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中編4
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阿曽紀(奇)行

兄からきいた話

兄は大学が熊本で、当時阿曽山の近くに住んでいた。

会うのは年1回くらい、年末か盆に帰省したときだけ。

たまにしか会わないからその時はいろんな話で盛り上がる。

あと、どうやら兄の住んでたアパートの近くは心霊スポットが多いらしい。

いくつか聞いた話を書いてみる。

もう6~7年前の話だし、あんまり怖くもないんだけど。

阿曽大橋・・・って名前だったと思う。

山の中に緑色の橋がかかってて、外見は別に何の変哲も無い橋なのだそうだ。

危なげな吊り橋ってわけでもない。普通に一斜線の車もすれ違える大きくも小さくも無い橋。

だけどこの橋は自殺の名所だという。

数年に一度橋の下の川を『ドブさらい』みたいな事するそうで、2年前のドブさらいで出てきた

ご遺体は4体だったという。

あと兄貴の研究室の教授が教えてくれた話だと橋は昔赤い色をしていたが、

あまりに飛び降りが多いために「赤は呼びやすいのではないか」との事で

緑に塗り替えられたそうだ。

橋の高さは忘れたが、まあ、40mくらいかな~飛び降りて助かる高さではないよーと兄。

「一度橋の下に降りてみたくなって、道を探してみた事があるんだ。それで、降りられそうな小道を発見して、さっそく下ってみたわけよ。」

「それで?」

「ああ、途中でやめて引き返した。だって耳が落ちてたんだもん。」

「はい??みみぃ?・・・なんじゃそら。」

耳だけ落ちてるなんて、そんな不自然な話があろうか。腐りもせず耳だけですよ?

状況が掴めないって。

「道の真ん中に置いてあるみたいに落ちてたから・・・なんかその先行っちゃいけない

気いするじゃん?地元の人もあまり近づかないらしいわ下の川には。」

殺人事件・・・てな雰囲気でもないそうだ。きれいな耳でした、とのこと。

あ、、そう。と私。

次に廃ホテルの話

近くに立派な廃ホテルがあったら、そら行くでしょう!

という事で大学の友人と行ったらしいが・・・残念ながら入れなかったという。

どうやってもドアがちょこっとしか開かない。割れた窓から入って怪我するのも

ばからしいって事で、

「俺ら拒否されてんじゃん?」

などと言いながら引き返したそうだ。

先週行ったという人の話じゃ立ち入り禁止の札が沢山あるが、別にドアは簡単に

こじ開けられるという話だったが・・・今日は札も一つも置いてなかったし、誰かが

管理してんのかな~と思ったというが、その数日後に奇妙な話を先輩から聞いた。

先輩はこの廃ホテルの存在や場所をなんとなく知ってはいたが、行ったことも

気にした事も無かったようだ。

夜八時頃に彼女と山道をドライブしていた所、右に曲がる道とレストランの看板が

見えた。夕食はまだだし二人ともお腹がすいていた。

こんな山の中にレストラン!粋だねえ~穴場的な感じ!?

と二人して盛り上がって躊躇無く右折。

車を走らせるがレストランは一向に見えてこない。しばらく走って、先輩は気づいた。

暗いので前方ばかり注意を向けていた。なだらかで少しうねった坂道。見上げるとかなり遠くだが上の方に見える建物。森の木々から屋根を覗かせているのは・・・ホテル?

真っ暗だった。明かりも一つもついていない。先輩はすぐさまUターンした。

興味も無いから場所を気にした事が無かった・・・。

あれが、例のホテルなんだ。

もしかしたら、もう少し行けばレストランがあるかも。でも・・・、

そんな雰囲気じゃなかったし、この先他に曲がる道があるとも思えなかった。

彼女も最初は『えーどしたの?レストランは??』って感じだったんだけど、

途中から何か気づいたのかだまってた。

それでだいぶ飛ばして道まで戻ったよ。元の道が見えた時はすげぇホッとしたわ(笑)

「たぶん、昔はあったんじゃないかな~レストラン。田舎じゃよくあるよね。

もうつぶれたけど看板そのままみたいな・・・まじ迷惑~。」

道が見えて安心したから冗談とか言ってみた。

でもさ、いざ道まで戻ったら無かったんだよね、、、看板。

二人とも絶対見たはずなんだ。もうさ、二人して帰り無言よ(笑)

兄はその話を聞いて、

そのまま行ったらもしかしてホテルの中入れたんじゃないのかな~

気まぐれなのかな?なんて思ったそうだ。

ちなみにそのホテルはその後、映画『親指さがし』のロケに使われたとのこと。

(映画の中での設定じゃ群馬県だったと思います)

撮影が終わった後に取り壊されて今は無いって話です。

※もし情報に誤りがあったらごめんなさい。

怖い話投稿:ホラーテラー 葵さん  

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