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中編4
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最近通ってるスナックの常連のおじさんから聞いたちょっと変わった怖い話です。

狂った人間というのは今も昔も変わらずいるもんで、まだ日本が丁髷の時代、○○にある○○という山間に位置する農村で殺人がおきた。

犠牲者は多数。

山奥に住む身分の低い牛飼いの男が、村に出て刀を振り回し白昼人を斬って回ったのだ。

最終的に男の両親が現れ、狂った男を何かの倉に追いつめると火を放ち自らのてで息子を焼き殺した。

両親はその場で被害者の遺族に叩き殺された。

結局犯人は死んでしまい一件落着、後には死体の山が残された。

その一件で川に投げ落とさた死体があり、そのひとつが下流に流れ着いた。

無惨にも首を切断された妊婦の死体だった。

死体は澄んだ川の緩流帯にプカプカと漂い、着物は解け大きなお腹を水面から覗かせていた。

見つけたのは川に洗濯しに来ていた老婆だった。

「可哀想に、隠(おん)の仕業じゃの」

無惨な死体を見て婆さんはそう呟き、涙をこぼす。

気が狂った人間をこの村では隠に憑かれた、とか、そのまま妖怪の様に隠と呼んだ。

婆さんの家は子供を授かる事が出来ず、長年爺さんと二人暮らしだった。

婆さんは爺さんを呼び出し竹竿で死体をたぐり寄せると、せめてお腹の子を、、と、死体の腹を裂いた。

肉をかき分け、血溜まりの中から取り出された文字通りの赤ん坊は、見事無事に産声を上げた。

もう察しはついたと思うけど、これが冒頭の有名な昔話で言う、「お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは、、」

という場面だ。

これは桃太郎についての「本当は怖い~」みたいな話なんですが、、

続きがある。

桃太郎は大きくなると、人々を苦しめる鬼を退治しに鬼ヶ島へと出かけてしまう。

先程「隠」という妖怪に触れたが、実はこれが今で言う、「鬼」に当たるというのだ。

私達の身近にある鬼と言うと、節分をあげる人は多いんじゃないだろうか。

節分にする豆撒きは「魔を滅する」、魔滅の語呂合わせだが、当時は節分というものが今と違い、人の心にある「邪気」などを払うための行事だった。

そういう人の悪しき心を隠と呼び、豆をぶつけ合い家族と楽しく過ごすという日だった。

時代がたつにつれて隠というものが、分かりやすい鬼という妖怪として姿を変えた。

鬼の解釈については様々だけど、この話で言う「鬼」が、殺人を犯した人間の事を指しているんじゃなかろうか、、

という話になる。

昔の法律で死罪の次に重いとされる刑罰が、流刑だった。

つまり島流し。

簡単に言えば、陸から離れた孤島で、罪人同士大人しく暮らせという刑だ。

搬送される人の多くは今で言うヤクザみたいな人間だったが、幕府がころころ変わる時代、法改正で死刑が撤廃されどんな重犯罪も流刑どまりという時代もあったそうだ。

そして、桃太郎にでてくる鬼ヶ島とは、流刑地にされていた離島のことを指してるんじゃないかという話だ。

悪人がいい人間を殺し、不幸から産まれた子供が大人になって悪に復讐をするという話。

この話自体、当時の人間が考えた死刑撤廃への批判という見方も出来る。

桃太郎という話も平安時代当たりから既にあったと云われ、桃太郎に留まらず昔話には当時の行政に対する何らかの社会風刺が含まれていたと考えてもいいのだそうだ。

法改正によって治安が悪くなり、そんな罪人を桃太郎は許せなかった。

「人を殺した連中が何処かで生きているなど絶対におかしい、奴らは死んで然るべきだ。」

出発の日、婆さんは最後にきび団子をもたせ桃太郎を見送った。

婆さんは桃太郎の背中を見ながら、涙をこぼした。

「隠に取り憑かれてしもうた、、」

桃太郎の背中には、大きな黒い陰がまとわり着き、桃太郎の頬を可愛い可愛いとなすっていた。

身分の低い三人の家来、もしくは三人の権力者から力を借りて流刑地へ辿り着くと、桃太郎は丸腰の受刑者を相手に刀を振り回し、島中を駆け回った。

鬼退治である。

受刑者のほとんどは枯れ枝のように痩せこけた者しかおらず、鬼とは程遠い姿をしていた。

奇声を上げながらひとしきり暴れ回り、島で一番大柄な男の首をはね満足げに持ち帰ると、桃太郎はそれを生涯大切にしたという。

そして桃太郎は無事、老夫婦の元に帰ってきたとさ。

という感じで、後味は悪いですがとりあえずこの話は終わりです。

この話を聞いて私が思うに、鬼ヶ島に向かった桃太郎は、鬼だったんじゃないかと思えるんですが気のせいでしょうかね?

そしてこの話に出てくる妖怪の解釈は様々でしょうが、今の時代にもこんな妖怪が身の回りにいるように思えるのです。

今日も渡る世間は鬼ばかりってドラマがテレビでやっていました。

ちょっとうまくまとまりませんが、、

以上本当は怖い桃太郎でした。

おわり。

怖い話投稿:ホラーテラー ハミーポッポーさん  

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桃太郎はダークサイドに魅了されたのであろう。

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