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それでも俺にはわからない。

中編4
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それでも俺にはわからない。

今から6年前くらいの夏。

俺は当時組んでいたバンドのメンバーとそのベースの彼女5人で

ドライブに出かけた。

最初に言っておくが、俺はこの彼女(以下Y)が嫌い。

口だけは達者で、実はいい加減。

嘘が多い、あと不細工。

よくベース(以下N)から愚痴を聞かされていたからなのか、

当時のバンドの方向性、曲のアレンジなどに口を挟むからか、

なんにしても、俺は大嫌いだった。

昔からYに、それが霊感なのかはわからないが、おかしな出来事が

起きたことがあるという話はNから聞いていた。

とはいっても、

テレビのボリュームが勝手に上がる、

テレビが勝手につく。

寝るときに人の話してる声が聞こえる。

全部、「で?」って感じだけど、

特に否定もしなかった。

あるとき引っ越したばかりの家では、玄関のドアを開けた瞬間に

気持ち悪くなるって理由で1ヶ月もしないうちに引っ越してた。

(てか下見の時点できづけよ)

そこが曰くつき物件なのか!?

と思いきや、まったくそうでもなかった為、金払ったばかりで退去。

そして新居の契約料なども普通に発生。

結局その金は消費者金融から捻出していた。

それでもバンドメンバーのNの彼女ってこともあり、

極力、俺が嫌っている事実は隠しつつ接するようにはしていた。

その日も、当初はメンバーで楽器を持って山とかにのぼって、

自然の中でなんかセッションでもしてみないか?

ってな感じの始まりだった。

前日にNからYが行きたがっているけど一緒に行ってもいいか?

という連絡をもらった。

行きたいのはわかるけど、

普通そこは自分の欲求を押し殺して我慢するものだろ?

そういう無神経なところはいまだに腹が立つ。

当初の目的は山だったけど、セッションしてる最中に口出してきそう

だったから、普通に軽くドライブを提案した。

すると、ドラムのSが怖い所巡りしたいと言い出した。

俺はぶっちゃけ早く帰りたかったけど、みんなこの日の為にバイトを

休んだりていたし、せっかくだからって事で行くことになった。

場所の提案はすべてSがした。

最初についた場所は通称「首塚」(ごめんたしかこんな感じ)

確か京都方面へ行ってたはずだから、京都のはず。

噂では江戸時代の死刑場?

木とかに「天誅」って書いてあったけど、どうせ田舎のヤンキーの仕業だろ。

そりゃ真っ暗でそういう噂を耳にしてれば寒気も少しはする。

ただし、それ以外はなにも起きないし感じない。

そのあと向かったのが、Sイチオシの建物。

そこは昔旅館で、今は潰れてしまってるらしい。

車で30-40分走らせて到着。

すでに俺の眠気は限界MAX。

俺とギターのTは車から降りて、まぁ確かに不気味ではある

建物を見ながら一服。そのあと、Sも降りてきて三人でさらに一服。

特に何もないし、そもそも入る気もなかったからタバコを吸って車に戻る。

すると突然Nが叫んだ

「止めてくれ!!」

三人ビクッて一瞬した。

社内を見ると、NとYがもめてる?イチャついてる?

(こいつらマジかよ)

って思った瞬間

「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

笑いながらYが建物に向かって走って行く。

すぐにNが車から降りてきて、

「止めてくれ!」

ってYを追いかけていく。

俺ら三人は半信半疑ながら、追いかける。

NがYを掴んだ瞬間、

YがNを思い切り殴った。

もちろんその瞬間も笑ってる。

俺らもNが倒れるのを見て、一斉に飛び掛る。

男三人で抑えてるのに、こいつがまた馬鹿力。

それでも男三人に力で敵うはずもなく、強引に車に乗せる。

Sが運転席

Nが後部座席に最初に乗る。

俺とTでYを押し込んで、ドアを閉めて

俺は助手席へ。

なんの合図もなかったけど、

Sはアクセルを踏み込んだ。

その後もYは小声で笑ってる。

NはYに「おい!ふざけるなって!!」

みたいな感じでひたすら叫んでる。

ふざけてないのは一目瞭然だった。

ふざけて彼氏殴るとか考えられないし。

かと言って霊的なものかと聞かれてもわからない。

すると突然Yが

「あ~楽しかった」

って言い出した。

Yが言うには、

男の子の子供とNと三人で露天風呂で遊んでたらしい。

確かにNはおれらと一緒にいたし、そいつに殴られたのも見たし、

間違いなく露天風呂には行ってない。

それでもYはそう思い込んでる?もんだから

Nと激しく言い合う。

するとこのKY女、初めて空気を読んだのか、何かがおかしいと思い出す。俺からすれば遅いんだけど、Yはこの上ないくらテンパってる。

どれだけ俺らが説明をしても、実感、体感していないYには理解できない。ただ、不思議なのはY以外はまったくなにも感じていなかった事。

これが霊的なものなのか、精神的な物(自己催眠)のようなものなのかはわからない。

それでも、ずっと笑ってたYが突然「楽しかった」と言った時は

若干ちびった。でも内緒。

携帯の写メールで色々写真を撮っていたけど、何もみないで機種変更したのも内緒。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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