短編2
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何年も前なのでうろ覚えだが、高校生の頃の出来事だった。

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夏の暑い夜だった。

楽屋のような部屋にいる。

いたって普通の部屋なのだが、床に人の肩幅くらいの黒いシミがついていて、そこだけ少し気味が悪い。

度々気になって見ていると、黒さが増しているような気がする。

しかし、それは気のせいではなかった…

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髪の毛だ。

真っ黒な髪の毛。

顔が、身体が、徐々に出てくる。

恐怖のあまり身動きがとれない。

白いワンピースを着た、髪の長い女が姿を現した。

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『ぁぁあああ゛あ゛あ゛ア゛ア゛』

shake

不気味な声を発して近づいてくる。

誰が見ても、あきらかにこの世のものではないことがわかる。

(逃げなきゃいけない)

頭では考えているが動けない。

殺される。

直感的にそう感じた。

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女が目と鼻の先に来た時…

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___『パカッ』

shake

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背後から謎の音がした。

『うおっ』

情けなくも思わず声が出てしまった。

ビビっている時は、少しの物音でも驚いてしまうものである。

それにしてもタイミング良すぎだろ。

人がホラー映画を見ている時に。

しかも怖い場面で音がなるなんて。

などと思いながら音の出どころを探した。

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犯人は炊飯器だった。

白い湯気がもくもくと上がっている。

昨日買ったばかりなのに…

まさか、某有名漫画のように炊飯器に何か封印されていたのか?。

いや、昨日開けたから封印解けてるし。

いやいや、ちょっと待て、ここは現実だ。

1人でツッコミながら、とりあえず炊飯器のフタを閉める。

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もしかして、寄って来た?幽霊が。

怖い話とかをしてると、寄って来るというのを聞いたことがある。

チキンな私は、まだ途中だった映画を停止した。

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次の日、朝のうちにDVDをレンタル屋に返しに行った。

ちなみに、炊飯器のフタが開いたことは、それ以来1度もない。

心霊体験だったのだろうか。

それにしても、パカッなんてなんとも気の抜ける音だ。

今となっては笑い話であるが、あの時は心臓が止まるかと思うほどビビっていた。

Concrete
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炊きたてご飯食べたかったんですね(*´ω`*)

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