「HIV」を先に見た方が理解できるかもしれません。読んでいなくても問題ないです。
私(アキコ)は高校に入っても内向的な性格からか友達が出来ずに周りからは「暗い子」と言われ、いつも一人でいた。けどそんな私にも初めての友達が出来た。高校2年のクラス替えで一緒になったA子だ。A子も私と同じでとっても地味で空気みたいな存在だった。似たような境遇からか私達はすぐに大の仲良しになった。そんなある日、学校帰りの公園で話しているとA子が真面目な顔で切り出した。
「私、アキコにずっと秘密にしてたことがあるんだ…。今まで誰にも言ったことないんだけど…。」
「なになに?聞かせて?」
「絶対に秘密にしてくれる…?」
「もちろん!だって私たち友達じゃない!!」
「…うん!そうだね!実は私…」
A子から聞いた話はかなり衝撃的な内容だった。A子はなんとエイズだったのだ。最初こそは驚いたものの、私に話してくれたことが嬉しかった。
「話してくれてありがとうA子!お返しに私も、私の秘密教えてあげるね!私ね…………」
秘密を共有したことにより仲もさらに良くなって毎日が楽しい日々。しかし、そんな日々は長くは続かなかった。放課後、クラスの中心的な人物でもあるナミに呼び出されたのだ。ナミは容姿こそ綺麗なものの性格は残虐で、過去に彼女によるヒドイ虐めで学校を辞めた子もいた。そして彼女はかなりの潔癖症だった。
「あんた、A子と1番仲良いよね?いい?今から聞くことに、嘘つくんじゃないよ。」
私は息をのんで頷いた。
「A子は援公してんだろ?」
「!!!」
私の胸は音が聞かれてしまうのではないかというぐらいドキドキしていた。何で!?どうしてナミがA子のことを!?私がすぐに答えた。
「そ、そんなことA子はしてないよ!!」
パン!一瞬何されたか分からなかったが、すぐに頬がジンジンしてくる。平手で打たれたのだ。
「嘘つくなって言ったろ?私は見たんだよ、A子が汚いおっさんとホテル入ったのを。ただちょっと遠目だったからね。いちおアンタに聞きに来たんだけど、その焦りようじゃもう分かったよ。」
「ち、ちが…」
ドスッ。今度は腹を蹴られた。疼くまる私にナミは冷たい声で言う。
「A子は援公してんだろ…?」
私は怖くてガタガタ震えていた。今は何としてもこの場から逃げだしたかった。何を言ってでも。
「…う…………うん………………」
次の日、私は学校を休んだ。
その日の夜A子からメールが来た。
「ヒドイ!絶対に秘密にしてって言ったのに!嘘つき!嘘つき!」「え?え?何のこと…?」「しらばっくれないでよ!私がエイズだって…今日みんながいる前で言われて…。
」「わ、私だれにも言ってないよ!」「嘘つかないで!私はアキコにしか話してないんだから!アキコなんて…死んじゃえばいいのよ!!!」このメールに思わずカッとなってしまった私は言ってはいけないことを言ってしまった。
「な、なによ!エイズのくせに!」送信完了の文字が出た時にハッとなったが、もうA子からメールが来ることはなかった。
そしてその数週間後、A子と母親が自殺した…。
その事を担任がクラスに言った時、誰かがふざけたことを言い皆笑っていた。
私も次のイジメの標的にならないよう笑った。
泣きながら笑っていた。
その後A子の兄が復讐にクラスメイトの何人かをレイプしたという話を聞き、C子もその内の一人だったらしいが何ともない顔をして学校へ来ている。
そして私は…毎日恨めしそうに現れるA子に怯えていた…。
どうして助けてくれなかったの?私たち友達でしょ?寂しいよ…一緒に来てよ…。
私は両親にA子が私を殺しに出てくると訴えたのだが、病院に連れていかされそうになったので一歩も部屋から出なくなった。
お願いアキコ…こっち来てぇ…。
私を殺したのはお前だ…。
嘘つき。
嘘つき。
嘘つき。
殺してやる…。
私はもう、限界だった…。
我慢できずにとうとう部屋を飛び出し居間にいた母に叫んだ。
「A子が!A子がそこに居るの!私殺される!お願い!早くお寺に連れてって…!」
「ええ…居るわね…。
」
「死んだA子がそこにいるのよ!?私!殺されちゃうのよ!?」
「……A子は生きてるじゃない…。
」
「何言ってんのよお母さん!A子は自殺したのよ!私を祟りにきてるの!」
母は涙を潤ませた瞳で私をじっと見てこういった。
「お願い…元に戻って…。
」
「……!?」
その時、私の頭の中を、走馬燈のように記憶が通りすぎた。
「話してくれてありがとうA子!お返しに私も、私の秘密教えてあげるね!私ね………援交してるの…!」
A子の顔は凄くビックリしていた…。
でもその後、言ってくれてありがとうと言ってくれた。
放課後の校舎裏…
「A子は援公してんだろ…?」
「…………………う…………うん………。
」
「やっぱそうか」
「う……うん、ううん、してない、A子はしてないよ…」
「あぁ!?」
「援交してるのはA子じゃなくて……」
心配して見に来た私はそれを木の陰から確かに聞いていたのだ…。
記憶が一つに結び付いた気がした。
もうA子は見えない…。
目の前で泣いている母。
そしてそれを見下ろす、私。
私…?私は…私は…そう…私は……
全てを悟った時、私は静かに泣き崩れた。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話