何年も前なのでうろ覚えだが、高校生の頃の出来事だった。
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夏の暑い夜だった。
楽屋のような部屋にいる。
いたって普通の部屋なのだが、床に人の肩幅くらいの黒いシミがついていて、そこだけ少し気味が悪い。
度々気になって見ていると、黒さが増しているような気がする。
しかし、それは気のせいではなかった…
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髪の毛だ。
真っ黒な髪の毛。
顔が、身体が、徐々に出てくる。
恐怖のあまり身動きがとれない。
白いワンピースを着た、髪の長い女が姿を現した。
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『ぁぁあああ゛あ゛あ゛ア゛ア゛』
shake
不気味な声を発して近づいてくる。
誰が見ても、あきらかにこの世のものではないことがわかる。
(逃げなきゃいけない)
頭では考えているが動けない。
殺される。
直感的にそう感じた。
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女が目と鼻の先に来た時…
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___『パカッ』
shake
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背後から謎の音がした。
『うおっ』
情けなくも思わず声が出てしまった。
ビビっている時は、少しの物音でも驚いてしまうものである。
それにしてもタイミング良すぎだろ。
人がホラー映画を見ている時に。
しかも怖い場面で音がなるなんて。
などと思いながら音の出どころを探した。
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犯人は炊飯器だった。
白い湯気がもくもくと上がっている。
昨日買ったばかりなのに…
まさか、某有名漫画のように炊飯器に何か封印されていたのか?。
いや、昨日開けたから封印解けてるし。
いやいや、ちょっと待て、ここは現実だ。
1人でツッコミながら、とりあえず炊飯器のフタを閉める。
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もしかして、寄って来た?幽霊が。
怖い話とかをしてると、寄って来るというのを聞いたことがある。
チキンな私は、まだ途中だった映画を停止した。
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次の日、朝のうちにDVDをレンタル屋に返しに行った。
ちなみに、炊飯器のフタが開いたことは、それ以来1度もない。
心霊体験だったのだろうか。
それにしても、パカッなんてなんとも気の抜ける音だ。
今となっては笑い話であるが、あの時は心臓が止まるかと思うほどビビっていた。
作者natu