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短編2
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認知症

去年の9月の話。

自分の地元は山に囲まれ、辺り一面田んぼの広がる田舎なのだが、近所に住むおばあちゃんが行方不明になる事件が起きた。

おばあちゃんの家族が言うには、お昼におばあちゃんはテレビを見ていたが、嫁が昼ご飯を作るため少し目を離したスキにいなくなっていた…とのこと。おばあちゃんは認知症らしい。そして足腰も悪くなっていたためそう遠くには行っていないだろうと推測するが、どこにも見つからない。

フラフラと歩いて崖から落ちていやしないか。

川に流されてはいないか。

誰かに連れ出されたのではないか。

と消防や地元の人総出であちこち探し回ったが、おばあちゃんは見つかるどころか目撃情報すらなかった。

真夜中になり、外灯もない見渡しの悪い田舎でむやみに探して誰か怪我してもいけないと、捜索はいったん打ち切られた。

しかし次の日、捜索再開すると同時におばあちゃんは裏の山からひょっこりでてきた。

皆が驚き、おばあちゃんの無事に安堵したが、若干の疑問があった。

捜索は、裏の山も勿論くまなく行われたはずなのになぜ見つからなかったのか。

まだ9月の半ばとはいえ、夜は冷えると言うのにおばあちゃんは裏の山で一晩何をしていたのか。

家族がおばあちゃんに問いただすと、おばあちゃんは

〔足腰の運動に山に登ったんだが、2つ山を越えたところで人に会い、ずっとその人と世間話をしていた。夜になるとその人は私に添い寝をしてくれたのでちっとも寒くなかった。朝起きたらいなくなっていたので帰ってきた。〕

とご機嫌そうに答えたそうだ。

足腰が悪いのに裏の山を2つ越えるほどの体力がおばあちゃんあるとは思えない。そしてこの田舎で山を越えても家なんかないし、そんな場所に人がいるわけがない。

皆、おばあちゃんの話は認知症であるからだろうと結論付け、見つからなかったのは捜索にもれがあったのだろうと言うことで解決した。

ただもうひとつ気になる事があった。おばあちゃんは帰ってきた時に見たことのない杖を持っていた。竹でできた杖は簡易ではあったが明らかに人が加工(刃物で削ってあったりと)した痕があった。おばあちゃんがその山で出会った人に作ってもらったという。

認知症で片付けられた話だったが、地元でおきた不思議な話だった。

何にせよ、無事でよかった。

駄文失礼しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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