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中編5
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悪魔とおねえちゃん

「俺様は天国から来た悪魔だ!あんたに幸せを運びにやってきた!」

突如光の中から現れたのは悪魔

悪魔がやってきたのは一人の若い女性のもとだった

「はぁ? 天国なのに悪魔?意味わかんないんですけど」

「いや、悪魔って名前なんだよ。実際は天使だから」

「なにそれ新手のナンパ?てかそのコスプレちょーウケる!」

「好きでこんな服着てんじゃないよー!こういう白衣的なもの着てないと天使っぽくないでしょーが」

「ふーん。じゃぁその頭の上のドーナツは?」

「これはリングだよー!なんで頭に食べ物乗せなきゃいけないの?非常食?逆に新しいでしょ」

「まぁ良いや。それよりあんた天使なんでしょ?」

「おお!久々に来たよこの流れ。あのおばあさん以来だよ、こんなにすんなり信じてくれたの」

「誰がばあさんだって?」

「いやいやいや、誰もあんたのこと言ってねーし。そんな口調のおばあさんがいたら、ある意味俺よりも神秘的だよ」

「まあね~」

「褒めてねぇーつうの!」

「で、私の願いでも叶えてくれるの?」

「まぁね。直接的に叶えるわけじゃなくて、幸せになるために少しサポートするくらいかな」

「へぇ~。じゃぁお金ちょうだい」

「あのー話聞いてた?どんだけストレートな願いだよ」

「じゃぁ金持ちにして」

「意味一緒じゃなーい!逆にイヤラしいよその願い!」

「それじゃぁ~玉の輿にして」

「それは自分で探してよー!もっと可愛らしいお願いあるでしょ?好きな人と付き合うために手助けして!とか、告白するための勇気をちょーだいとか」

「そんな願い無いし。それじゃぁ一つだけ叶えて欲しいことがあるの」

「おお何なに?教えて教えて」

「私を殺して」

「………え?」

「だから、私を殺して」

「ど、どうして…?」

「もう生きてるのが嫌になったの。平和な世の中って言われてるけど、実際心の中まで平和かって言ったらそんなことないんだよ。」

「なにがあったの」

「…はぁ。もう直ぐ、私病気で死ぬの。どうせもう死ぬって分かってるなら、今死んだって後悔ないわ」

「望みを失ってどうすんだよ!この世には奇跡があるんだから!なんで死にたいなんて言うんだよ!」

「もう…いいの」

「…まだ何か、理由があるでしょ」

「…さすが天使。嘘は付けないのね。…私ね、大好きだった彼に捨てられたの。お腹に子供がいるって分かった時、とても嬉しかった。けど、彼は逃げた。初めから本気じゃなかったのね…。もう4年くらい前の話。ずっと立ち直れなくて、やっと立ち直れたと思ったら、病気で死ぬって…。ねぇなんで?不公平じゃない?あんたが天使なら神様もいるんでしょ?どうしてこんな不公平な人間にするのよ!…教えてよ……」

