…Yは馬鹿だった。 小学生の頃から粋がりたくて、煙草や父親の書斎から盗み出したウイスキーやブランデーを、悪ガキ連中と共に造った「隠れ家」で嗜んでいた。
高校を卒業する間際には、大麻や合法ドラッグにも手を染めていた。
社会に出てから3年後、就職した会社の社員旅行で、東南アジアの某国を訪れた。
滞在中、ふと思いつき、タトゥー・スタジオに入り、片言の日本語を話すスタッフと二、三の会話を交わしたが相手の言葉がよく理解できず、適当な相槌を打った後、両腕にどこの国の文字かは解らないタトゥーを入れてもらった。
帰国してから数日後、大学に進学して言語学を学んでいる同窓生が訪ねてきた。 真夏の事だったので、ビールを飲み交わしながら昔話に花を咲かせていた。
突然会話が途切れ、 同窓生は両腕のタトゥーを凝縮してこう 言った。
「…お前、これから外を歩く時には、絶体に長袖を着て行けよ。たとえ真夏でもな」
「…どういう意味だよ?」
「そのタトゥーはな…」
「…イスラム教徒を冒涜する言葉だ…」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話