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私が、中学生だった時のことです。
うちの家族構成は母と私と弟(2人)で、母以外霊感のレの字もありませんでした。
母は、よく金縛りや霊らしきものをみたり不思議な体験をしたそうです。
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一方、私はそのような体験は全くなく、むしろ、霊体験をしてみたいと思っていました。
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ある時、昔飼っていた猫の話になり、
その猫は、突然いなくなってしまったので、
『何処に行ったんだろな、車にひかれてしまったんだろか。』
『もう年寄りだったからな、猫は死ぬ時、何処かに行くって言うしな。』
『可愛かったなー、また猫飼いたいな。』
などと言う他愛もない話をしていました。
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その日の夜、寝床についた時、ふと飼っていた猫のことを考えていました。
たまに車にひかれている動物を見ますが、あんな風に死んでしまったのかと思うと、可哀想で仕方ない気持ちでした。
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そんなことを考えながらも、いつの間にか寝ていたらしく、ふと目が覚めました。
夏なのに冷んやりして、肌寒く、耳鳴りまでしてきました。
今度は身体が動かないことに気がつきます。
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これが【金縛り】か。
などと呑気に考えていると、猫の鳴き声が聞こえてきました。
それも部屋の中から。
飼っていた猫が会いにきてくれたんだ、と思い目を開けると…
目の前に、お爺さんが。
まさかの猫じゃなくてお爺さん。
そんな不意打ちに私は、気を失いました。
shake
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これは推測なのですが、うちの住んでいるマンション(昔は動物の飼えるアパートにいたので猫が飼えました)は数ヶ月前に、お爺さんが自殺していました。
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顔を知らなかったので確かめようがないですが、あの夜いたのはそのお爺さんだったのではないかと思います。
なぜ、猫の鳴き声をしていたかはわかりません。
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でも、今も忘れられません。
無表情で見つめ、暗闇に浮かぶ、お爺さんの顔が…
作者natu