「もう帰ろうぜ。なんにもないよ。」
友人のAはそう言いながら近くの岩に腰掛けながらタバコに火をつけた。
もう動けませんと言わんばかりに真上を向いて口をポカンとあけながら煙をはいている。
B「バーカ。まだ目的の場所についてもいないのになんもないとかわかるわけないだろ。」
Bはそう言いながら草木をかき分けながら急斜面をゆっくり歩いていく。
「まぁまぁ。大金が入ってくるチャンスじゃん」
そう言って俺はAの肩をポンと叩いてBの後ろを歩いた。
Aは舌打ちを一回して立ち上がり俺の後ろを追いかけてきた。
俺達3人はある山を登っている。
なぜかと言うと宝が眠っているからだ。
A「おいB!本当にこんな山奥に宝なんかあるのかよ!」
Bは振り向かずに言った。
B「あるよ。ここに間違いねーんだ。黙ってついてこい。」
なんでもBいわく夢の中で神様に言われたそうだ。
池に沈んでる仏像を出してくれと。
そして一緒に沈んでる金塊はくれてやると。
そして神様はこの山と池の場所を教えたらしい。
「そんなの本当にあるのかよ。ただの夢かもよ。」
B「ただの夢じゃない。絶対に。」
そういって振り返るBと目があった。
Bの目は爛々としておりその夢を信じきっているのが見てとれた。
B「おっ。見ろよ。あったじゃねぇか。」
Bの声を聞いて顔をあげてみるとそこには小さな池があった。
B「よっと。」
Bはほとりに降りてリュックをあけだした。
A「あらら…。本当にあっちゃったよ。」
Aも続いて降りてタバコに火をつけた。
俺も足元に注意しながらゆっくりと降りた。
A「…綺麗な池だな。」
Aの言うとおり。水は限りなく透明で泳いでいる魚達が肉眼で見える。
B「さて。さっそく探すぞ。」
そういってBは腹まで隠せるような長いズボンを取り出した。
B「水は通さないように出来てるから。よし行くぞ。」
Bはそう言うとバシャバシャと池の中に入っていった。
「えーっと…。俺らも入らないとダメ?」
B「三人で探した方が早いだろ。」
A「…俺の分け前は半分だからな。」
そう言うとAもバシャバシャと入っていった。
大きなため息を一つつくと俺も覚悟を決めて入っていった。
だが、探しても探しても見つからない。
A「B!!!やっぱりねえじゃねえか!!」
Aは底の中に手を入れて探しながら叫んだ。
B「黙れ。絶対ある。」
Bも岩をひっくり返して探している。
「でもそろそろ辺りが暗くなってきそうだよ?」
俺は今にも沈みかけている夕日を指差しながら言った。
A「そうだぞB…ん?なんだこれ。」
Aが地中でなにかを発見したようだ。
急いでBと俺もAの元へかけよる。
続きます。
A「なんだこれ。固いなっ!なかなか抜けねー。」
Aは両腕を使って必死に何かを引き抜こうとしている。
「A!俺も手伝うよ。」
俺も腕捲りをして底に両腕を突っ込んだ。
Aの腕をたどり目標の物を掴む。
(冷た!!!!!)
まるで氷のように冷たい。一瞬びっくりして身体をビクつかしてしまった。
A「おい。どうした?」
「いやこれ…。あれ?」
もう一度触ってみるがなんともない。
気のせいだったのだろうか。
「いやなんにもないよ。ごめんごめん。」
そういって俺も両腕に力を入れた。
ガポン!と音がしてAと俺は後ろに勢いよく飛んだ。
「おっとっと。」
俺もAも幸い転けなかったので濡れずにすんだ。
だが。ゾクりとした感覚が私を包んだ。
(…寒いっ!!)
急に冷蔵庫に入れられたかのように寒くなった。
「おいA!お前一体何を掴んでー」
そういいながらAの方を見ると口をパクパクさせて持っているナニカを見ている。
Aの手にあったモノ。それは
40センチ程の仏像の胴体。
ただ腕が左右に3本ずつ。計六本はえていた。
頭。
頭も肩の辺りから左右に1ずつ。計3つ生えている。
そしてなにより異形なのが腰から下だ。
頭のない「蛇」のようなものが生えている。
そしてそれは
動いていた。
シュルシュルとAの腕に巻き付こうとしていた。
A「う…うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
腕を振り、それを振り払おうとするA。
続きます
Aの腕に巻き付こうとする蛇のようなモノ。
必死に叫びながら腕を振り回すA。
俺がAを助けようと腕を伸ばしたその時。
B「A!大丈夫か!」
Bが素早くAの腕からソイツをとりほとりに投げた。
A「な…なんなんだよアレ!!」
Aはほとりでうごめくそれを指差しながら叫んだ。
それは逃げようとしているのかそれともこちらに向かってきようとしてるのかわからない。
ただ身体をくねらせて動いている。
「アレが…仏像?」
仏像と言うには禍々しすぎる姿をしている。
B「さぁな…。とりあえずアレだとすると金塊は…?」
A「おい!お前ら見てみろ!」
Aの方に振り返り、指差す方向に目をやる。
仏像が出てきた場所がなにやら夕日に反射していてキラキラとまばゆい。
「まさか!」
俺が手を伸ばそうとするより早くAがそれを掴んだ。
A「やっぱりこれは…。」
Aの手にある長い棒のようなもの。それはまさしく金だった。
B「金だ!てことはやはりアレが仏像か?」
そういって仏像の方を見るともうそこには仏像はなかった。
這っていったであろう後が林の中へ続いているだけだ。
「これでよかったのかな?」
俺は金を手にしてはしゃいでいるAと
這っていった後を睨み付けているBに言った。
A「よかったに決まってんだろ!見ろよこれ本物のー」
Aが手にしたものをこちらに見せつけながら言おうとしたとき、それをさえぎるように森から不気味な音が聞こえた。
ぐげげげげげげげげげげげ
文字で表すにはこれで限界だ。とても表しきれない音。
笑い声とも鳴き声ともわからない。
不気味な音が辺りに響いた。
続きます
怖い話投稿:ホラーテラー たたたりダルいばんさん
作者怖話