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中編3
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骨の穴

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私は子供の頃、田舎に住んでいた。

通っていた小学校の裏には山があり、家が小学校の近くだった人も多かったので、同学年の子達は放課後や休みの日は山でかくれんぼや探検などをして遊んでいた。

そんな中、私だけはあの山に近づこうとは思わなかった。

理由はいろいろあったが、1番の理由は毎年何人か山で失踪者が出ることだった。

祖父母は、神隠しだと言っていた。

それが怖かったし、祖父母に山にはあまり近づくなと言われていたので、私はいつも近くの公園などで遊んでいた。

たまに友達が家に遊びにくることもあった。

ある日、学校で仲の良い友達に山で遊ぼうと誘われた。

いつもならことわるのだが、その日は家にいるはずの祖父母が出かけていて、家に帰っても1人だった。

そのうえ、前の日の夜にやっていた怖い話の特番を見てしまい、家に1人ぼっちはどうしても避けたかった。

私は迷いながらも、ついOKと言ってしまった。

全ての授業が終わり、一度家に戻り懐中電灯をポケットにしまい、山へ向かった。

その日はかくれんぼをするとのことだった。

じゃんけんで勝ち、なんとか鬼にならずにすんだ私は、1人でいい隠れ場所を探しに行った。

しばらく歩き続けると自分が今、山のどこらへんにいるのか、全然わからなくなった。

完全に道に迷った。

そのうえ、同じ道を何回もぐるぐると回っているように思えた。

その証拠に今歩いている道にも、少し前に通った時についた足跡がいくつかついている。

叫んで助けを呼んでも誰もこない。

このまま進み続けても帰れないと思った私は、脇の獣道に入った。

足場の悪い道を歩いていると、いきなり地面がなくなったような錯覚をおこした。

下を見た。

踏み出した足の先には、大きな穴が広がっていた。

私は、その穴に落ちていった。

気がつくと私は、真っ暗な場所にいた。

周りを確認しようとして、ポケットを探ると懐中電灯がない。

落としたのかと思い、手探りで地面を探した。

何かが手にあたり、つかんでみると懐中電灯ではないようだった。

私はそれを地面に置き、改めて探し始めた。

意外とすぐ見つかり、電気をつけた。

そこにはさっき地面に置いた物が転がっていた。

それは、日常生活の中では決して見ることのない物に似ていた。

白くて木の枝よりちょっと太いぐらいの棒。

その先には5本の細い棒がついている。

人間の肘からさきの骨だった。

ほんの1分前に自分がこれを触っていたという事実に吐き気が込み上げてきた。

なぜここにこんな物があるのかと考える。

本当はだいたい分かっていた。

でも、自分の頭の中にある最悪の可能性をどうしても否定したかった。

その骨の先をライトで照らした。

そこに広がっていたのは、私の予想をはるかに上回った光景だった。

骨、骨、骨、骨、骨。

あり得ない数の人の骨が積み重なっていた。

そして、その骨の山がカタカタと音を立てて揺れ始めた。

そしてその中から出てきた得体の知れないもの。

赤ん坊のすがたをしているが、お腹や背中から骨やら腸やらが飛び出し、手と足が1本ずつない。

左手1本と右足1本で這ってくる。

しかも、この世のものとは思えない奇声をあげながら、異常な速度でこちらに向かってくる。

私は悲鳴をあげた。

頭は何も考えることが出来なくなり、体はその場から一歩も動けなくなった。

その光景は、まるで地獄絵図だった。

その時だった。

「おーい。大丈夫かー。」

声が聞こえ、大人が2人穴から滑りおりてきた。

私はその1人にしがみつき、後ろを指差した。

2人とも、ギョッとした顔をしていた。

私も恐る恐る後ろを向くと、あの化け物は消え大量の骨だけが残っていた。

この人達は村の警察官で、わたしがいなくなったことを一緒に遊んでいた友達が通報したらしい。

私は家に送り届けられた。

両親には、とても心配された。

私はそれからの生活を何事もなく過ごした。

ただ、あれから20年たった今でもあの時の恐怖は少しもうすれることはなく、私の体に刻み込まれている。

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