1982年8月29日
13時40分頃 熊本県大矢野町沖
ヨットからロープを垂らして子供3人を引っ張っていたところ、女子13才が突然悲鳴をあげ、
海中に引き込まれ、サメに腹部、内臓を食いちぎられ、即死した。
歯の痕跡からシュモクザメと判断された。(当日は中潮)
「少女、サメに食い殺される――父の命綱で遊泳中」
29日午後1時40分頃、熊本県天草郡大矢野町串の西約1600メートル沖に浮かぶ
羽干(はぼし)島(周囲約300メートル)近くの海で、救命胴衣と命綱をつけ、
ヨットの船尾そばで遊泳していた熊本市の会社員Aさんの長女B子さん(13)が
「お父さん」と声を上げた直後、鮮血とともに海中に沈んだ。
Aさんがすぐに救い上げたが、B子さんは腹部を食いちぎられ、即死状態だった。
大矢野署の調べによると、B子さんは胸の下半分から下腹部にかけて
鋭利な刃物で切り取られたようになっており、内蔵はほとんどなかった。
歯形のような跡も残っており、現場の島原湾はサメが多いことから、
同署ではB子さんはサメに襲われたものとみている。
Aさんの話によると、Aさん父子4人と会社の同僚の計5人で、同僚のヨットで
風まかせに2時間ほど楽しんでいたが、午後1時過ぎ、B子さんと弟2人が
「泳ぎたい」と言い出した。このためAさんは救命胴衣を3人の子どもに
付けさせ、船尾に結んだロープを3人の子どもたちにつなぎ、
ヨットをゆっくりと走らせながら、泳がせていた。
B子さんは扇形に泳いでいた3人の真ん中にいたうえ、
弟たちより1メートルほど長い約7メートルのロープを付けていた。
30分ぐらい泳いでいるうち、B子さんが「お父さん(ロープを)引っ張って…」と
声を上げたので、Aさんがロープを引き上げようとした一瞬のうちにB子さんが
海中に沈んでしまった。
島原湾はタイの好漁場だが、豊かなエサを追って東シナ海から
サメも回遊してくるため、サメ研究家は「サメ銀座」と呼んでいる。
タイ釣りシーズン前の6、7月になると毎年、地元漁協がサメ狩りまで
行い、体長4、5メートル、体重300キロ前後のサメ4、5匹を取っている。
三角海上保安部でも「現場はサメが多く、海水浴はムリな所」と話している。
その時、付近の海には漁船は一隻も出漁していなかったが、
たまたま近くでヨットを楽しんでいた同県に住むCさんは
「3人が楽しそうに泳いでいるな、と思っていたら悲鳴が聞こえて大騒ぎになった。
一瞬の出来事だった。一帯には体長2、3メートルのサメが時々姿を現していた」
と話していた。
サメ研究家の三重県伊勢神宮神職矢野憲一さんによると、天草の沖合は
1年中数種類のサメが回遊しており、危険な場所だという。
国内で遊泳中にサメにかまれて死んだケースはあまりなく、
(昭和)42年8月、香川県坂出市でイソ釣りをしていた19才の会社員が
沖へ泳ぎだした所を襲われたのが最も新しい。また、矢野さんの調べでは、
さる34年8月、和歌山県磯の浦海水浴場の沖合で海水浴中の中学生が襲われ、
死亡している
海で泳ぐときは、くれぐれも注意しましょう。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話