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短編2
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ドッペルゲンガー

私はしがない小説家だ。

最近はスランプに陥ってしまい、どうもペンが進まない。

作品は外界のものに影響されるとはよく聞くことで、私もその影響を受けない為に少し人里を離れた山の麓の民家に1人で住んでいる。

近隣には田んぼ、林、そして民家が2、3件建っているだけだ。

夕暮れ時にもなると夕日が辺りをオレンジ色に染め、とても風情良い雰囲気を醸し出す。

林の中に沈んでいく夕日を見るのは私の日課でもある。

「少し散歩にでも行くか」

そう呟き、私はフラリと外へ出かけた。

「ああ、今日も終わるのか…。」

林に沈んでいく夕日を見ながら私はそんなことを思っていると、林の中に誰かが歩いているのが見えた。

しかし夕日を背負っている為、影しか見えない…。

「誰だろう…」

そう小さく呟くと、その人影はまるで聞こえたかのように立ち止まり、私の方をジッと見つめているようだった。

しばらく見つめ合ったあと、その人影は夕日と共に林の向こう側へ消えて行った。

「どこかで見たような体格だったな…」

それからしばらくして、ペンも進むようになり、どうやらスランプも抜け出せたようだ。

ある日の晩のこと。

私はいつものように晩飯をすませ、さてもう一仕事、と資料文献を開き目を通していた。

するとふと一つの語句が私の目に入った

「ドッペルゲンガー…」

『ドッペルゲンガーは見た者と全く同じ姿、顔、体格をしていて、見たら7日以内に死ぬ。』

「そういえばあの時…」

私は林で見た人影を思い出した。私と全く同じだったような…。

くだらない。

早く書き終えて今日はもう寝よう。

そう思ってペンを握ったその時、

ギィ…

玄関の方から扉の開く音がした。

誰だろう…

といってもこんな時間に来るのは出版社の編集部の人に決まってる。

「ああ、書き終えた原稿なら玄関の棚に置いてあるだろう?」

私はペンを動かしながら障子越しにそう言った。

返事はない。

もう帰ったのかな?

私は再び原稿に目を戻し書く作業に戻ろうとした。

スーッ

障子が開く音がした。

「はかどってますか?」

私の声だ

「振り返って下さい。

そして死んでしまえ。」

確か林の人影を見たのは7日前…

私は振り返った

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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