皆さん、ご機嫌如何ですか?
紅天狗です。
怖い話って、何故こんなに人の興味を引き付けるんでしょうね?
科学的や医学、インターネットがこんなに普及している現代でも未だ、
幽霊の存在は明確になっていませんし。
ただ怪談話ってパターンがあるって気付いている方も多いと思うんですよ。
パターンって?
例えば、話に出てくる幽霊は髪の長い女だったり、白いワンピースを着てたり、子供の幽霊だったりと。
割と女の霊や子供の霊の出現率が高いような気がしませんか?
でも面白いのは、話に女の霊や子供の霊が登場するのはアジアの地域に多いんです。
世界各国の怪談を調べてみると、ヨーロッパやアメリカでは、男の幽霊の方が多く登場しているんです。
怪談話にもお国柄があるんですね。
ちなみに南米等では幽霊よりも妖精や妖怪の類の方がよく話に出てきます。
あと、パターンって言えば、友達の友達から聞いた話。
実際に体験した話ではなくて、間接的に誰かの体験した話を伝えるパターンが非常に多いんです。
これって話の出所がわからないから、嘘の体験や作り話が殆どのように思います。
私も、友達の友達が心霊スポットに行って、気が変になった。と、良く耳にします。
ヒマだった私は、その話の出所を掴もうと検証する事にしました。
今回検証したのは以下の話です。
全部書くと長くなりそうなので、短くまとめるとこうです。
私の友人Mから聞いた話。
Mの友人であるAが、知り合い数人と心霊スポットに行った。
この心霊スポットは地元の若者には割りと知られているスポットです。
その心霊スポットは「白い家」と呼ばれるもので、過去に一家惨殺の事件があったとされています。
Aさん達は、白い家の中を探索していた所、2階の子供部屋で女の子の幽霊を見た。
それに驚いたAさん達は慌てて白い家から逃げ出したが、帰りの道で事故に遭って何人かが亡くなったというもの。
なんか陳腐でありきたりな話ですよね。
取り合えず私は、Mに頼み込んでAさんを紹介してもらい話を聞く事にしました。
Aさんは待ち合わせの時間ちょうどに某ファミレスに現れました。
軽く挨拶を交わし、話の真相を伺いました。
するとAさんは、話は知っているが、自分達の体験ではなく知り合いのBさんから聞いた話だと仰います。
つまり、この話は私の友人Mの友人A→友人Aの知り合いBの話だと言う事になりました。
そこで私はAさんに無理を言って知り合いのBさんを紹介して頂き、Bさんに話を伺う事にしました。
Bさんは私よりも年上の方でした。
Aさんの時と同じ様に話を伺うと、Bさんの体験談ではなく、友人Kさんから聞いた話だと仰います。
結局、この話はこういった具合に次々に語り継がれているんだなと気付きます。
でもここまで来て諦めきれるわけもないので、友人Kさんをご紹介して頂きました。
その後、Kさんに話を伺っても、「実はFから聞いた話なんだよ。」と言う事になります。
そして私は半年近くを費やして、
友人M→A→B→K→F→K→I→S→N→K→S→A→O→T→Hと言う具合に総勢32名に話を伺いました。
本当に暇人ですよね。
時には隣の県にも行きましたし、30人以上も話を伺うと変人扱いされた事もあり、説明に苦労もしました。
それでも、いたちごっこの様な結果しか出ず、根負けしていた頃にEさんという方に出会いました。
Eさんも他の方同様に始めは私を疑いの目で見られている様でしたが、何とか理解して頂き、話を伺える事になりました。
近くの喫茶店で待ち合わせをすると、Eさんがいらっしゃいました。
Eさんは中小企業の社長さんで年齢は50歳位に見えました。
相当昔から語られている話なんだなと改めて思いました。
自己紹介と来て頂いた御礼をし、早速本題に入ります。
話の内容と検証の説明をすると、あきらかにEさんの顔色が冴えないのがわかりました。
Eさんは口数も減り、終いには「何故今更、こんな事を調べているんだ!」と声を荒げました。
なんとかEさんをなだめ、冷静に話を進めます。
するとEさんはようやく話をしてくれました。
「実はこの話は私が実際に体験した話だよ。そして当時の仲間3人が事故で亡くなった。
運転していたのは私だったから、今でも本当に申し訳なく思っている。」
私は、思いもよらない展開に言葉を失いました。
Eさんは続けます。
「今でもこの時期になると、カズとタッちゃんとマサヤ君の墓参りに行ってるんだ。」
どうやら何十年か前の今の時期に事故は起こったようでした。
「今日、君と会ったのも何かの縁だ。これから3人の墓参りに行くから、君もついて来なさい。
そして君の言う検証とやらを終わりにしなさい。」
私は断る理由もなく、Eさんの墓参りに同行する事になりました。
私は今日で検証を終わりに出来る嬉しさと、ここまで調べる事が出来た自分に達成感すら味わっていました。
Eさんの運転で墓地まで向かいます。
途中、スーパーで小菊や
線香なんかを買いました。
墓地に向かう車の中で、Eさんは亡くなった3人との思い出やヤンチャなエピソードを聞かせてくれました。
そうこうする内に、墓地に着きました。
その墓地は県内で1番規模の大きい所で、他にもお墓参りに来ている人がいました。
「ここにはカズとマサヤ君が眠っているんだ。」
何度も墓参りを続けているEさんは迷う事無く、2人のお墓まで行き、私もEさんの隣で手を合わせました。
「よしっ、じゃあ次はタッちゃんの所に向かうよ。」
Eさんに促されて、車まで戻り、もう1人の方のお墓まで向かいます。
もう1人の方のお墓はこの巨大な墓地から車で30
分位掛かる様でした。
Eさんの話に相槌を打ちながら車窓から景色を眺めていると、私の実家の近くを通っている事に気付きました。
「へぇ~こっちの方のお墓なんだぁ」
と、思っていると見覚えのある墓地に到着しました。
この墓地は私の先祖も眠っているお墓でした。
こんな偶然もあるんだなと思いながら、墓と墓の狭い通路を進むEさんについて行きます。
Eさんが立ち止まったお墓はなんと、私の家のお墓でした。
わけがわからず、Eさんと同じ様に手を合わせました。
Eさんに喫茶店まで送って頂き、挨拶をして別れます。
家に帰って何気なく父親にお墓の話を聞いてみると、
父親には、私が生まれる前に亡くなったお兄さんがいて、名前はタツヤだったと教えてもらいました。
父親にはEさんの事、そして白い家の事は秘密にしておくことにしました。
だから今回の不思議な縁の話は、父親もEさんも知りません。
私だけが知っていればいいなと思って心にしまいます。
まぁホラテラファンの皆さんには言っちゃったけどね。
~完~
怖い話投稿:ホラーテラー 紅天狗さん
作者怖話