これは僕が小学生の頃の話です。
僕には兄がいる二人兄弟なんですが、
夏休み毎年、お盆になると、田舎で一人暮らししているおばあちゃんの家に僕たち兄弟だけでバスに乗って帰るというのが恒例なんです。
でも、実は僕はあまり、田舎に帰るのが好きじゃなかったんです。
理由は簡単、臆病な僕は子供らだけで田舎に行くのも不安で、
何よりも、おばあちゃんの家に夜、部屋で兄と二人きりで寝るのが嫌だったんです。
今思えば本当に怖がりだったんだなと思います。
でも、ある年のお盆に自分にとってはとても怖い体験をしました。
小学4年くらいのお盆だったと思います。
毎年のように僕と兄と二人きりで田舎のおばあちゃんの家に行くことになります。
また、この時がきたか、と僕はしぶしぶ思ってました。
兄といえば、僕と反面、カブトムシ一杯とろうぜ!とか川で魚釣りもしよう!
なんていいながら、とても田舎に帰るのが楽しみな様子でした。
田舎のおばあちゃんの家につくと、早速兄は川に直行し、魚釣りを楽しんでいます。
僕も、さすがに田舎に来たのだからとテンション上げて、兄といっしょに魚釣りを楽しみました。
その夜は釣った魚をおばあちゃんがさっそく焼き魚にしたり、煮魚にしてくれたりで兄といっしょに楽しみながらたべました。
そして就寝の時間、毎年のようにおばあちゃんは一階の床の間、僕たちは二階にある和室で寝ます。
ああ、またこの時がきたか、と
兄は釣りですっかり疲れたのか、すぐに爆睡、僕といえば、いつものように寝付けない夜だった。
いつもは僕がただ怖がってるだけで、何も起こることはないのですが、この夜は違いました…
どれくらい時間がたったかは分かりません。ただ、真っ暗で深夜であることは間違いないのですが、一階から何やら音がしたんです。
ボォ~ン!ボォ~ン!
僕はさすがにビックリ!!
(え!?何?)と思ったのですが
何かは分かりました。僕たちの寝ている部屋の真下の一階には洋室があり、そこには振り子時計があるんです。
僕はそれがあったことに気付き、
(な、何だ時計か~)とホッとしました。
ところが…
そのあとすぐに
トン、トン、トン…
音がするんです。何かが歩いているような足音、
それは、グルグルと一階の洋室を回ってる感じ、
ずっと、回り続けています。
僕はただ、ただ恐怖で布団にくるまっていました。
すると…
その足音は移動し始めたのです。
そこに一定に回ってた足音が
トン、トン、㌧、㌧…
遠ざかって行く感じに次第に音は小さくなっていきました。
僕は(よ、よかった~!早く消えてくれ~!)
と少し安心感を感じたその時…
コツ
コツ
僕はゾクッとしました。
その音は二階へと続く階段からするのです。
足音は遠ざかったのではなく、階段へと移動していたんです。
(マジかーー!!)僕はほとんどパニック!
兄はといえば相変わらず爆睡。
二階の部屋は二つあるのですが階段を上がってすぐ左側に一つ、そして奥にもう一つと、連なっています。僕ら部屋は奥の部屋でした。
コツ
コツ
足音は階段をゆっくり上がってきます。
そして、
ミシ…
ミシ…
とうとう廊下まで上がって、こちらへと近づいてくるのです。
僕は
(帰ってくれ!来るなー!)
と心の中で叫び、恐怖でパニック!
しかし、その音は一つ目の部屋を通り過ぎます。
ミシ…
ミシ…
木製の廊下がきしむ音が段々大きくなり…
ミシ…
ミシ…
ミシ…
…
僕らの寝ている部屋の前で止まった…
僕は布団に覆い被さって、ブルブルと震えながら
(帰って!帰って!)と半泣きでお祈りをしました。
何分たったかは分からないが、音は何一つしなかった。
僕らの部屋の入り口は、ドアではなく、昔のいえによくある、磨りガラスの横開きの戸でした。
ボクは帰ったのかな…?と思い。
勇気を振り絞り、布団の隙間から戸の方をみました。
そこは真っ暗ですが、戸の後ろの窓ガラスから照らす月明かり
立っている!
人が磨りガラス向こうに立っているんです!
背は小学生くらいの低い男の子!
心臓が止まるかと思った!
気づくと朝でした。恐らく気を失ってしまったのだろう。
おばあちゃんにすぐそのことを話たが、おばあちゃんは
「そんなのみたことないけどね~」
と首を傾げるばかり、
結局何なのかは分からずじまい。
今思えば座敷わらしって、いうものなのかな?
僕にとっては恐怖のなにものでもない体験でしたが…
以上です。スッキリしなくてすいません。
作者カツオ