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中編3
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時給1万円

「アルバイト募集

 勤務内容:花屋の毎朝の開店準備

 勤務時間 8:00~8:30

 日給 5000円

 面接あり」

私は目をうたがった。30分で5000円って…時給1万円ってことじゃない?

このお花屋さんなら大学からも近いし、時間的にも大学の1限目にも遅刻しない。ちょっと怪しいけど、電話してみよう…

「すぐに面接に来てもらえますか?○○花屋です。お待ちしてます。」

よかった、まだ募集してたみたい。すぐに面接に来てほしい、だって。

面接に行くと、スーツを着たオジサンが二人いた。え?面接するのってこの人たちなの?

お花屋さんって感じじゃないけど…

「よろしくおねがいします」

自己紹介と、10個ぐらいの簡単な質問に答えると、オジサン二人が相談を始めたの。

「山田君、この人はピッタリじゃないのかい?」

「はい、調査内容とほぼ一致します。」

みたいな、なんだか上司と部下みたいな会話をして。

「あなたを採用したいと思います。さっそくですが明日から働いてもらえますか」

ウソ!?やったー採用されちゃった。でもホントにこんな楽な仕事で5000円ももらえるんだろうか。

でも実際働いてみて、その不安は消え去った。

本当にただのお花屋さんで、店先の花の水やりとか看板出したりとか、簡単な手入れとか。

それだけで、8:30になったら手渡しで5000円札をくれるの。

ホント、ラッキーだな~私。

あ、でも一つだけ気になることがあるのよね。バイト先の花屋の店長さん、私の仕事内容を全然チェックしないの。ただ、私が道行く人にちゃんと挨拶できてるかだけ、ずーと見てるんだよね。

「店の前を通る通勤、通学の人たちには全員に必ず・笑顔で・元気よく挨拶をしてください。これが最も重要な仕事です」

だって。まぁ、お店の好感度アップってことなのかしら?

――――――――――――――――――――

僕はもう、ほとほと疲れ果てていた。会社は僕の業績で経営できているといっても謙遜ないだろう。

給料だって申し分ない。働いた分だけもらっていると思う。でも、僕はこの安らぎのない都会に疲れたんだ。

社長に辞表を出そうとしても、思いとどまってくれ、の一点張り。会社はあの手この手を使って僕を辞めさせまいとする。勝手に会社を休もうかとも考えたけど、正式な手順を踏まずに会社を休むなんて、僕の責任感が許さない。

どんなに仕事をこなそうが、達成感だとか満足感だとか、そんな心を満たしてくれるものはなかった。

そんなある日のことだった。通勤途中の花屋に、元気に挨拶する女性を見つけた。学生だろうか。朝早くから大変だな。

その女性は僕にも元気に挨拶してくれた。

「おはようございます!!」

「…おはようございます」

清楚で美しい、明るい女性に見えた。僕は気の無い挨拶しかできなかったけど、心はなぜか温かくなった。

それから僕は会社に通うのが楽しくなったんだ。毎朝あいさつしてくれる花屋の店子に元気をもらっていたんだ。

がんばって働くのも、悪くない。

今度あの女性に話しかけてみよう。あの人も、仕事がんばってるもんな。

――――――――――――――――――――

あーあ。バイト、クビになっちゃった。でも納得いかないのよねー、クビの理由。

通勤途中のオジサンが話しかけてきて、ちょっとこのアルバイトの話をしたのがいけなかったみたい。

いーじゃん、こんなラクチンなバイト、自慢したくなるじゃん?

また割のいいバイトないかなって新聞めくってたら、首つり自殺の記事が目に留まった。うげ、近所じゃん…

はぁ。あんなラクチンなバイト、もうないのかな。

――――――――――――――――――――

「すいません、社長。まさかバイトのことをしゃべってしまうとは」

「過ぎたことは仕方ない。会社が仕組んだことだと気付いたんだろう。優秀な社員を辞めさせないために、好みの女性を通勤途中に置くのはいい案だったが…」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
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ショートショートだったら逸材。
投稿場所間違ってますよ。

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通勤途中じゃなく同じ職場にするべきだな。

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