ごみ、カスなどなどこれらの言葉は今の俺に使われている。そう、俺は高校でイジメを受けているのだ。
とは言え始めからじゃない。半年くらいは普通の生活をしていた。
事の始まりは些細な事だ。友達と話ながら歩いていたら誰かにぶつかった。
「おっと、ごめんよ」
俺は謝った。だが相手が悪かった。不良として有名な黒井だったのだ。
「覚悟をしておけ」
そう言われた次の日から俺の居場所は無くなった。机と椅子が消え、クラスメイトはおろか、親友でさえ無視する始末。最近は
「そんなにお金持ってないよ」
「ごめんなさい」
くらいしか口に出せなかった。
そんな俺が考えていたのはもちろん自殺。学校で飛び降り、黒井や無能な教師、俺を裏切った親友に目にものを見せてやろうと思った。
だが怖い。中々勇気を出せず、ただ暗い毎日を過ごしていた。
そんなある日、メールが届いた。
「このメールが届くとはなんて不幸な!でも大丈夫!このアドレスに空メールを送れば貴方の望みは叶うよ!」
黒井の悪戯か?と思ってアドレスを見てみた。
「…俺のだ」
理由はわからない。でも何故か知らないが俺のアドレスなのだ!このメールに気味悪さを覚えたが、期待も持てた。
結局空メールを送信した。何かの間違いなら俺に空メールが届くはずだ。しかし空メールは届かない。いよいよ期待は膨らんだ。
次の日、俺の机と椅子が復活した。黒井は面白くなさそうな顔をしていたが、実に数ヶ月ぶりの平和に感動した。
次の日は親友が声をかけてきて、またその次は一緒に昼飯を食べるなどし、7日後にはイジメを受けはじめる前の生活に戻っていた。
そして8日目、勢い良く「おはよう!」とドアを開けたが、何か違和感を感じた…
…机と椅子がない……
それだけじゃない。雰囲気、俺を見る目、すべてがイジメを受けている時に戻っていたのだ。
黒井がニヤニヤしながら
「一週間楽しかった?今までのは遊びだよ。イジメからの開放感からまたイジメに戻る絶望感。名付けて天国から地獄ゲーム。また元の生活に戻っちゃって残念だねぇ」
どういうことかはわからなかった。俺の足は自然と動いていた。
「今まで出来なかった事がこんな簡単に…」
俺は宙を舞い、そして鈍い音と共に地面に落ちた。飛び降りる瞬間にポケットに入れてたケータイがなるのを感じた。
その黒井たちは興奮していた。
「見たかあの顔!ヤバいだろ!」
「マジ笑える!」
「にしても黒井。良くあんな遊び思いついたな。」
「あ?お前らの誰かがメールで俺に送ったんじゃねーの?」
「え?てっきり黒井が考えたのかと…」
興奮は気味悪さに変わっていた。
その時皆のケータイが一斉になった。
「う、嘘だろ…俺のアドレスから…」
皆の顔は青ざめていた。
「望みが叶って良かったね」
怖い話投稿:ホラーテラー 初コメハンターさん
作者怖話