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短編2
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2択

人生で生きるか死ぬかの2択を迫られる究極の選択っていうのは人の一生に一度か二度はあるのかもしれない。

 

『私と寄り戻すか私と一緒に死ぬか選んで』

 

1ヶ月前に別れた彼女が俺の部屋に包丁を持ち座っていた。 寝起きで意識がはっきりしていたい俺。

 

夢じゃなくて現実だ。彼女が何故俺の部屋にいるんだ… どこから入った? 合い鍵? いつの間に!

頭が全然回らずに彼女と目だけが合っている。

 

『どうして私を捨てたの?』

 

彼女が包丁を俺の腹に押し当てて質問してくる。

 

本気か? 殺されるという実感はなく本気でやれるの?とばかり思う楽天的な俺。  

ずぶ

 

俺の腹に本気で刺してきた。

こいつ本気だ!

 

下手なことを言うと本気で刺し殺される。

 

体は痺れて動かない。

『弛緩剤飲ませたの。今日あなた合コンだったでしょ。私の友達に頼んでコンビニで買った水の中に入れたんだよ。体動かないでしょ。』

 

彼女は付き合って頃と比べて冷たい憎しみに満ちた目をしている。彼女は頭がおかしい。

 

『寄りを戻すよ』

彼女に言う。

『もう浮気しない?』

『しないよ。』

彼女が俺の目をジッと見つめる…

 

『助かりたいだけだろ!!』

彼女がいきなり怒鳴る。

弛緩剤が効いて動けない俺の目だけが動揺している。

『あなたは嘘をつくと私の目を見ない。』

腹に包丁が刺さる。

俺死んだ 痛い 痛い

凄まじい痛みが腹にきた。

目を覚ますと彼女が横で寝ている。

夢?

包丁腹に刺さったはず?

あれ?

わけのわからないまま隣に寝ている彼女を起こす。

合い鍵を使って入った。

寄りを戻したかった。 昨日は俺が寝てたから起きるのを待ってたらそのまま寝たらしい。

それから俺は彼女と寄りを戻した。

彼女とは結婚を控えている。

仕事も決まった。俺は有名私立病院の院長の娘の彼女と同じ医学部で知り合い俺は彼女の親の病院で働く予定だ。

結局あれが夢なのか彼女の別れたくない執念が見せた幻なのか今だわからない。

 

3年経った今でも腹には刺された後のような小さな傷がある。

怖い話投稿:ホラーテラー 早瀬裕也さん  

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