「…神様は関係ないんだよ。自分の人生は自分が主役なんだから。神様はそのサポートにすぎない。どんな困難にも立ち向かって行ける、それが人間でしょ」

「…そうだね。じゃぁ今ここで私の病気を治してとかお願いしても、無理なんだ」

「それは自分で乗り切るしかないんだよ」

「わかった。それじゃぁ一つだけ願い叶えて。私の産んだ子供に会いたい」

「…ええ??自分が育ててるんじゃないの??」

「ううん。親に反対されたけど、どうしても産みたくて内緒で産んだの。その後、施設に預けたわ。私といるより幸せになれると思ったから」

「…なるほど、わかった。早めに探し出すからな」

「急いでね。私もう永く生きられないから」

3日後

「本当にここにいるの?」

「おうよ。天使の実力なめんなよ」

「それで、どの子なの?」

「すぐそこにいる、ピンクのワンピースを着た女の子だよ」

「…あの子が……私の…」

「そう、君の子だ。明るく元気な子だ」

「……そっか」

すると少女がこちらに気付き走ってきた

「おねえちゃん、ここでなにしてるの??」

「え?あ、あの、ただ見てただけよ。あなた、お名前は?」

「愛っていうの!先生が、たくさんの人に優しく出来るようにって付けてくれたんだって!」

「愛が溢れてるのね。良い…名前ね」

「おねえちゃん泣いてるの?」

「ううん泣いてないよ。ちょっと目にゴミが入っただけ」

「だいじょうぶ?」

「うん!ありがと!…そうだ、あなたにこれあげる。このクマのキーホルダー。これね、私が小さい頃にお母さんがくれたの。あなたにあげるね」

「ほんと!良いの?」

「うん!あなたは良い子だから」

「おねえちゃんありがとう!」

「それじゃぁ愛ちゃん、またね」

「ばいばい!おねえちゃん!また来てね!」

「ばいばーい…」

「優しい子だったな」

「うん。わたしの子だとは思えない。純粋で、明るくて、笑顔が素敵で…」

「君にそっくりだよ」

「ありがと。…ねぇ悪魔さん。私、もう少し頑張ってみようと思う。死ぬのはいいけどさ、もう一度愛ちゃんに会いたいもん」

「それでこそ人間だ。奇跡は起きるものじゃなくて、起こすものだから」

「ありがとね。願い叶えてくれて。これで死んでも後悔ない」

「そうか。それは良かった。それじゃぁ俺は次に行こうかな」

「うん。わかった。ありがとう」

「それじゃぁな!元気でな」

「じゃぁねー悪魔さーん!」

『これで、また一人心の苦しみを救えた。さぁ次に行こうかな…」

キキーッ!ガシャーン!!

『!?!?』

「おい事故だ事故だ!」

「救急車呼べー!」

『まさか…』

「おい!大丈夫か!どうしたんだ」

「あ…あくま…さん…。さいごの…さ、さいごで、事故っちゃった…。へへ」

「笑い事じゃねーよ!待ってろ!今救急車くるからな!ごめんな!助けてやれなくて!事故を防いだりくらいの力しかもってないんだ…」

「あ、あくまさん…」

「どうした?」

「わたし…死にたくないよぉ…。もっと生きたい…生きて…あの子と暮らしたかった…」

「…ば、ばか!…し、しなねぇーよ!もうしゃべるな!わかったから」

「わたし、汚れてるから…だから、神様が…あの子と…愛ちゃんと会ったことに…おこってるのかな」

「汚れてなんかいない!!君は誰よりも、どんな人間よりも清らかだ!!死んじゃだめだ!」

「…わたし…、生まれかわったら……天使になりたい…。あくまさんのよう…に…優しくて、あの子と…ように愛に溢れた…て、天使に……」

「死ぬなぁー!!!!」

13年後

「ねぇ愛、愛の鞄に付いてるそのキーホルダー。ずいぶん古くない?」

「これ?これは私のお守りなの。なんかこれを持ってると、温かい気持ちになれるの」

「ふーん。誰から貰ったの?」

「もう小さい頃のことだからあまり覚えてないんだ。でも優しくて、綺麗な女の人がうっすらと出てくるの。私はあの時から、こんな素敵な人になりたいって思ってたなぁ」

「その人だれなんだろうね」

「さぁ、でも…たぶん…」

「ん?なあに?」

「なんでもなーい。…あ、あれ?」

「どうしたの?」

「今窓の外から誰か見てたような…」

「あー!ごまかす気だな!」

「そうじゃないってー!ほんとだってばー」

「さぁてと、愛の溢れる世界を作りに行こうかな」

「はい!悪魔さん」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名Kさん  

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悪魔とおばあちゃんの続きですか?

いい話・・・(^u^)

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