「呪い」
物、言霊を媒体として強制的に対象相手を同調させ肉体、精神を崩壊させる。
憎悪、悲哀が念となる。
念が強く時間をかけるほど効力を発揮する。
紙に包まれた臍の緒。
小瓶には人骨。
嫌がらせのレベルではない…。
妻には乳幼児が二人憑き、何処にいても真ん丸の黒目が俺を見つめる…。
気分が悪い。
まだ妻には言えない。
ここからは俺だけが動く…。
ネットショッピング。
初めて使ってみた。
買ったのはコンドーム。
あいつへの俺なりの嫌がらせだ(笑)
あいつの宅配会社を選択し、時間指定で注文した…。
2日後、20時すぎ。
「ピンポーン…」
来た…。
俺「はい…」
宅配便だ。
ドアをあける…。
宅「旦那さんにお届け物ですよ」
前回同様、深く帽子を被っている男。
ただ口元は笑っていない…。
俺はニヤけてしまう。
間違いないあいつだ…。
俺「ありがとう」
俺は捺印をし商品を受け取る。
商品を受け取り気づいた…。
箱には商品名の記載がない(笑)
そんな事はどうでもよかった。
本当の理由が他にあったから…。
名は藤田。
皆が見る頃には担当が外れているからあえて載せる。
俺「妻が色々と貰ったようで…」
藤「あぁ…気にしないでください」
俺「ありがとうございます」
俺「お返しといっては何ですが妻からです…」
藤「えっ…」
物を渡した…。
俺「二度と妻、うちには近づくな…」
師の鬼の形相を真似てみた(笑)
藤「…」
ガチャンと玄関がしまる…。
「呪い返し」
対象物の念を鎮め清める。
本来あるべき呪者の本へと諭す。
通常は鎮め、清める事に時間がかかる。
俺のように視る事が出来れば別だ。
俺が渡したのは二つ。
頂いた小瓶。
あと一つは呪物だ。
臍の緒は師がもっている。
あれは師でしか鎮め、清める事ができない…。
藤田。
かわいそうな奴だ。
邪の道にいかなければ
力は俺以上だろう。
愛する人達に先立たれ邪に染まった。
妻の優しさが亡人とダブらせたのだろう…。
家には見えない子もいるから尚更だ(笑)
だが邪は邪だ。
道を誤れば邪におちる。
師はわかっていた。
呪物をつくり邪に落ちなければ藤田はきっと…。
人生とはバランスだ。
苦に陥ろうともそれだけの度量があればなんてことはない。
誤った本人がわるい。
その後宅配会社に電話をし
藤田を担当から外してもらった。
宅配便の藤田。
気をつけろ。
いかなる人も信用するな。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話