小さな部族の面だった。
小さな部族は人を喰らう大きな部族に、皆殺しにされたとの事。
大きな部族の殺し方は、弱いものから順番に食べていくという、凄まじく惨いやり方だったそうだ。
小さな部族の長老は、最後に喰われる際に、
それはそれは物凄く怨んで死んでいったそうだ。
それを聞いた俺は、あの黒い原住民達の姿を思い出し、つらすぎる最後を送ったあの上半身の幽霊に黙祷を捧げた。
以上。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話